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 第14章 テラ・ワールド発展編

1405.日用品

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 ヒマリ先生の土魔法の初級講座が終わった。今日は、何故か、普通の授業だった。単に範囲魔法を使っただけで、特に興味を引いたものはなかった。

 魔法学院の自分の部屋に戻った私は、リンダに思念伝達で連絡を取った。そして、先ほど考えた湯沸かしポットの商品化を検討してもらうことにした。リンダは、試作品が欲しいというので、1個試しに作ってみた。刻印する魔法陣を簡略化して、小さな魔石を埋め込んだ。更に、もう一つ魔法陣を刻印して、保温効果を高めておいた。最後に、ポットの温度を3段階に設定でき入るようにした。100度、80度、60度の3段階だ。出来上がった湯沸かしポットをリンダに送っておいた。

 ひと段落したので、私は、ベッドで少し横になっていた。最近は、疲れが激しいのか、すぐに、寝てしまう。一度、自分自身をしっかり調べて方が良さそうだ。でも、自分をスキル鑑定で調べることは、難しい。

 自分の事は、わかり難い。誰かに見て貰いたいが、見られたくない物が多いので、なかなか、踏ん切りがつかない。

 いつの間にか、寝込んでしまった。すこし、ボーとした頭のまま、目を開けた。

 「やっと、起きたね」

 「あっ、レイカ、いたの?」

 「起きるのを待っていたの」

 「何か用?」

 「用事がないと来てはいけないの?」

 「いいや、そんなことはないよ」

 「なら、いいよね」

 レイカは、私の布団の中に入って来て、私に抱き付いた。レイカの長い髪が光を受けて、煌めいていた。私は、レイカの髪の毛を右手の指を櫛の様にして、すくった。レイカの髪の毛が私のほほに当たり、気持ちがいい。

 レイカも、自分のほほを私のほほに押し当てて来た。私も、レイカを抱き返して、背中を撫でた。

 「ねえ、テラは、私のことどう思っているの?」

 「どうって、レイカのこと、好きだよ」

 「それって、友達ということ?」

 「好きだけじゃだめなの?」

 「私も、テラが好き。でも、テラの好きとは違うと思うの」

 「私も、レイカも一緒だよ。本当だよ」

 「私は、テラだけが好きだよ。でも、テラは、違うでしょ」

 「だめかい? でも、レイカの事は、一番好きだよ」

 「私だけじゃだめ?」

 「…」

 「なぜ、答えてくれないの。私は、テラが他の人と一緒に居るだけで、嫌なの」

 「難しいね。スピアでもだめかい?」

 「スピアは、別よ。でも、他の人はだめ」

 私は、レイカの上に乗り、レイカの顔をじっと見つめた。レイカは、静かに目を閉じた。

 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆

 私は、レイカをベッドに残して、転移魔法で、王宮の自分の部屋に移動した。

 また、いつの間にか、寝込んでしまっていた。ベッドに誰かが入って来たことすら、気が付かなかった。最近は、可笑しい。以前だったら、いくら徹夜しても、眠くならなかったのに。どういう訳か、良く眠り込んでしまう。寝るとスッキリするのはいいのだけど。明らかに以前とは違っている。

 この私の身体を誰に見て貰えばいいのだろう。私が、土人形だと、バレるとまずい。だから、誰にも見て貰う事ができない。

 やはり、賢者サビオしかいないね。私は、思念伝達で、賢者サビオに連絡を取った。

 「賢者サビオ、テラです。ご無沙汰しています。いま、いいですか?」

 「久しいな。元気だったか?」

 「いえ、それで連絡したのです。最近、少し変なのです」

 「うん? どう変なのだ」

 「以前は、寝なくても平気だったのですが、最近は、すぐに眠くなるのです」

 「寝込んでしまうのか?」

 「はい、そうです」

 「テラは、以前、わしが作った身体を使っているのか?」

 「いいえ、新しく自分で創りました。その新しい身体に魂を移しました」
 
 「そうか。新たに作り直したのか」

 「はい、そうです」

 「つかぬことを聞くが、テラは、裸でねているのか?」

 「それって、どういう意味ですか?」

 「そのままの意味じゃよ。裸で寝ているのか?」

 「時と場合に拠りますよ」

 「そうか、どんな場合に、裸になるのじゃ」

 「えっ、そんなこと、聞くのですか?」

 「当たり前じゃ。これは、大事な事だぞ。よく考えて答えよ」

 「えーと、誰かと一緒に寝るときは、裸の時があります」

 「ひょとして、それは、最近頻繁にやっているのか?」

 「賢者サビオ、本当に、これって、必要なことですか? 単に、賢者サビオの興味本位じゃないの?」

 「これは、原因を知るうえで、大切な質問じゃ。ちゃんと、答えよ」

 「最近は、ほぼ毎日やっています」

 「わかった、もう一度、新しく身体を創り直せ。今の身体は、もう使い物にならん」

 「分かりました。それで、裸で寝るのはどうしましょう」

 「テラ、それを止めれるのか?」

 「えっ、それを聞きます?」

 「どうじゃ、正直の答えよ」

 「だめだと思います」

 「そうじゃろう。だから、新しく身体を創りかえて、身体全体のコーティングを強化しておけ」

 「はい、分かりました。ありがとうございます」

 「ふむ。テラも、大人になったのじゃな」

 私は、思念伝達を切った。どうも、裸だと、魂が擦れてしまうようだ。用心しないといけないって。

 でも、今の私には、無理だね。

 急いで、地下牢前の工房に行って、新しい身体を創って、魂を移し替えた。これで、暫くは、大丈夫だろう。新しい身体で、王宮の自分の部屋に転移魔法で移動し、ベッドに入り直した。今日は、下着のままでいよう。
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