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第1章

第44話:王都に到着しました。宿泊先は王城です

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 それから数時間後。
 俺達は無事に王都へと到着した。
 俺とゼノア、フィアはフィリップさんとクレア達の命の恩人と言うことで、検問をされずにすんなりと通された。

「そうだ。俺達は宿を取りたいからここいらで降りるとするよ」
「宿は王城でもよいが?」
「命の恩人ですし」

 そうは言われても……流石に王城での泊まりは困る。

「流石に悪いから遠慮するよ」
「アキト殿。どうしてもなのか?」
「何もしないと言うのは王家の恥ですから! お願いします!」
「ふぁ~、んっ、うん? どうしたのお兄ちゃん?」

 フィアが目を覚ましたようだ。
 ゼノアは俺に着いてくるし、ここはフィアに聞いてみるか。

「フィアは王城に泊まってみたいか?」
「おうじょう?」
「そうだ。あそこに見える大きな城だ」

 そう言って窓の外を指さす。
 フィアは見た瞬間、目をキラキラさせた。

 あっ……これは確定かな?

「泊まって見たいか? フィアがいいならそこにするけど?」
「いいの! 行きたい!」
「ならそうしようか」
「やったぁー!」

 フィアの言葉を聞いたフィリップさんとクレア。
 表情を見ると嬉しいようだ。

「さて。ではこのまま王城に行こうか」
「ああ、お願いするよ」

 結局王城での宿泊が決まってしまった。
 まあ、フィアが喜んでいるので良しとしよう。
 俺はゼノアとフィアが喜んでいるのが見れればそれでいいのだ。

 暫くすると馬車が停止した。
 扉が開かれる。
 降りた俺とゼノア、フィアは見上げた。
 後ろからフィリップさんが声をかけた。

「私の城はどうだい?」
「どうですか?」
「で、でかい……」
「デカいのう。あの城よりは立派だな」
「わぁあ! お城だ!」
「ハッハッハ。喜んで貰えて良かった」

 デカい白亜の城だな。
 ここに泊まるのか……

 そう考えると少しワクワクしてきた。

 明日から家探しをするか。

 城入口前には騎士達が整列して出迎えていた。

「アキト殿行くぞ」
「アキトさん行きましょう」
「ああ」

 騎士達の間を通り抜け、中に入る。
 中は巨大な空間となっており、ロウソクだろうか? それのシャンデリアが吊るされていた。
 華美な物は一切なく、気品を感じさせる。

「陛下にクレア様おかえりなさいませ……そちらは?」

 俺達の目の前には一人の執事だろう人物と、それなりの衣服を身にまとったおじさんがいた。

「ただいま戻った。ダーウェン宰相にグーテ」
「ただいま戻りました。こちらは盗賊に襲われた所を助けて頂いた者達です」
「そうなのですか?」

 ダーウェン宰相とグーテさんが俺達三人を見る。

「そうだ。盗賊の規模が多かったがこの者達が助けてくれたのだ。私とクレアの客人だ。家が決まるまではこの城に泊まる事になる。丁重に扱ってくれ」
「分かりました」
「畏まりました」

 二人が俺達の前にくる。

「陛下とクレア様を助けて頂きありがとうございます。私はレスティン王国の宰相をしておりますダーウェンと申します」
「私は執事長兼陛下専属の執事をしております、グーテと申します」

 俺達も自己紹介をする。

「俺は冒険者のアキトだ。こっちは」
「ゼノアじゃ。ご主人様の妻じゃ」
「フィアっていいます! お兄ちゃんの将来のお嫁さんです!」

 俺は内心で冷や汗をかく。
 ゼノアは見たの割に年は凄い。
 逆にフィアはまだ子供だ。だが将来のって言っているので取り敢えず大丈夫だろう。

「そうでしたか。アキト様に奥方のゼノア様、フィア様ですね。よろしくお願いします」
「こちらこそお願いするよ」
「あ、アキトさん」

 声のする方を振り向くと、クレアがアワアワしていた。

「どうした?」
「その、ゼノアさんが妻って……どう言う事ですか?」
「……は?」
「だって、まだ子供ですよ?」

 俺が口を開く前に、ゼノアが口を開いた。

「何を言っておるのじゃ! 妾はこう見えても二千七百歳なのじゃ。敬意を払うのじゃ!」

 ゼノアの発言に沈黙が場を支配する。
 ゼノアの年齢はフィリップさんやクレアにだって言っていない。てか言う必要がなかった。

「そ、それって本当、ですか?」

 クレアが俺に聞いてくる。

「ああ、そうだな。ステータスを見たら性別も女となってたし」
「え、え、えぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 フィリップさんや宰相のダーウェンさん、グーテさんも笑顔のままだ。

「フィ、フィアちゃんは?」
「見た目通りの年齢だ」
「ふぅー」

 何故安堵しているのだろうか?
 俺には分からない。人の心なんて読めないのだから。

「クレア。お主ご主人様を狙っておるのか?」

 ん? どう言うことだ?

 ゼノアの発言に俺は頭を悩ます。

「そ、そそそそんわけないじゃないですか!」
「そうかのう?」
「も、もちろんですよ!」
「ふふっ、ではそう言う事にしておくとしようかのう。妾はクレアを歓迎するのじゃがのう……」
「も、もうゼノアさん!」
「二人で何を言ってるんだ?」
「「ご主人様は(アキトさん)は関係ないのじゃ(です)!」」

 見事にハモった二人。
 俺には訳分からん。

 フィリップさんはニヤニヤして見ていて、口を開いた。

「さて、クレアもその事は後で話そうか。グーテ、二人を部屋に案内してくれ」
「畏まりました。御三方こちらへ」

 俺達は部屋に案内されるのだった。

 一体なんの話だったのだろうか?



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