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8巻
8-3
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「――吹き飛べ!」
閃光とともに球体が爆発し、大爆発の比ではないほどの威力を見せる。
「ぐぅっ!?」
煙によってよく見えないが、ルシフェルのくぐもった声が聞こえた。
効いてはいるようだが……それでも大したダメージはないと予想する。
砂塵が晴れると、そこにはクレーターができており、中心部にはルシフェルの姿があった。
見下ろすように立っている俺を睨みつけるルシフェルに向かって、俺は声をかける。
「感想を聞かせてくれるか?」
「少しですが効きましたよ……魔石に魔力を流すことで暴走を引き起こし、爆発させたのですか」
「正解だが、強がりは結構だ。頼むから、平和のためにここで死んでくれ」
「お断りです。主の願いこそが我らの願い」
そう言うルシフェルの瞳からは、狂信と絶対の忠誠を見て取れる。
「くだらない望みを抱く神に忠誠を誓うのか。不思議な奴だな」
「……なんですって? 今、なんと言いました?」
「くだらないと言ったんだ。世界の支配と神々の頂点? 寝言は寝て言え。だいたい神の頂点に立ったところで何の意味がある。全能でも万能でもない神に何ができると?」
俺はルシフェルを煽っていく。
冷静さを失ってくれれば多少はやりやすくなるはずだ。
「だいたい、一度封印されてるなら、その程度の存在ってことだろう。やっぱりお前も大人しく俺に倒されて、世界平和に貢献した方がいいんじゃないか?」
ルシフェルは怒りの表情を浮かべながら浮遊し、俺を見下ろしてゆっくりと口を開いた。
「いいでしょう。主を侮辱したことを、永遠の苦痛をもって償わせてあげましょう」
ルシフェルの体がブレたことで視界から消え、危機察知スキルが警鐘を鳴らす。
《マスター! 上です! 空間断絶結界を三重展開します!》
エリスの警告が脳内で鳴り響き、俺は咄嗟に愛刀を上に掲げる。
エリスによって張られた結界が抵抗もなく切り伏せられていく。
最後の一枚はわずかに耐えたが、それでもルシフェルの攻撃の勢いは弱まっておらず、俺は愛刀でなんとか受け流そうとする。
結界を使って緩和したとはいえ、重い一撃だ。
「ぐっ!」
思わず声が漏れる。
なんとか受け流した俺は、そのまま地面を踏みしめて斬りかかったが、半歩動いたことで躱されてしまい、腹部への衝撃とともに吹き飛ばされた。
どうやら地面から放たれた土魔法の弾丸が直撃したらしい。
腹部の痛みを堪えながら立ち上がると、構え直す間もなく、眼前に無数の火球が迫っていた。
「――チィッ!」
咄嗟に横へと飛び、それでも避けきれないものは空間断絶結界で防御する。
しかしこれは悪手だった。
《――マスター! これはルシフェルによる罠です! 急いで回避してください!》
俺の気配察知が背後に反応するが、この不安定な体勢からだと完全に回避することはできない。
どうするかと焦った瞬間、エリスの声が響いた。
《雷神の鉄槌と空間断絶結界を発動します!》
俺の背を守るように空間断絶結界が展開され、背後に雷が落ちる。
俺はすかさず体勢を立て直し、再び武器を構えた。
気配を察知した場所ドンピシャに雷は落ちたようだが、このまま倒せるとは思えない。相手はあのルシフェルだ。
俺は後退しつつ、様子を窺う。
土煙の中、起き上がろうとする影が見えたため、俺はすかさず魔石を加工した球に魔力を流し込んで投げつけた。
卑怯と言われようと、これは生死と人類の存亡を懸けた戦いだ。
魔石が爆発し、その爆風がルシフェルを襲う。
「ぐぉっ!?」
爆炎の中からくぐもった声が聞こえてきた。
多少のダメージは与えられているようだ。
追加でいくつも投げつけると、さらなる大爆発が引き起こされる。
しかしこれでは決定打に欠けるな……
どうするかと考えていると、中心部で魔力が爆ぜ、その衝撃で爆炎や砂塵が吹き飛ばされた。
当然、その中央に立っているのはルシフェルだ。
「プレゼントはどうだったかな?」
「逆に問いますが、その程度の小細工しかできないのですか?」
ルシフェルは平静を装っているが、言葉からは怒りを感じる。
無傷とはいかなかったのだ。当然といえよう。
「俺にはこれくらいの小細工しかできないんでね。それに、早くお前との戦いを終わらせたいんだよ」
「奇遇ですね。私も終わらせようと考えていたのですよ」
「ならやってみろ」
「では――地獄の門」
ルシフェルの背後に浮かんだ魔法陣から漆黒の門が出現し、ゆっくりと扉が開かれた。
扉の向こうからは無数の腕が、俺を捕らえようと迫る。
以前アロギスが使ったのと同じ魔法だ。あの黒い手に触れられると即死してしまう。
とんでもなく強力な魔法だが、一度見た魔法であり対策もできている。
俺は手のひらを天に掲げ、魔法名を唱えた。
「――天火明」
ほどなくして、雲の隙間を縫って細く強い光が差し込んだ。
差し込んだ光は迫りくる無数の腕へと当たり、塵へと還していった。
さらに光は出現した漆黒の門と周囲の魔物たちへと降り注ぐ。
門はほどなくして亀裂が走ったかと思うと崩壊し、光が直撃した魔物も同じように消えていった。
光はルシフェルにも当たっていたのだが、どうやら結界で防いでいるようで、特に変わった様子はない。
それから数秒ほどして、光が収まった。
「なるほど、対処できますか。アロギスが作り上げた魔法とは聞いていましたがね」
「アロギスが使ったのを一度防いでるんだ、効くわけがないだろう……で? お前の本気はその程度か?」
「ご冗談を。私はまだ、本気を出していませんよ。この戦いで最も危険な存在はあなたです。危険な存在は速やかに排除しなくてはなりません。ですから、少しだけ本気を見せてあげましょう」
その言葉とともに、ルシフェルの身体から魔力が噴き上がり、螺旋を描いて天を衝いた。
噴き上がった魔力はほどなくして、中心部であるルシフェルを包み込む。
まるで漆黒の繭だな。
一瞬、攻撃をしようと考えたがすぐに諦めた。
あれほどに濃密な魔力で作られていれば、並大抵の攻撃では意味をなさない。それならここで無駄な力を使うのは愚策だ。
ほどなくして、漆黒の繭が弾け飛び、そこからルシフェルが現れた。
服装と武器が変わったくらいで、それ以外に大きな変化は見られないが……
だが、油断したら死ぬと、本能が俺に訴えかけてきていた。
《ルシフェルの魔力量が急激に上昇しております。単純に計算すれば、マスターの五倍はあります》
なんともまぁ……それでエリス。勝てると思うか?
《勝率は20%と低いですが、すべてが私の計算通りに進めば勝てます》
なんとも頼もしい言葉だ。
魔力量にそれだけ差があるのに勝てるとは、流石は相棒だ。
どんな作戦なんだ?
《はい。お任せください。まず――》
エリスの作戦を聞いた俺は、笑みを浮かべた。
流石エリス、これなら勝てそうだ。
そして、上空でこちらを見下ろすルシフェルが口を開いた。
「どうしました? この姿を見て怖気づきましたか?」
「まさか。その逆さ。やる気が出てきたってものだ」
「そうですか。ですが、ここで終わりですよ――漆黒の太陽」
ルシフェルの上空に黒い太陽――いや、太陽と見間違うほどに大きな火球が出現する。
今までの比ではない魔力量だ。
自分だけ空間断絶結界で防御しても、周囲への被害は甚大だろう。
だから、今までとは違う方法で防ぐことにした。
「――空間断絶結界」
今まさに落ちようとしている黒い太陽の周囲を結界が覆った。
「――なっ!?」
ルシフェルの驚いた声が聞こえる。
俺が結界の範囲を縮めていくと爆発が起きた。
だが、爆発は結界を破壊する威力はなく、少しして収まった。
「驚いているようだがどうした? この程度のこと、俺ができないとでも思ったか?」
「くっ……いいでしょう。ならば私自らこの手であなたを裁いてあげましょう」
そう言ってルシフェルは、手に持った長剣を天に掲げた。
何かをする気なのだろう。
先ほど隕石を斬ったものよりも、はるかに強力な気配だ。
その気配だけでも、レア度が神話級ということがわかる。
空間断絶の能力くらいはあるだろうな。
俺は鑑定を発動する。
名前 :明星ウェヌス
レア度:神話級
備考 :明星から生まれし一振りの魔剣。
うん。アロギスの剣を鑑定した時と同じで、何にも効果がわからねぇ……
だけど、これだけは理解できる。
神話級というレア度相応の力と能力を有していることを。
ルシフェルの持つ魔剣へと、膨大な魔力が注がれていく。
あの攻撃だけは空間断絶結界では防げないと、直感がそう告げてくる。
普通なら逃げるべきだが、そうするわけにはいかない。
何か手はないのか――そう考えた瞬間に、一つ思いついた。
それは同じ神話級の武器、つまりは俺の愛刀をぶつけることだ。
俺は納刀して魔力を流し込む。
後のことなどどうでもいい。
奴をここで倒さなければ、邪神クロノスを倒す時の障害となる。
だから、ルシフェルという強敵相手に、なんとしてでも勝たなくてはならない。
俺は目を瞑り、呼吸を深くしていき、流し込む魔力の濃度を上げていく。
まだだ。まだルシフェルが放とうとする攻撃の威力には届かない。
そんな中、ルシフェルが無慈悲にも冷めた声色で告げた。
「では、死ね――無慈悲の断罪」
ルシフェルが剣を振り下ろすとともに、一直線に俺目掛けて迫る斬撃。
避けることは簡単だ。だが、後ろには多くの仲間たちが戦っている。
それを見捨てることなど、断じてできない!
「――桜花一閃・真絶」
抜刀とともに真紅の剣閃が空間を走り、ルシフェルの一撃と衝突した。
この技は『桜花一閃・絶』の強化版だが、違う点があるとすれば、技を使用した後に硬直時間が発生することで、他の攻撃へとスムーズに移行できないことだ。その分、一撃における威力が桁違いに上昇している。
空間が悲鳴を上げ、衝撃波が周囲の敵を吹き飛ばす。
「くっ、この私の技と拮抗しますか」
「チッ、こっちは拮抗なんてしたくなかったよ!」
拮抗が続くも、俺が放てる最高の一撃が破られ、ルシフェルの斬撃が迫ってきた。
「――なっ!?」
まずい、このままでは巻き込んでしまう。
焦る俺の脳内に、エリスの声が響く。
《空間断絶結界を五重展開します》
後方はどうなる!?
《すでに周囲に被害が出ないように、空間断絶結界を展開済みです》
仕事が早くて助かるよ。
だがいずれにしても、あの攻撃は空間断絶結界を破ってくるはず。別の方法で防がなければならないのだ。
そして迫る攻撃が結界に衝突する。
一枚目はすぐに破壊され、二枚目と三枚目も多少は持ちこたえたが、じきに砕ける。
四枚目でようやく数秒もったが、これも破壊された。
最後の一枚にぶつかった斬撃は、これまでよりは威力が落ちていたが、それでも結界には徐々にヒビが入っていく。
くそっ! 五重展開でこれか……でも、こんなところで死んでたまるかよ!
俺は愛刀を手に、魔力を流す。
――エリス。結界が砕けるタイミングで合図を頼む。
《承りました。カウントダウンを開始します。5、4、3……》
その間、俺は愛刀へと魔力を注ぎ、瞑目する。
さっきほどの魔力は込められないが、向こうの斬撃も威力は落ちているから問題はない。
《2……1……今です》
その瞬間、パリンッという結界が破壊された音が鳴り響き、俺は刀を振るった。
魔力が込められた俺の刀と、ルシフェルの放った攻撃が再び衝突する。
「くっ――!」
ルシフェルの斬撃を消滅させることは成功したが、衝撃によって俺は吹き飛ばされて地面を転がる。
そして痛みを感じつつもゆっくりと立ち上がると、目の前にルシフェルが降り立ち、俺に剣を突き付けた。
「うっ、ぐぅっ……」
「あれを防ぐとは、称賛いたしましょう。ですが――あなたの負けです」
ルシフェルは俺の首目掛けて剣を振るった。
そして俺の首が飛び――
「――なっ!?」
ルシフェルは驚きの声を上げた。
その理由は、宙を舞う俺の首が霧散するように消えたからだった。
「そんなに驚いたか?」
そんなルシフェルに、俺は姿を現し声をかける。
「幻惑、ですか……一体いつの間に?」
「俺が吹き飛んだ瞬間だよ」
「いくらあれだけの威力の攻撃が衝突した直後とはいえ、魔法の発動に私が気付かないはずがありません」
「どうして気付けなかったと思う?」
答えは簡単だ。
俺はその答えを告げる。
「――お前が俺を殺すことに集中していたからだ」
「なるほど。私の意識を誘導したのですか」
「正解だ」
あれだけ派手に吹き飛んで大きな隙を見せたのだ、ルシフェルの意識が俺にとどめを刺すことに集中するのは当然だ。
俺はその隙をついて幻影を生み出し、本体である俺はスキルの気配遮断、ステルス、魔力遮断などを使ってその場から離脱した。
吹き飛んだ俺を倒すことだけに集中したのが裏目に出たというわけだな。
「ルシフェル、決着を付けようぜ」
俺は愛刀をルシフェルに突き付けた。
第4話 【熾天】ルシフェルⅡ
ルシフェルは再び罠にかけられることを警戒しているのか動こうとせず、俺の出方を窺っている。
ならばと、俺から攻撃を仕掛けることにした。
縮地を使って最速で接近しつつ、俺の幻影を複数体作り出す。
魔力も込めたことで実体を得て攻撃を加えられるようになっているので、そう簡単には見抜けないだろう。
加えて、俺は懐から取り出した魔石を加工した球に、魔力を流し込んで投げつけた。
今回は攻撃のためというよりは、爆発による目くらましが目的だ。まぁ、ダメージに関しては少しくらい食らえばいいなとは思っているが。
接近する俺と分身は、次々と攻撃を繰り出す。
「――くっ!」
ルシフェルから苦しげな声が聞こえた。
「厄介ですね!」
ルシフェルが剣を薙いだことで砂塵が晴れ、分身が斬り裂かれた。
だが、そこで終わる俺ではない。
「足元がお留守だぞ」
「なに? ――がぁっ!?」
ルシフェルの足元から氷柱が出現する。
集中しすぎて気付かなかったのだろう。
直撃したルシフェルは上空へと吹き飛ばされる。
ルシフェルが発動している魔法『堕天の世界』の影響によって魔法攻撃が弱体化されてはいるが、それでも効果はある。
俺は吹き飛ばされたルシフェルに追撃を加えるため、手のひらを向けて魔法名を紡ぐ。
「――アイスニードル!」
ルシフェルを取り囲むように無数の氷の棘が生成され、放たれる。
串刺しにしようと迫る棘を、ルシフェルは魔剣を振るうことで一部を薙ぎ払い、その隙間から包囲を抜け出した。
「この程度か?」
「はっ、そう思うか? お前は魔法の一部を破っただけだ」
「――何?」
後ろを振り返ったルシフェルは、自身の背中に迫っていた棘を見て驚いた表情を浮かべていた。
「なっ!?」
もともと避けられることは想定していたので、俺は対象を追尾するようにしていたのだ。
ルシフェルは避けられないと判断したのだろう、そちらに手のひらを向けた。
「――断罪の業焔」
爆発が起きた。
ルシフェルが放った火球によって、迫っていた棘は消え去る。
そしてルシフェルは爆炎によって加速しながら俺に迫ってきた。
そのまま魔剣を振るおうとするルシフェルに対し、俺は愛刀を一度鞘に戻す。
そして深く腰を下とすと、刀に魔力を流し始める。
「その程度で倒せるとでも!」
ルシフェルの持つ魔剣が光り輝く。
俺と同様に魔力を流したのだろう。
「あなたにこれが受け止められますか!?」
「試したことがないからわからないな」
「では、試してください!」
膨大な魔力を込められて振るわれた魔剣は、すぐそこまで迫っていた。
あと少しで俺を斬り裂こうとしていた時、俺は技名とともに抜刀した。
閃光とともに球体が爆発し、大爆発の比ではないほどの威力を見せる。
「ぐぅっ!?」
煙によってよく見えないが、ルシフェルのくぐもった声が聞こえた。
効いてはいるようだが……それでも大したダメージはないと予想する。
砂塵が晴れると、そこにはクレーターができており、中心部にはルシフェルの姿があった。
見下ろすように立っている俺を睨みつけるルシフェルに向かって、俺は声をかける。
「感想を聞かせてくれるか?」
「少しですが効きましたよ……魔石に魔力を流すことで暴走を引き起こし、爆発させたのですか」
「正解だが、強がりは結構だ。頼むから、平和のためにここで死んでくれ」
「お断りです。主の願いこそが我らの願い」
そう言うルシフェルの瞳からは、狂信と絶対の忠誠を見て取れる。
「くだらない望みを抱く神に忠誠を誓うのか。不思議な奴だな」
「……なんですって? 今、なんと言いました?」
「くだらないと言ったんだ。世界の支配と神々の頂点? 寝言は寝て言え。だいたい神の頂点に立ったところで何の意味がある。全能でも万能でもない神に何ができると?」
俺はルシフェルを煽っていく。
冷静さを失ってくれれば多少はやりやすくなるはずだ。
「だいたい、一度封印されてるなら、その程度の存在ってことだろう。やっぱりお前も大人しく俺に倒されて、世界平和に貢献した方がいいんじゃないか?」
ルシフェルは怒りの表情を浮かべながら浮遊し、俺を見下ろしてゆっくりと口を開いた。
「いいでしょう。主を侮辱したことを、永遠の苦痛をもって償わせてあげましょう」
ルシフェルの体がブレたことで視界から消え、危機察知スキルが警鐘を鳴らす。
《マスター! 上です! 空間断絶結界を三重展開します!》
エリスの警告が脳内で鳴り響き、俺は咄嗟に愛刀を上に掲げる。
エリスによって張られた結界が抵抗もなく切り伏せられていく。
最後の一枚はわずかに耐えたが、それでもルシフェルの攻撃の勢いは弱まっておらず、俺は愛刀でなんとか受け流そうとする。
結界を使って緩和したとはいえ、重い一撃だ。
「ぐっ!」
思わず声が漏れる。
なんとか受け流した俺は、そのまま地面を踏みしめて斬りかかったが、半歩動いたことで躱されてしまい、腹部への衝撃とともに吹き飛ばされた。
どうやら地面から放たれた土魔法の弾丸が直撃したらしい。
腹部の痛みを堪えながら立ち上がると、構え直す間もなく、眼前に無数の火球が迫っていた。
「――チィッ!」
咄嗟に横へと飛び、それでも避けきれないものは空間断絶結界で防御する。
しかしこれは悪手だった。
《――マスター! これはルシフェルによる罠です! 急いで回避してください!》
俺の気配察知が背後に反応するが、この不安定な体勢からだと完全に回避することはできない。
どうするかと焦った瞬間、エリスの声が響いた。
《雷神の鉄槌と空間断絶結界を発動します!》
俺の背を守るように空間断絶結界が展開され、背後に雷が落ちる。
俺はすかさず体勢を立て直し、再び武器を構えた。
気配を察知した場所ドンピシャに雷は落ちたようだが、このまま倒せるとは思えない。相手はあのルシフェルだ。
俺は後退しつつ、様子を窺う。
土煙の中、起き上がろうとする影が見えたため、俺はすかさず魔石を加工した球に魔力を流し込んで投げつけた。
卑怯と言われようと、これは生死と人類の存亡を懸けた戦いだ。
魔石が爆発し、その爆風がルシフェルを襲う。
「ぐぉっ!?」
爆炎の中からくぐもった声が聞こえてきた。
多少のダメージは与えられているようだ。
追加でいくつも投げつけると、さらなる大爆発が引き起こされる。
しかしこれでは決定打に欠けるな……
どうするかと考えていると、中心部で魔力が爆ぜ、その衝撃で爆炎や砂塵が吹き飛ばされた。
当然、その中央に立っているのはルシフェルだ。
「プレゼントはどうだったかな?」
「逆に問いますが、その程度の小細工しかできないのですか?」
ルシフェルは平静を装っているが、言葉からは怒りを感じる。
無傷とはいかなかったのだ。当然といえよう。
「俺にはこれくらいの小細工しかできないんでね。それに、早くお前との戦いを終わらせたいんだよ」
「奇遇ですね。私も終わらせようと考えていたのですよ」
「ならやってみろ」
「では――地獄の門」
ルシフェルの背後に浮かんだ魔法陣から漆黒の門が出現し、ゆっくりと扉が開かれた。
扉の向こうからは無数の腕が、俺を捕らえようと迫る。
以前アロギスが使ったのと同じ魔法だ。あの黒い手に触れられると即死してしまう。
とんでもなく強力な魔法だが、一度見た魔法であり対策もできている。
俺は手のひらを天に掲げ、魔法名を唱えた。
「――天火明」
ほどなくして、雲の隙間を縫って細く強い光が差し込んだ。
差し込んだ光は迫りくる無数の腕へと当たり、塵へと還していった。
さらに光は出現した漆黒の門と周囲の魔物たちへと降り注ぐ。
門はほどなくして亀裂が走ったかと思うと崩壊し、光が直撃した魔物も同じように消えていった。
光はルシフェルにも当たっていたのだが、どうやら結界で防いでいるようで、特に変わった様子はない。
それから数秒ほどして、光が収まった。
「なるほど、対処できますか。アロギスが作り上げた魔法とは聞いていましたがね」
「アロギスが使ったのを一度防いでるんだ、効くわけがないだろう……で? お前の本気はその程度か?」
「ご冗談を。私はまだ、本気を出していませんよ。この戦いで最も危険な存在はあなたです。危険な存在は速やかに排除しなくてはなりません。ですから、少しだけ本気を見せてあげましょう」
その言葉とともに、ルシフェルの身体から魔力が噴き上がり、螺旋を描いて天を衝いた。
噴き上がった魔力はほどなくして、中心部であるルシフェルを包み込む。
まるで漆黒の繭だな。
一瞬、攻撃をしようと考えたがすぐに諦めた。
あれほどに濃密な魔力で作られていれば、並大抵の攻撃では意味をなさない。それならここで無駄な力を使うのは愚策だ。
ほどなくして、漆黒の繭が弾け飛び、そこからルシフェルが現れた。
服装と武器が変わったくらいで、それ以外に大きな変化は見られないが……
だが、油断したら死ぬと、本能が俺に訴えかけてきていた。
《ルシフェルの魔力量が急激に上昇しております。単純に計算すれば、マスターの五倍はあります》
なんともまぁ……それでエリス。勝てると思うか?
《勝率は20%と低いですが、すべてが私の計算通りに進めば勝てます》
なんとも頼もしい言葉だ。
魔力量にそれだけ差があるのに勝てるとは、流石は相棒だ。
どんな作戦なんだ?
《はい。お任せください。まず――》
エリスの作戦を聞いた俺は、笑みを浮かべた。
流石エリス、これなら勝てそうだ。
そして、上空でこちらを見下ろすルシフェルが口を開いた。
「どうしました? この姿を見て怖気づきましたか?」
「まさか。その逆さ。やる気が出てきたってものだ」
「そうですか。ですが、ここで終わりですよ――漆黒の太陽」
ルシフェルの上空に黒い太陽――いや、太陽と見間違うほどに大きな火球が出現する。
今までの比ではない魔力量だ。
自分だけ空間断絶結界で防御しても、周囲への被害は甚大だろう。
だから、今までとは違う方法で防ぐことにした。
「――空間断絶結界」
今まさに落ちようとしている黒い太陽の周囲を結界が覆った。
「――なっ!?」
ルシフェルの驚いた声が聞こえる。
俺が結界の範囲を縮めていくと爆発が起きた。
だが、爆発は結界を破壊する威力はなく、少しして収まった。
「驚いているようだがどうした? この程度のこと、俺ができないとでも思ったか?」
「くっ……いいでしょう。ならば私自らこの手であなたを裁いてあげましょう」
そう言ってルシフェルは、手に持った長剣を天に掲げた。
何かをする気なのだろう。
先ほど隕石を斬ったものよりも、はるかに強力な気配だ。
その気配だけでも、レア度が神話級ということがわかる。
空間断絶の能力くらいはあるだろうな。
俺は鑑定を発動する。
名前 :明星ウェヌス
レア度:神話級
備考 :明星から生まれし一振りの魔剣。
うん。アロギスの剣を鑑定した時と同じで、何にも効果がわからねぇ……
だけど、これだけは理解できる。
神話級というレア度相応の力と能力を有していることを。
ルシフェルの持つ魔剣へと、膨大な魔力が注がれていく。
あの攻撃だけは空間断絶結界では防げないと、直感がそう告げてくる。
普通なら逃げるべきだが、そうするわけにはいかない。
何か手はないのか――そう考えた瞬間に、一つ思いついた。
それは同じ神話級の武器、つまりは俺の愛刀をぶつけることだ。
俺は納刀して魔力を流し込む。
後のことなどどうでもいい。
奴をここで倒さなければ、邪神クロノスを倒す時の障害となる。
だから、ルシフェルという強敵相手に、なんとしてでも勝たなくてはならない。
俺は目を瞑り、呼吸を深くしていき、流し込む魔力の濃度を上げていく。
まだだ。まだルシフェルが放とうとする攻撃の威力には届かない。
そんな中、ルシフェルが無慈悲にも冷めた声色で告げた。
「では、死ね――無慈悲の断罪」
ルシフェルが剣を振り下ろすとともに、一直線に俺目掛けて迫る斬撃。
避けることは簡単だ。だが、後ろには多くの仲間たちが戦っている。
それを見捨てることなど、断じてできない!
「――桜花一閃・真絶」
抜刀とともに真紅の剣閃が空間を走り、ルシフェルの一撃と衝突した。
この技は『桜花一閃・絶』の強化版だが、違う点があるとすれば、技を使用した後に硬直時間が発生することで、他の攻撃へとスムーズに移行できないことだ。その分、一撃における威力が桁違いに上昇している。
空間が悲鳴を上げ、衝撃波が周囲の敵を吹き飛ばす。
「くっ、この私の技と拮抗しますか」
「チッ、こっちは拮抗なんてしたくなかったよ!」
拮抗が続くも、俺が放てる最高の一撃が破られ、ルシフェルの斬撃が迫ってきた。
「――なっ!?」
まずい、このままでは巻き込んでしまう。
焦る俺の脳内に、エリスの声が響く。
《空間断絶結界を五重展開します》
後方はどうなる!?
《すでに周囲に被害が出ないように、空間断絶結界を展開済みです》
仕事が早くて助かるよ。
だがいずれにしても、あの攻撃は空間断絶結界を破ってくるはず。別の方法で防がなければならないのだ。
そして迫る攻撃が結界に衝突する。
一枚目はすぐに破壊され、二枚目と三枚目も多少は持ちこたえたが、じきに砕ける。
四枚目でようやく数秒もったが、これも破壊された。
最後の一枚にぶつかった斬撃は、これまでよりは威力が落ちていたが、それでも結界には徐々にヒビが入っていく。
くそっ! 五重展開でこれか……でも、こんなところで死んでたまるかよ!
俺は愛刀を手に、魔力を流す。
――エリス。結界が砕けるタイミングで合図を頼む。
《承りました。カウントダウンを開始します。5、4、3……》
その間、俺は愛刀へと魔力を注ぎ、瞑目する。
さっきほどの魔力は込められないが、向こうの斬撃も威力は落ちているから問題はない。
《2……1……今です》
その瞬間、パリンッという結界が破壊された音が鳴り響き、俺は刀を振るった。
魔力が込められた俺の刀と、ルシフェルの放った攻撃が再び衝突する。
「くっ――!」
ルシフェルの斬撃を消滅させることは成功したが、衝撃によって俺は吹き飛ばされて地面を転がる。
そして痛みを感じつつもゆっくりと立ち上がると、目の前にルシフェルが降り立ち、俺に剣を突き付けた。
「うっ、ぐぅっ……」
「あれを防ぐとは、称賛いたしましょう。ですが――あなたの負けです」
ルシフェルは俺の首目掛けて剣を振るった。
そして俺の首が飛び――
「――なっ!?」
ルシフェルは驚きの声を上げた。
その理由は、宙を舞う俺の首が霧散するように消えたからだった。
「そんなに驚いたか?」
そんなルシフェルに、俺は姿を現し声をかける。
「幻惑、ですか……一体いつの間に?」
「俺が吹き飛んだ瞬間だよ」
「いくらあれだけの威力の攻撃が衝突した直後とはいえ、魔法の発動に私が気付かないはずがありません」
「どうして気付けなかったと思う?」
答えは簡単だ。
俺はその答えを告げる。
「――お前が俺を殺すことに集中していたからだ」
「なるほど。私の意識を誘導したのですか」
「正解だ」
あれだけ派手に吹き飛んで大きな隙を見せたのだ、ルシフェルの意識が俺にとどめを刺すことに集中するのは当然だ。
俺はその隙をついて幻影を生み出し、本体である俺はスキルの気配遮断、ステルス、魔力遮断などを使ってその場から離脱した。
吹き飛んだ俺を倒すことだけに集中したのが裏目に出たというわけだな。
「ルシフェル、決着を付けようぜ」
俺は愛刀をルシフェルに突き付けた。
第4話 【熾天】ルシフェルⅡ
ルシフェルは再び罠にかけられることを警戒しているのか動こうとせず、俺の出方を窺っている。
ならばと、俺から攻撃を仕掛けることにした。
縮地を使って最速で接近しつつ、俺の幻影を複数体作り出す。
魔力も込めたことで実体を得て攻撃を加えられるようになっているので、そう簡単には見抜けないだろう。
加えて、俺は懐から取り出した魔石を加工した球に、魔力を流し込んで投げつけた。
今回は攻撃のためというよりは、爆発による目くらましが目的だ。まぁ、ダメージに関しては少しくらい食らえばいいなとは思っているが。
接近する俺と分身は、次々と攻撃を繰り出す。
「――くっ!」
ルシフェルから苦しげな声が聞こえた。
「厄介ですね!」
ルシフェルが剣を薙いだことで砂塵が晴れ、分身が斬り裂かれた。
だが、そこで終わる俺ではない。
「足元がお留守だぞ」
「なに? ――がぁっ!?」
ルシフェルの足元から氷柱が出現する。
集中しすぎて気付かなかったのだろう。
直撃したルシフェルは上空へと吹き飛ばされる。
ルシフェルが発動している魔法『堕天の世界』の影響によって魔法攻撃が弱体化されてはいるが、それでも効果はある。
俺は吹き飛ばされたルシフェルに追撃を加えるため、手のひらを向けて魔法名を紡ぐ。
「――アイスニードル!」
ルシフェルを取り囲むように無数の氷の棘が生成され、放たれる。
串刺しにしようと迫る棘を、ルシフェルは魔剣を振るうことで一部を薙ぎ払い、その隙間から包囲を抜け出した。
「この程度か?」
「はっ、そう思うか? お前は魔法の一部を破っただけだ」
「――何?」
後ろを振り返ったルシフェルは、自身の背中に迫っていた棘を見て驚いた表情を浮かべていた。
「なっ!?」
もともと避けられることは想定していたので、俺は対象を追尾するようにしていたのだ。
ルシフェルは避けられないと判断したのだろう、そちらに手のひらを向けた。
「――断罪の業焔」
爆発が起きた。
ルシフェルが放った火球によって、迫っていた棘は消え去る。
そしてルシフェルは爆炎によって加速しながら俺に迫ってきた。
そのまま魔剣を振るおうとするルシフェルに対し、俺は愛刀を一度鞘に戻す。
そして深く腰を下とすと、刀に魔力を流し始める。
「その程度で倒せるとでも!」
ルシフェルの持つ魔剣が光り輝く。
俺と同様に魔力を流したのだろう。
「あなたにこれが受け止められますか!?」
「試したことがないからわからないな」
「では、試してください!」
膨大な魔力を込められて振るわれた魔剣は、すぐそこまで迫っていた。
あと少しで俺を斬り裂こうとしていた時、俺は技名とともに抜刀した。
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