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 第10章 魔法学院(入学)編

1002.魔法学院の入学試験

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 いよいよ、魔法学院の入学試験の日になった。シルバに頼まれていた試験問題は作って、渡しておいた。今年は、100名もの入学希望者が集まった。

 「シルバ、こんなに、大勢が希望するとは、思わなかったね」

 「本当に、大勢集まりました」

 「シルバ、合格者の人数は、どうするか、決めているか?」

 「いいえ、合格基準を満たした者はすべて合格にする予定です」

 「それで、いいよ」

 「いよいよ、始まりますね。試験は、属性毎に1つずつ課していく予定です。100名なので、10名ずつのグループに分けています。試験会場は、人数が多いので、2カ所設けています」

 「試験管は、それぞれ、2名で行うのかな?いいえ、上級教師を含めて、3名です」

 「あれ、教師は、各属性毎に5名じゃなかったのかな」

 「その通りです。上級教師は、2カ所の試験を同時に採点します。その為に、遠隔投影接続器テレビジョン・コネクタを使用しています」

 「そうか、それならいいわ」

 「テラは、何処を見に行きますか?」

 「やはり、火魔法だね。派手で、面白そうだね」

 「私も、付き合います」

 「シルバは、魔法は使えるの?」

 「いいえ、使ったことはありません」

 「そうか。魔法に興味はあるの?」

 「興味はありますけど、多分、無理でしょう」

 私達は、火魔法の試験会場にやって来た。試験は、すべて、初級魔法のみで判定する。上級魔法を使える者も、課題として与えられた魔法を放つことになっている。異なる魔法を放った場合は、それが上位の魔法であっても、減点対象となる。つまり、初級魔法をそのまま、実施しないと高得点は得られないようになっている。このことは、受験生に徹底して説明している。

 「シルバ、採点基準は、どうなっている?」

 「魔法が、課題通りであれば、10点満点中5点です。後は、加点方式になっています」

 「加点の基準は、何かな?」

 「魔力量、起動速度、効果、無詠唱、魔法の練度の5つです。
  魔法が実施できないときは、0点です」
 
 「今回は、複数属性を持っていないと合格はしないね」

 「そうなりますね。合格基準は、合計得点が20点となっています。ですから、最低でも2つの属性を持っていないと合格しませんね」

 「魔法の属性は、天性のものと聞いていますが、練習では、新たに習得することが出来ないのですか? 」

 「特殊な魔導書なら、習得することが出来るよ。でも、これは、秘密だよ」

 「そんなものがあるのですか。それで、色んな魔法の属性を身に着けることが出来ますね」

 「そうだね。でも、国宝級の物で、普通の人が手にすることは、めったにないよ」

 「でも、希望はあるのですね」

 「そうだね。シルバも、魔法が使える様になるかもね。もし使えたら、どの属性が希望なの?」

 「私ですか。私は、光魔法がいいです。治癒魔法って、憧れますね」

 「もし、見つけたら、シルバにあげるよ」

 「本当ですか。約束ですよ」

 「おい、おい、見つけたらだよ。見つかるかどうか、分からないよ。だから、期待しないでよ」

 「はい、わかっています。でも、嬉しい。少しでも、希望が出来たから」

 「わかったよ。真剣に探します」

 午前中の試験が終わったようだ。昼食を挟んで、午後の試験になる。

 今日の夕方には、結果が出ているだろう。何人の合格者がでるのか、楽しみだ。
 
 「魔導書か。探すと言っても、今までは、偶然見つけたからなぁ」

 「魔導書、遺跡、ある」

 「スピア、そうだね。遺跡にあるかもね」

 「スピア、遺跡、行く」

 「それじゃ、一緒に行こうか」

 「うん。行く」

 私達は、この国の事をあまり知らない。特に、貴族エリアや王宮や神殿については、全く知識がない。

 「そうだ。ガーベラなら、詳しいよね」

 「うん。ガーベラ、知ってる」

 私は、思念伝達で、ガーベラに連絡をした。

 「ガーベラ、テラだけど、今は、時間ある?」

 「いいよ。大丈夫だよ」

 「この国の遺跡について、教えて欲しい。どこにあるか、知ってる?」

 「知ってるよ。神殿の横に、遺跡があるよ。この国の遺跡はそこぐらいね。
 遺跡で何をするの」

 「国宝級の魔導書を探すの」

 「そんな物、遺跡にはないよ」

 「えっ、無いの?」

 「そうじゃなくて、遺跡には、国宝級の物は、無いって言っているの。
 遺跡は、とっくに調査が終わっているから、国宝級の物は、王宮に持ち帰っているよ」

 「何だ、そういうことか。持ち帰って来た物の中に、本はなかった?」

 「本は、すべて、王宮の図書館に置いているよ。でも、国宝級の本は、図書館の奥の保管庫に仕舞われているわ」

 「それって、見ることはできない?」

 「テラなら、できるわ。私が、図書館の司書に話をしておくから、行って見て」

 「ありがとう。直ぐに、行くよ」

 私は、思念伝達を切った。

 「スピア、王宮の図書館にあるって、行こうか」

 「うん。行く」

 私達は、王宮の図書館に行き、司書に保管庫へ案内してもらった。

 「ここが、国宝級の本の保管庫です。古い本が多いので、扱いには、注意してください。本が崩れてしまいますから」

 「はい、わかりました」

 私達は、本棚を見て回った。確かに、古い本が多い。しかも、誰も読んだことがないようなほど、埃が積もっている。

 私は、スキル鑑定で、特殊な本を調べてみた。すると、奥の方で、3冊感知した。

 この3冊は、シリーズ物で、魔法についての本の様だ。特に、闇魔法で、結界で守られているわけではなかった。

 もう一度、スキル鑑定で、調べてみた。これらは、開くと何等かの魔法が使える様になるが、魔導書は、消えてしまう。
 
 私は、アイテムボックスに3冊の魔導書を入れて、工房に持ち帰ることにした。

 「スピア、魔法学院に戻ろう。そろそろ、試験が終わるころだよ」

 「うん、戻ろう」

 私達は、司書に挨拶して、魔法学院に移動した。やはり、入学試験は、終了していた。
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