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21 婚約破棄編 後日談 完璧な美少女 その1
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前話を確認するのがめんどくさい人のための登場人物紹介
春日更紗: 勉強もでき、可愛くて愛想のいい美少女副会長。異世界転生だとか、乙女ゲーとかマニアックな言葉を使いたがるぞ♪ なんでもヒロインらしいよ♪
如月隼人: 成績優秀、真面目で長身のイケメンと評判の生徒会長。乙女ゲーのメインターゲットですが…。魔界の皇子だとか何とか…。異世界転生者のようです♪
小森真一: 小柄ではかなげな美少年で、一年で成績トップの書記。次期副会長。こちらも吸血鬼の由緒正しい侯爵家のどうこうとか…。
二階堂武士: 男子陸上部エースで、風紀委員長の精悍な長身の細マッチョ。精霊王の血筋がどうこうとか…。精霊王てなんですか?
水島恭子: 生徒会会計で小森の幼馴染で気がある同級生。次期会長。長髪の美人系の『できる女子』だが、腐女子。
平岡和則: 乙女ゲーの攻略対象のワイルドなイケメンで、正体は狼男。いろんな裏事情に詳しい。
石川瀬利亜
こんにゃこといいにゃ できたらいいにゃ♪
あんにゃゆめ こんにゃゆめ いっぱいあるけど♪
みんにゃみんにゃみんにゃ かなえてくれる♪
不屈の根性で かなえてくれる♪
ちからがつよく なりたいな♪
「ハイ!タングステン下駄」
にゃんにゃんにゃん とってもだいすき セリアちゃん♪
しゅくだいとうばん しけんにおつかい♪
あんにゃこと こんにゃこと たいへんだけれど♪
みんにゃみんにゃみんにゃ たすけてくれる♪
無敵のパワーで たすけてくれる♪
いじめっ子を やっつけて♪
「ハイ!シードラゴンパンチ」
にゃんにゃんにゃん とってもだいすき セリアちゃん♪
(「だんだん私の扱いがひどくなってない??!!
しかもタングステン下駄は履いている『私』が強くなってるだけでしょ!!」《BY瀬利亜》)
(※生徒会の引継ぎでおかしなことになっていたので設定を修正しました。)
ああ、今日で三学期も終わり、しばし、生徒会室ともお別れ、そして来年度に入ってしばらくしたらこの部屋ともお別れですね…。
私・春日更紗は感慨深い思いで生徒会室を眺めていた。
来学期からは三年生になり、新学期に入ってしばらくしたら1年生から書記と会計を選びます。
そして、会長と副会長は引き継ぎを完了し、いよいよ生徒会からはお別れです。
受験と文芸部(幽霊部員)の両方を…文芸部にはイケメンはいないので、如月君と一緒に平日は図書室で、休日は図書館で受験勉強しようかな…。
でも、二階堂君も一緒に図書室に行こうと誘ってくれてるのだよね…。結局三人そろって勉強になることも多いし…。
そんなことを思っていると、廊下から女生徒たちの声が聞こえてきた。
「ほら、ここが生徒会室だよ。望海ちゃん、中学の時、生徒会長だったけど、生徒会に入るのかな?」
ん?この声は石川さん?!
「ええと…今はまだ考えていないんです。…おっとっと携帯が鳴ったので、ちょっと待ってくださいね。」
石川さんの連れの中学の制服を着た可愛い女の子は廊下を走っていった。
めちゃめちゃかわいい女の子だ!春からこの学校に通うのだろうか?
「おーい、石川さん!今の女の子は評判の新入生の北川望海ちゃんじゃないのかい?」
ん?30代半ばの熱血おじさん、国語教師の山縣先生が石川さんに声を掛けてくる。
「え?望海ちゃんそんなに有名なんですか?」
「そりゃあ、500点満点の入試で520点取れば有名にもなるだろう。」
「…望海ちゃんが優秀なのは知ってますけど、どうしたら満点より20点多い点数が取れるんでしょうか?」
「小論文がとても高校受験生のレベルのものでなくてね、文章力、思考力共に大学院の卒論並みのレベルだったのでね。思わず採点40点のところを60点つけてしまったんだよ♪」
「ええと…520点になったのは山縣先生の仕業なのですね…。」
「まあ、それはそれとして…他の教科も通常の受験生とは一線を画すような回答が多くて、採点した先生方がびっくりしていたんだ。
この成績なら県内トップの進学校でも楽勝で通ったはずだと…。」
「それが、風流院高校に入りたいという強い希望があったのですよ。」
「ええと、内申書も見たんだが、成績といい、『経歴』といいわざわざ受験しなくても『推薦枠』で絶対に通ったはずだよね。」
「確かに実質内定していたのですが、『実力で突破したい』という本人の強い希望があって入試も受けたそうでして…。」
「そうか、そんなに根性が座った子なら楽しみではあるんだが……同時に怖い気もするな…。」
「大丈夫です。確かに『ただものではない』と思いますが、建設的な方向に才能を生かそうとされてますので。」
二人の会話を聞いていて、北川さんがどんな子なのかすごく気になってくるんですが?!!
「瀬利亜さん、すみません!お待たせしました!」
まもなく北川さんが戻ってきた。
じっくり見るとセミロングのストレートヘアの可愛らしい…いや、もう『美人顔』だ!しかも明るく素敵な笑顔は同性すら魅了しそうなくらい魅力的だ!
こんな『完璧な美少女』が同じ学年でなくてよかった!!
「どうしたんだね?お客さんかい?」
おおっと!今日で会長最後となる如月君が表の声に気付いて、生徒会室の半開きだった扉を開けて出ていく。私も便乗させてもらうことにしよう。
「おお!!会長と副会長じゃないか!如月君と春日さん、この子は今度この学校に入学する北川さんだ。成績も優秀だし、中学では生徒会長をしていたそうだから、君たちの後を継ぐことになるかもしれないね♪」
山縣先生が眼鏡を直してニコニコしながら私たちに北川さんを紹介する。
「へえ、それは楽しみだね。ぜひ、生徒会に入ってもらって、この学校をさらに過ごしやすい高校にしてもらえるとうれしいな♪」
「そんな風におっしゃっていただいてうれしいです。生徒会に立候補するかどうかはまだ決めてませんが、皆さんがさらに過ごしやすい高校になるように少しでも貢献できればうれしいです♪」
如月君の言葉に北川さんは女性でもうっとりしそうな可愛らしい笑顔で返答する。
……それに対する如月君は……よかった……普通に嬉しそうなくらいだ。 間違っても『新ヒロイン』に鞍替えとかそんな状況では……はっ??!!
思い出してしまいました!!『乙女ゲーム 風流院高校で真なる愛を2』で北川望海ちゃんという女子が新たなライバルキャラとして登場してました!!
……まあ…第一部で悪役令嬢だった石川さんが実際は全然いい人だったので、今回も違うような気もしますし、あまり気にしないことにしましょう。
そんなことを思っていると不意に私たちの足元に妙な幾何学模様が現れた。
「これは召喚の魔方陣!!」
如月君が叫ぶ!!
え?どうしてそんなことを知っているの?……思い出しました。如月君は確か魔界の皇子だとか…今度具体的に聞いてみようかしら…。
そんなことを考えているうちにまわりの光景は薄れていきました。
「勇者の召喚に成功しました!!」
光が薄れて周りの光景が見えてくると目の前に若い金髪のシスターと、近代ヨーロッパの庶民風の人達が教会の中にいるのが私たちの目に入ってきた。
…しかも『勇者召喚』とか言ってますけど…。
「瀬利亜先輩!あのシスターぽい方が今回の召喚者のようですね。雰囲気から察するに悪人ではなさそうですが、『誘拐・略取』をされたというご自覚はなさそうですね。
どう対応しましょうか?」
ええ?!!北川さんは冷静な表情で石川さんに淡々と語っていますが…。
「ふう、今度は『生徒会ごと異世界召喚』というやつね。新たなジャンルということかしら…。」
あの?石川さん『今度は』なんて言われてるのですが…もしかして召喚されたご経験をお持ちなのでしょうか?
「君たち、一体どういうことだ?!!『勇者の召喚』とか言っているが、君たちの勝手な都合で私たちを呼び出したわけかね?」
おお!さすがは山縣先生!熱血先生だけあって、すぐに私たちをかばうように前に出られて話をされ出した。
「申し訳ありません!!この村はギャング団に襲われて全滅の危機にあるのです!!保安官たちも『レッドブルギャング団』に恐れをなして、昨日逃げてしまったのです!!
残ったものの大半は長旅のできない女子供と年寄りなのです!
勇者様方私たちをお救い下さい!!」
保安官とギャング団ですか…?なんか西部劇のような…。
私たちが状況に戸惑っていると扉がバーンと大きく音を立てて開かれた。
「大変です!!レッドブルギャング団の先遣隊が村に!!」
おじさんが慌てて教会の中に飛び込んできました。
その後ろから二メートルを超える大男の三人組がテンガロンハットを被って巨大な拳銃を構えて入ってきた。
大男たちは頭には角のようなものが生えていて…西欧の人食い鬼です!!ファンタジーゲームによく出てくるオーガがギャング団をやっている??!!
「ぐわっはっはっは!!我らレッドブルギャング団に…。」
オーガ達がそこまで言った時にガンガンガン!!!と銃声がして、オーガの持っていた拳銃が吹き飛ばされました。
そして…。
「動かないで!!」
叫んだ石川さんを見ると、なぜか二丁拳銃を構えており、北川さんも巨大な拳銃を構えておられます!!
二人ともオーガを見る目付きは氷のように冷たいです…。
異世界に召喚されたことよりこっちの方が信じがたいのですが?!!
「はい、そこの三人組!!動かないで!それから如月君たちは彼らを縛ってくれる?」
石川さんが左手で拳銃を構えながら、右手で懐から丈夫そうなロープを取り出す。
…えーと、どこにそんなものが収まっていたのでしょうか?
「瀬利亜先輩!先輩が銃を構えていて頂ければ、私が彼らを捕縛しますが。その方が早く片付くのでは?」
「了解!では、望海ちゃん、頼んだわよ!」
石川さんの言葉と共に北川さんはあっという間にオーガ達をロープで固定してしまった。
あまりの手際の良さに見ている私たちはシスターたちも含めて呆然となっている。
「さて、村人の一人が『先遣隊』と言ってたけど、本隊が別にいるということよね。
本隊の場所と規模、武装を教えなさい!」
北川さんは冷たい視線で淡々とオーガの一人の頭に巨大な拳銃を押し付けながら言う。
さっきまでは『完璧な美少女』だった同じ子が『完璧な兵士』になってるんですが??!!
オーガ達は北川さんのオーラに恐れをなして簡単に自白しました。
この村から半日のところに約百名のオーガのギャング団がいるそうです。 武装は拳銃や歩兵銃だそうで、普通ならこの村はあっという間に全滅しそうです。
「嘘だ!!望海ちゃんは美少女ゲーム『わくわく風流院高校2』では、攻略対象ヒロインの一人で可愛らしい魔法少女だったはずだ!!」
……なぜか一緒に召喚されていた狼男の平岡君が嘆いています。えーと、完璧な美少女が魔法少女どころか『完璧な兵士』では嘆きたくなる気持ちはわからないでもないですが…今はそんなことを言っている場合ではないのでは?
「平岡!気持ちはわかるが、今はそれよりも、ギャング団をどうするかだ!
この生徒会のメンツでは一〇名くらいならともかく、相手が百人もいたら村を護りきれないぞ!」
如月君が平岡君を嗜めるように言う。
「さすがは生徒会長。冷静で思いやりのある発言だ。確かにこのメンバーでは守りに入ったら弱いよな。」
山縣先生が難しい顔をして言う。
…あれ?普通の学生がオーガに対応できるわけないはずだよね?どうしてそんな発言になるの?それから石川さんや北川さんの銃撃に山縣先生はあまり驚いていないようだけど…。
「では、攻めるしかないようですね。山縣先生!私と一緒に来て下さい。ちょっと『本隊を一緒に粉砕』してきましょう!
望海ちゃん、後の守りは任せたわ!みんなをお願いね!」
「瀬利亜先輩!了解しました!不肖、北川望海!全身全霊でこの村と生徒会の皆様を守ることを誓います!!」
去りゆく石川さんと山縣先生を見送りながら、北川さんは背筋を伸ばして走りゆく二人に敬礼します。
一体これはどういうことなんですか??!!
その2 へ続く
春日更紗: 勉強もでき、可愛くて愛想のいい美少女副会長。異世界転生だとか、乙女ゲーとかマニアックな言葉を使いたがるぞ♪ なんでもヒロインらしいよ♪
如月隼人: 成績優秀、真面目で長身のイケメンと評判の生徒会長。乙女ゲーのメインターゲットですが…。魔界の皇子だとか何とか…。異世界転生者のようです♪
小森真一: 小柄ではかなげな美少年で、一年で成績トップの書記。次期副会長。こちらも吸血鬼の由緒正しい侯爵家のどうこうとか…。
二階堂武士: 男子陸上部エースで、風紀委員長の精悍な長身の細マッチョ。精霊王の血筋がどうこうとか…。精霊王てなんですか?
水島恭子: 生徒会会計で小森の幼馴染で気がある同級生。次期会長。長髪の美人系の『できる女子』だが、腐女子。
平岡和則: 乙女ゲーの攻略対象のワイルドなイケメンで、正体は狼男。いろんな裏事情に詳しい。
石川瀬利亜
こんにゃこといいにゃ できたらいいにゃ♪
あんにゃゆめ こんにゃゆめ いっぱいあるけど♪
みんにゃみんにゃみんにゃ かなえてくれる♪
不屈の根性で かなえてくれる♪
ちからがつよく なりたいな♪
「ハイ!タングステン下駄」
にゃんにゃんにゃん とってもだいすき セリアちゃん♪
しゅくだいとうばん しけんにおつかい♪
あんにゃこと こんにゃこと たいへんだけれど♪
みんにゃみんにゃみんにゃ たすけてくれる♪
無敵のパワーで たすけてくれる♪
いじめっ子を やっつけて♪
「ハイ!シードラゴンパンチ」
にゃんにゃんにゃん とってもだいすき セリアちゃん♪
(「だんだん私の扱いがひどくなってない??!!
しかもタングステン下駄は履いている『私』が強くなってるだけでしょ!!」《BY瀬利亜》)
(※生徒会の引継ぎでおかしなことになっていたので設定を修正しました。)
ああ、今日で三学期も終わり、しばし、生徒会室ともお別れ、そして来年度に入ってしばらくしたらこの部屋ともお別れですね…。
私・春日更紗は感慨深い思いで生徒会室を眺めていた。
来学期からは三年生になり、新学期に入ってしばらくしたら1年生から書記と会計を選びます。
そして、会長と副会長は引き継ぎを完了し、いよいよ生徒会からはお別れです。
受験と文芸部(幽霊部員)の両方を…文芸部にはイケメンはいないので、如月君と一緒に平日は図書室で、休日は図書館で受験勉強しようかな…。
でも、二階堂君も一緒に図書室に行こうと誘ってくれてるのだよね…。結局三人そろって勉強になることも多いし…。
そんなことを思っていると、廊下から女生徒たちの声が聞こえてきた。
「ほら、ここが生徒会室だよ。望海ちゃん、中学の時、生徒会長だったけど、生徒会に入るのかな?」
ん?この声は石川さん?!
「ええと…今はまだ考えていないんです。…おっとっと携帯が鳴ったので、ちょっと待ってくださいね。」
石川さんの連れの中学の制服を着た可愛い女の子は廊下を走っていった。
めちゃめちゃかわいい女の子だ!春からこの学校に通うのだろうか?
「おーい、石川さん!今の女の子は評判の新入生の北川望海ちゃんじゃないのかい?」
ん?30代半ばの熱血おじさん、国語教師の山縣先生が石川さんに声を掛けてくる。
「え?望海ちゃんそんなに有名なんですか?」
「そりゃあ、500点満点の入試で520点取れば有名にもなるだろう。」
「…望海ちゃんが優秀なのは知ってますけど、どうしたら満点より20点多い点数が取れるんでしょうか?」
「小論文がとても高校受験生のレベルのものでなくてね、文章力、思考力共に大学院の卒論並みのレベルだったのでね。思わず採点40点のところを60点つけてしまったんだよ♪」
「ええと…520点になったのは山縣先生の仕業なのですね…。」
「まあ、それはそれとして…他の教科も通常の受験生とは一線を画すような回答が多くて、採点した先生方がびっくりしていたんだ。
この成績なら県内トップの進学校でも楽勝で通ったはずだと…。」
「それが、風流院高校に入りたいという強い希望があったのですよ。」
「ええと、内申書も見たんだが、成績といい、『経歴』といいわざわざ受験しなくても『推薦枠』で絶対に通ったはずだよね。」
「確かに実質内定していたのですが、『実力で突破したい』という本人の強い希望があって入試も受けたそうでして…。」
「そうか、そんなに根性が座った子なら楽しみではあるんだが……同時に怖い気もするな…。」
「大丈夫です。確かに『ただものではない』と思いますが、建設的な方向に才能を生かそうとされてますので。」
二人の会話を聞いていて、北川さんがどんな子なのかすごく気になってくるんですが?!!
「瀬利亜さん、すみません!お待たせしました!」
まもなく北川さんが戻ってきた。
じっくり見るとセミロングのストレートヘアの可愛らしい…いや、もう『美人顔』だ!しかも明るく素敵な笑顔は同性すら魅了しそうなくらい魅力的だ!
こんな『完璧な美少女』が同じ学年でなくてよかった!!
「どうしたんだね?お客さんかい?」
おおっと!今日で会長最後となる如月君が表の声に気付いて、生徒会室の半開きだった扉を開けて出ていく。私も便乗させてもらうことにしよう。
「おお!!会長と副会長じゃないか!如月君と春日さん、この子は今度この学校に入学する北川さんだ。成績も優秀だし、中学では生徒会長をしていたそうだから、君たちの後を継ぐことになるかもしれないね♪」
山縣先生が眼鏡を直してニコニコしながら私たちに北川さんを紹介する。
「へえ、それは楽しみだね。ぜひ、生徒会に入ってもらって、この学校をさらに過ごしやすい高校にしてもらえるとうれしいな♪」
「そんな風におっしゃっていただいてうれしいです。生徒会に立候補するかどうかはまだ決めてませんが、皆さんがさらに過ごしやすい高校になるように少しでも貢献できればうれしいです♪」
如月君の言葉に北川さんは女性でもうっとりしそうな可愛らしい笑顔で返答する。
……それに対する如月君は……よかった……普通に嬉しそうなくらいだ。 間違っても『新ヒロイン』に鞍替えとかそんな状況では……はっ??!!
思い出してしまいました!!『乙女ゲーム 風流院高校で真なる愛を2』で北川望海ちゃんという女子が新たなライバルキャラとして登場してました!!
……まあ…第一部で悪役令嬢だった石川さんが実際は全然いい人だったので、今回も違うような気もしますし、あまり気にしないことにしましょう。
そんなことを思っていると不意に私たちの足元に妙な幾何学模様が現れた。
「これは召喚の魔方陣!!」
如月君が叫ぶ!!
え?どうしてそんなことを知っているの?……思い出しました。如月君は確か魔界の皇子だとか…今度具体的に聞いてみようかしら…。
そんなことを考えているうちにまわりの光景は薄れていきました。
「勇者の召喚に成功しました!!」
光が薄れて周りの光景が見えてくると目の前に若い金髪のシスターと、近代ヨーロッパの庶民風の人達が教会の中にいるのが私たちの目に入ってきた。
…しかも『勇者召喚』とか言ってますけど…。
「瀬利亜先輩!あのシスターぽい方が今回の召喚者のようですね。雰囲気から察するに悪人ではなさそうですが、『誘拐・略取』をされたというご自覚はなさそうですね。
どう対応しましょうか?」
ええ?!!北川さんは冷静な表情で石川さんに淡々と語っていますが…。
「ふう、今度は『生徒会ごと異世界召喚』というやつね。新たなジャンルということかしら…。」
あの?石川さん『今度は』なんて言われてるのですが…もしかして召喚されたご経験をお持ちなのでしょうか?
「君たち、一体どういうことだ?!!『勇者の召喚』とか言っているが、君たちの勝手な都合で私たちを呼び出したわけかね?」
おお!さすがは山縣先生!熱血先生だけあって、すぐに私たちをかばうように前に出られて話をされ出した。
「申し訳ありません!!この村はギャング団に襲われて全滅の危機にあるのです!!保安官たちも『レッドブルギャング団』に恐れをなして、昨日逃げてしまったのです!!
残ったものの大半は長旅のできない女子供と年寄りなのです!
勇者様方私たちをお救い下さい!!」
保安官とギャング団ですか…?なんか西部劇のような…。
私たちが状況に戸惑っていると扉がバーンと大きく音を立てて開かれた。
「大変です!!レッドブルギャング団の先遣隊が村に!!」
おじさんが慌てて教会の中に飛び込んできました。
その後ろから二メートルを超える大男の三人組がテンガロンハットを被って巨大な拳銃を構えて入ってきた。
大男たちは頭には角のようなものが生えていて…西欧の人食い鬼です!!ファンタジーゲームによく出てくるオーガがギャング団をやっている??!!
「ぐわっはっはっは!!我らレッドブルギャング団に…。」
オーガ達がそこまで言った時にガンガンガン!!!と銃声がして、オーガの持っていた拳銃が吹き飛ばされました。
そして…。
「動かないで!!」
叫んだ石川さんを見ると、なぜか二丁拳銃を構えており、北川さんも巨大な拳銃を構えておられます!!
二人ともオーガを見る目付きは氷のように冷たいです…。
異世界に召喚されたことよりこっちの方が信じがたいのですが?!!
「はい、そこの三人組!!動かないで!それから如月君たちは彼らを縛ってくれる?」
石川さんが左手で拳銃を構えながら、右手で懐から丈夫そうなロープを取り出す。
…えーと、どこにそんなものが収まっていたのでしょうか?
「瀬利亜先輩!先輩が銃を構えていて頂ければ、私が彼らを捕縛しますが。その方が早く片付くのでは?」
「了解!では、望海ちゃん、頼んだわよ!」
石川さんの言葉と共に北川さんはあっという間にオーガ達をロープで固定してしまった。
あまりの手際の良さに見ている私たちはシスターたちも含めて呆然となっている。
「さて、村人の一人が『先遣隊』と言ってたけど、本隊が別にいるということよね。
本隊の場所と規模、武装を教えなさい!」
北川さんは冷たい視線で淡々とオーガの一人の頭に巨大な拳銃を押し付けながら言う。
さっきまでは『完璧な美少女』だった同じ子が『完璧な兵士』になってるんですが??!!
オーガ達は北川さんのオーラに恐れをなして簡単に自白しました。
この村から半日のところに約百名のオーガのギャング団がいるそうです。 武装は拳銃や歩兵銃だそうで、普通ならこの村はあっという間に全滅しそうです。
「嘘だ!!望海ちゃんは美少女ゲーム『わくわく風流院高校2』では、攻略対象ヒロインの一人で可愛らしい魔法少女だったはずだ!!」
……なぜか一緒に召喚されていた狼男の平岡君が嘆いています。えーと、完璧な美少女が魔法少女どころか『完璧な兵士』では嘆きたくなる気持ちはわからないでもないですが…今はそんなことを言っている場合ではないのでは?
「平岡!気持ちはわかるが、今はそれよりも、ギャング団をどうするかだ!
この生徒会のメンツでは一〇名くらいならともかく、相手が百人もいたら村を護りきれないぞ!」
如月君が平岡君を嗜めるように言う。
「さすがは生徒会長。冷静で思いやりのある発言だ。確かにこのメンバーでは守りに入ったら弱いよな。」
山縣先生が難しい顔をして言う。
…あれ?普通の学生がオーガに対応できるわけないはずだよね?どうしてそんな発言になるの?それから石川さんや北川さんの銃撃に山縣先生はあまり驚いていないようだけど…。
「では、攻めるしかないようですね。山縣先生!私と一緒に来て下さい。ちょっと『本隊を一緒に粉砕』してきましょう!
望海ちゃん、後の守りは任せたわ!みんなをお願いね!」
「瀬利亜先輩!了解しました!不肖、北川望海!全身全霊でこの村と生徒会の皆様を守ることを誓います!!」
去りゆく石川さんと山縣先生を見送りながら、北川さんは背筋を伸ばして走りゆく二人に敬礼します。
一体これはどういうことなんですか??!!
その2 へ続く
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