13 / 13
波紋
決心とノーテンキ?女
しおりを挟む切り結んだ剣と脚は、膂力を尽くした結果押し切った。
しかし剣はそれに耐え切れなかった。度重なる無理な使用。
使用者の稚拙な技量。そしてそれらが短期間に
連続して行われた結果だった。
折れた剣は振るった力そのままに進んでいく。
根本はあの野郎にそして、剣先は守るはずだった者に。
音が聞こえない。聞こえて欲しいのに。
少しでも現実に引き戻してくれればいいのに
なんで?間違ってなんかいない。
正しかったはずだなのに、なんで?
野郎が何かをのたまっているらしいが全くわからない。
雑音なんていらない。どっかいっちまえ
蹴り飛ばされた奴は漫画みたいに飛んでいって
余計に現実味が欠けた。
ゲームや漫画ならこれで奴を倒しちまえば全て元どおり。
あいつも元気になって、俺は
『もう、勝手にいなくなるじゃねーぞ…って』
言うんだ。
ーーーーーー幕間ーーーーーー
それからはあっという間だった。心配してくれたカナ子が
俺たちを発見して、慌てて治療をしてくれた。
俺も腕が変だったがそんなことは気にならなかった。
おかしい。なんで?こんなに重い?視界が狭い。
目が動かせない。一歩一歩踏み出すたびに息が
全部からになっているような、喉の奥が熱くなって
せり上がりそうで、なのになぜか頭は冷えてて、
意味がわからなかった。
『ひとまず平気そうカナ』
額の汗を拭いながらそんなことを言うカナ子。
『ミーちゃんも落ち着いたカナ?』
『幸い命に別状はないみたいカナ』
バカ言うなよ。俺は落ち着いてる
『まだダメそうカナ?』
ああ、潜在的にこういうところで男は女に勝てないんだろう。
どーしてこんなに…
『今日はご馳走を用意してたんだけど、
またにして今日は簡単に食べて寝るとするカナ?』
…賛成。
ここまで食事を無味無臭と感じたのはこちらに来てから
初めてだった。あの頃に帰った気がしてとても嫌だった。
でも、その嫌という気持ちがどうにか心を繋いでいた。
『あの頃なら…』
『…』
ーーーーーー幕間ーーーーーー
相当堪えてるみたい。ポツポツとこぼしていたこと
からしか状況がわからないけど、相当だ。
もともと彼は明るいタイプではなかったがこれは
そういう次元じゃない。
この世界に来てからの心の支えはニーナさんしかなかったんだ。
ともかく明日全てを聞き出すしかない。あの状態のミーちゃんに
まともな話ができるかわからないけど、
一晩おけばカレー?だって美味しくなるっていうし!うん!
ーーーーーー幕間ーーーーーー
どんなに暗い気分だって朝はやってくる。
なかなか寝付けなかったのもあるけど不快感抜群だ。
まぶたがヒリヒリとして重い。
太陽の光も合間ってかなりグロッキー。
ゾンビにでもなったみたいだ。試験も何にもないってね
時計を見るとどーももう朝を通り越して昼になるところらしい。
ターダ壊れてるぅ?
もう一度タオルでもかぶってしまおう。
『暑いっ』
どーにもならんなこりゃ。
『なーにしてんの?』
『…』
『熱にやられたー?これくらいの暑さで?』
『そうかもな』
『わー脳みそ16bitの光国が?
買い直すかファンでも増設したらー?』
『…』
『張り合いないなぁー。どうしたんだよユー』
『…どーもこーもねーよ』
いつもどおりすぎる…。なんなんだよ
『こちとら真剣なんだ!いいからほっとけ!!』
『わっ?おはよ?』
『……おはよう。』
『下でカナ子が待ってる。早く起きないから心配してたよ?』
そりゃ俺よりお前だろっ!…まあいいや
『先に降りてるから二度寝しないでねー』
『…』
あーもー!!ワカンネ!なんでこんな事になってんだ俺はっ
ーーーーーー幕間ーーーーーー
光国の性格からして素直に許すとつたえても、
きっと気にやむ。本人にその気がなくても、
絶対態度に出る。そりゃあたしだって気にならないわけじゃない。正直今までになかったくらい痛かったし、怖かった。
起き上がってお医者さんに完全に治りはしないと言われた時は
夢だと思いたかった。お腹近くで普段は見えなくても、
水着はしばらく考えなくちゃいけない。
あたしだって…。
あー、やめやめ…。でもそれより何より、光国と
ギクシャクし続けるのは嫌。それだけは絶対。
絶対にあっちゃいけない。
光国に落ち込んでいるところを見られたらダメだ。
窓の外はもう明るく、冷たい夜明けの風の
面影は文字通り何処吹く風だった。
ーーーーーー幕間ーーーーーー
『あー、ドアが重い…』
二階にある俺の部屋についにカナ子の怒声が
飛び込んできたのはついさっき、
慌てて着替えてる事にし降りてきたのはいいものの
やりづらいったらありゃしない…
やっぱこーゆー時人間性が出るよなぁ
『しゃーなし』
すぎたことは仕方ない!
わけもないけど
ーーーーーー『食堂』ーーーーーー
宿屋の食堂では、もう人は少なくてすいていた。
朝と夕方は多くなるが昼はそうでもないらしい。
玄関から少し離れたところに2人はいた。
『おはようさん』
『おはようじゃないでしょ?もうブランチもいいとこカナ?』
『どうどう』
『私は馬カナ?!』
俺は食欲もなくてテキトーにパンとお茶にした。
向こうはサンドイッチとオートミールみたいな
よくわからんスープにしていた。
食事中カナ子はしきりに伏せ見がちにしていた。
流石にカナ子でも空気が重いようだ。
食も遅々として進んでいない。すると
『ねぇカナ子』
『どーかしたカナ?』
『光国がお茶にしたのはコーヒーが飲めないからなんだよ。
中学生の時は無理にブラックで飲んで毎朝、』
『だぁあ!もういきなり何話し出すんだ一体!』
『いいじゃん。減るもんじゃないしさー?』
『よくないっ!確実に俺の中で何かがものすごい勢いで
擦りへってくんだよ』
『ミーちゃん、コーヒー飲めないのカナ?』
『…そーだよ』
『それで高校入った時にあきらめてー』
『もう好きにしてくれ。』
ひとまずは平気らしい。
ーーーーーー幕間ーーーーーー
昨日の今日だが仕事は休めない。
大事をとってニーナは置いてきた。
ヤクルトもいるし大丈夫だろ
で、だ。
『やっぱり範囲魔法が使えればもっと稼ぎのいいもの
にも行けるカナー?』
このカナ子と昨日の森まで来ていた。
気持ち的にはここには着たくなかったが、
カナ子が一度行ったところのほうが
何かと便利だーとか言い出した。
カナ子はこの辺では有名な先導者なんだとか、
二つ名みたいなものまでつけられているらしい。
『人は見かけによらないなーホントに』
『どーゆー意味カナ』
『べっつにー』
…正直、ありがたかった。
なんとか折り合いはつけられたがまだ違和感が残る。
四六時中近くにいたら目も当てられないものだろう。
『それよりですよ?ミーちゃんカナ』
『ん?』
『昨日先輩方に聞いたけど、結構な働きだったそうじゃないカナ?』
『あー、そんなこと言われたっけ』
『けど無駄が多いとも聞いたカナ?』
褒めるか小言かどちらかにしろよ…
『そこで今日ですがフロントはミーちゃんに任せるカナ』
『おいおい、こちとらペーペーだぜ?』
『集団戦闘に慣れるためです。ミーちゃんそーゆーの下手くそカナ』
『そりゃそうだが…』
『何事も挑戦…カナ!』
…不安しかない。
next
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる