KAKERU 世界を震撼させろ

福澤賢二郎

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駆の章

アルゼンチン戦 後半開始

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《宇垣悠里》
宇垣悠里はピッチ脇へ移動していた。
スタジアムは満員。
山田太郎から合図が来た。
スタジオから振られる。
(悠里ちゃん、スタジオは大興奮が続いているけど、そっちはどう?)
「こちらも大盛り上がりです。両チームのサポートか大歓声とブーイング。互角にやり合っている証拠です」
(そうそう、互角という事で議論になったんだけど、日本の姿勢で賛否両論状態。今までの日本に無い攻撃姿勢。日本のサッカーじゃなく、アルゼンチンのリズムに乗せられて攻めのサッカーをしているって北澤さんや名波さんとかは言ってて戸惑ってるみたいなんだよね)
「はい、その通りだと思います。まるで、点取り合戦は南米だけが出来るわけじゃないと言っているようでした」
(点取り合戦?いいね。その言い方。そうそう、そんな感じだった。じゃあ、後半も応援を頼むね)
「わかりました。一緒に頑張りましょう」
スタジオの解説陣に放送が変わる。
目の前を日本代表選手が通って行く。
大海信吾はウインク。
空山隆之介が目の前で止まる。
「点を取って来るよ」
「うん、応援しとっと」
笑顔で軽く駆け出して行った。

空山隆之介は調子が良いらしい。

《俺》
ピッチに入る。
スタジアムは騒がしいが、ピッチ上は別空間にあるかの様に静に感じる。
両チームの選手がピッチのそれぞれのポジションについている。
後半開始のホイッスルが響く。
日本からのキックオフ。
大海は柴咲へボールを蹴り出すと相手陣地へ走っていく。
柴咲はドリブルで前へ進み、アルゼンチン選手の前で左側にいる城戸へボールを流した。
「まずはリードするんじゃ、攻めのサッカーでアルゼンチンを圧倒するんじゃ」
城戸が手を上げて上がれとチームを鼓舞した。
駆が現れて笑顔。
(隆之介、行くぞ。俺の夢はワールドカップの舞台に立つ事だった。でも、そろそろ、お前はその先の夢を見ろよ)
そして、駆がアルゼンチンゴールに向かって走りだした。
俺の夢?
考えた事なかった。
俺は駆を追うように走り出していた。
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