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第24章 カタリナの結婚編

2404.ペニシリンの大量生産

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 久しぶりにリンダから、連絡が入った。ショーバェのペニシリンの大量生産に問題が生じているので、相談したいということだった。私は、急いで、ショーバェの研究所に転移魔法で、移動した。

 「ショーバェ、何か、問題が生じていると聞いたのだが?」

 「ええ、いくつかあるのですが、いいですか?」

 「構わないよ。言ってくれ」

 「設置していただいたタンクで、容量は十分なのですが、現在、効率が悪いのです。ペニシリンは、生産出来ているのですが、研究所で生産していたのと同程度の効率なのです。大量に、生産するというのには、程遠い状態です。何が悪いのか、見当もつかなくなってしまったのです」

 「アオカビから、ペニシリンを培養しようとしていると思うけど、そのカビは、どのようにして、選んだの」

 「えっ、どういうことですか? アオカビを選ぶとは?」

 「アオカビは、すべてが同じではないよ。みかんの皮に発生するアオカビや、メロンに発生するアオカビなど、どこに発生しているかと、どの地域でのアオカビかなど、同じように見えるけれども、異なっているの。そこで、まず、ペニシリンを生産しやすいアオカビを探してごらん」

 「わかりました。早速、探してみます」

 「リンダに頼んで、テラ・ワールドの支店に協力を求めるといいよ」

 「はい」

 「それから、どの培地を使うかも、同時に検討した方がいいよ。というのは、ペニシリンを生産するには、大量の栄養がいるようだから」

 「わかりました。早速、始めます。ありがとうございました」

 「また、何か、あれば、連絡をしてください。それから、他の菌についても、同様の研究を進めてくださいね」

 「はい、わかりました」

 私は、ショーバェに私が覚えている記憶を頼りに、アドバイスを与えた。偶然を待って居ると、いつになるか、分からないからだ。ショーバェの研究所には、すでに、リンダが助手兼従業員を10人以上手配したようで、人手は十分揃っている様だった。
 
 やはり、直ぐに完成とはいかないようだ。地道に待たないといけない。でも、災害はいつ起こってもおかしくない。特に、伝染病は、繰り返し起こるので、注意が必要だ。その対策の最初の一歩がまだできていない。下水道の完成だけでは、十分とは言えないので、少し心配だ。

 私は、アンジと連絡を取って、出来るだけ早く、テラ・ワールドの支店で、直接商品を販売していくように依頼した。

 私は、リンダに会いに、本店に転移魔法で、移動した。

 「こんにちは。リンダ、今、時間あるかな?」
 
 「あら、ムーン、どうしたの?」

 「ショーバェの所に入って来たよ。暫くは、様子見だね」

 「そうそう、テラ・ワールドの支店で、アオカビを集めて欲しいって、依頼があったわ。ムーンのアドバイスって、本当?」

 「うん。ちょっと、アドバイスをしたんだ。これで、旨く行くといいけど。それに、リンドウの研究も進んで欲しい」

 「でも、ムーンって、商売だけじゃないのね。不思議だわ?」

 私は、リンダの肩を抱いて、耳元で囁いた。

 「もっと、僕の事を知りたくなった?」

 「ちょっと、来て」

 リンダは、私の手を引っ張って2階の自分の部屋に連れて行った。

 「やっぱり、テラね。ムーン、本当の事を聞きたいわ」

 「何が知りたいの。何でも訊いてくれていいよ」

 「貴方は、テラなの、それとも、違うの?」

 「リンダには、本当の事を話しておくね。テラjrがテラの生まれ変わりということは知っているね」

 「うん。知っているよ」

 「そして、僕は、テラjrの分身なんだ」

 「分身って、どういうこと?」

 「テラjrの魂を2つに分けているの、一つは、テラjrで、もう一つが私」

 「それで、意識はつながっているの?」

 「それはないよ。1月に1度ぐらいは、一体になって、情報を共有しているけどね」

 「もう一つ、聞いてもいい?」

 「いいよ。何?」

 「テラとテラjrは、どう違うの?」

 「僕にも、よく分からないよ。テラの転生したのが、テラjrだよ。だから、テラの魂をテラjrは持っている。それで、テラの経験や知識を持っているの」

 「魂は、テラの者だけど、肉体は、レイカとテラの両方を受け継いでいるよね」

 「そうだと思う」

 「テラが転生したのは、テラjrがいくつの時なの?」
 
 「はっきりとは分からないけど、まだ、お腹の中に居た時だよ」

 「テラが死んだときに転生したの?」

 「そうだよ。転生したのは、死んでからだよ」

 「でも、どうして、レイカのお腹の中に赤ちゃんがいたの?」

 「それは、未来のテラを召喚したからだよ。そして、レイカが妊娠した」

 「何だか、変ね。よく理解できない」

 「僕も、理解できているとは言い難いけど、魂が移動するのは、転生先が意識を持ってからということだろうね」

 「同じことが、また、できるの?」

 「それは無理だと思うよ。今は、テラjrという身体があるからね」

 「リンダ、納得できたかな?」

 「えぇ、多分、大丈夫よ」

 私達は、お互いを確かめあった。それから、ベッドを抜けて、ガーベラの部屋まで、転移魔法で移動した。ガーベラは、もう、寝ているようだったので、起こさないように、静かに、ベッドに潜り込んだ。
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