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 第9章 リザードマン編

908.テラの巡回

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 私は、5人の兵士にお願いして、住宅の人々に体調が悪いとか、病人がいるとか、何か、身体のことで、困っていないか、訊き回って貰った。

 数時間後、調子が悪いと言っている人が居る住宅の場所が分かった。

 「申し出があったのが、5軒だけなの?少なくない?」

 「遠慮しているようです」

 「いや、費用を心配しているかもしれません」

 「追い出されると思ったかもしれませんね」

 兵士達は、口々に感想を言い始めた。

 「なるほどね。次回は、別の呼びかけをしないと、だめかもしれないね」

 「それでは、順番に回っていくよ」

 最初の部屋は、2階の奥にあった。

 「テラ、ここです」

 「すみません。身体の調子が悪いと聞いたのですが、どんな感じですか?」

 「この子が、熱を出して、寝込んでしまったのです」

 「少し、見てみますね。いいですか?」

 「はい、お願いします」

 私は、スキル鑑定で、身体の状態を調べてみた。どうも、栄養が不足で、抵抗力が低下したようだ。そのため、軽い肺炎に罹ってしまったようだ。

 「このポーションを飲ませてください」

 私は、赤のポーションを母親に渡した。子供は、ポーションを飲み干すと、少し元気になった。これで、抵抗力は、元に戻ったようだ。でも、すでに肺が侵されているので、このままでは、また、衰弱してしまうだろう。

 「少し、治療をしますね。いいですか?」

 「はい、お願いします」

 「傷よ治れ。治癒魔法ヒール

 もう一度、念のため、スキル鑑定で、子供を調べた。肺の炎症は消えたようだ。

 「もう、大丈夫です。暫くは、しっかり、食べさせて、よく寝る様にしてくださいね」

 「はい、ありがとうございます。あの、お金は?」

 「要りません。ヤガータ国の国民IDを持っていれば、無料です」

 「そうですか。本当に、ありがとうございました」

 私達は、残りの4軒を順に回っていった。そして、病気の人を治療していった。

 「どうも、栄養不足になっている人が多いね。そのせいで、病気になり易くなっている」

 「ねえ、君の名前は、何だっけ?」

 「私ですか。アカッコスといいます」

 「アカッコス、身体の調子が悪い時に、どんなことをするの?」

 「私は、よく食べて、寝るだけですね」

 「そうか。ポーションを飲むってことはないの?」

 「ポーションを飲むことはないです。高いですから」

 「そうだよね。高いよね」

 「いくらなら、ポーションを飲もうと思うの?」

 「私ですか?」

 「そうよ、アカッコスに聞いてるのよ」

 「銀貨で、20枚か、いや、50枚なら出しますね」

 「うーん、銀貨か。やはり、初級ポーションだね。上級は難しいね」
 
 「何の事ですか?」

 「ポーションを飲む習慣を付けさせようと思っているの」

 「そんなこと、出来るのですか?」

 「わからないよ。でも、やってみたいの」

 「アカッコス、これから、軍に戻るけど、魔法の練習をしておいて欲しいの」

 「どうしたら、いいのですか?」

 「誰でもいいから、治癒魔法ヒールを掛けてくれる。それで、魔力がほとんどなくなるまで、繰り返してね。でも、完全になくなると元に戻るのに時間が掛かるので、少しは残しておいてね」

 「はい、わかりました。病気なってなくてもいいのですね」

 「そうだよ。治癒魔法ヒールを掛けるのは、誰でもいいからね」

 「それから、この青のポーションをを渡しておくね。一人20本ずつね。魔力が無くなったら、飲むように。続けて飲んでも、余り効果がないから、飲むなら、間を開けてね。最低でも1分は開けてね」

 「はい、わかりました」

 「それじゃ、今日はありがとう。ご苦労様でした」

 私達は、光魔法が使える兵士達と別れた。

 私は、思念伝達で、ガーベラに連絡を取った。

 「ガーベラ、テラだよ」

 「どうしたの?」

 「そろそろ、収益を得ることを考えようと思っているの」

 「そうね。もう、テラが来てから、半年になるね」

 「そうだよ。早いね」

 「今、国民は何人になったの」

 「テラが来たときは、老人と子供が中心で、2万人ぐらいになっていたね。今は、働き手が増えて、8万人にまで、増えているよ。住居が無料だからね」

 「まだ、住居は無料でいいよ。その代わり、国民になるための手数料を取ろう思っている」

 「そうね。無料の物が多いから、多少は、手数料を払っても、国民になると思うわ」

 「実施するのは、すべての国に告示が行き届いた後、2か月後でどうかな?いまからだと、4カ月後からの実施になるよ」

 「いいと、思うわ。それで、いくらにするの?手数料を?」

 「金貨5枚でどうかな?」

 「そんなに安くていいの?」

 「今は、無料だから、急に高額は取れないよ。それに、人が増えると色々と国にとって、有利だよ」

 「そうね。人口は、多い方がいいね」

 「今は、農場も、基地も、冒険者ギルドも、商業ギルドも、すべて、国営だから、関係ないけど、民間が経営する時は、手数料を5%取っていくことにするよ」

 「それぐらいなら、いいと思うわ。安いぐらいよ」

 「それでは、後の事は、ガーベラに任せるね」

 「いいわよ。やっておくね。それから、魔法学院の方だけど、教師は揃ったみたい。生徒の募集をいつ始めるのかって、シルバが聞いてきたよ」

 「そうか、もう、準備ができたのか。一度、魔法学院の方に、行って来るよ」

 「そちらは、テラに任せるね。あっ、それから、鉱山は、もう軌道に乗っているよ。指揮していた人は、国に帰ったよ」

 「分かった。ありがとう」

 いよいよ、ヤガータ国の再建の開始だ。忙しく、なりそうだ。
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