失われた記憶を探す闇の魔法使い(The dark wizard searching for lost memories)

無似死可

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第2章 女魔法使い

第17話 ギルド長との約束

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 シルヴァー・ムーン・シャドウのリーダーのユリアは、エルフで、もうすでに、120歳以上だという。
 そのユリアが、私に訊いて来た。他の者には、聞こえないような小さな声で、囁くように。

 「ねえ、ラズ。あなたは、本当に、人間なの?」

 私は、思わず、ユリアの顔を覗き込んだ。でも、冗談を言っているような顔ではなかった。

 「ユリアは、何を言っているの。当たり前だよ」

 私は、ユリアに怒ったような口調で、言い放った。少し、声が大きくなったので、周りに訊かれたかと思い、少し周りを見渡したが、特に、私達の方を見ている者は、いないようだ。

 「本当?」

 まだ、疑問を持っているようだ。しかし、何故、こんな話を急に始めたのか、それが知りたくて、暫く、話を聞くことにした。

 「どうして、そんなことを言うの?」

 「貴方は、見た目とは、異なる内面を持っていると思ったからよ」

 ユリアの話は、よく分からない。少し、イライラして来た。

 「もっと、分かりやすく、言ってよ」

 「そうね。私は、エルフで、この姿で、長い間変化しないの。これでも、もう、100年以上生きているのよ」

 エルフと言うのは、長い横に伸びた耳で、直ぐに分かった。そして、前に会ったリリアの様に長命だとも、分っていた。

 「それで?」

 「貴方は、転生者なの? それでなければ、人間に化けているの?」

 変な事を言われたのは、これで、2度目だ。しかも、どちらも、エルフ。何か、関係があるのでは、ないかな?

 「ユリアは、リリアというエルフを知っている?」

 ユリアが、驚いたような顔になった。いつも、冷静を装っていたユリアが、感情を初めて表したように思った。

 「リリア? そう言ったの?」

 やはり、動揺している。何故、リリアの名前だけで、これほどまで、心が揺れているのか?

 「そうだよ。ユリアのように、私に変な事を言ったの。知らない?」

 もう一度、私は、横に居るユリアの顔を覗き込んだ。本当に、驚いているようだ。

 「知っているわ。ユリアも、冒険者よ。それも、Sクラスの冒険者よ」

 思った通りだ。リリアは、経験豊富な冒険者だった。しかも、Sクラスとは、そこまでとは、思ってもみなかった。

 「やはり、そうなんだ。僕には、初心者だと言って、近づいて来たよ」

 私は、いつのまにか、感情を表に出して話すユリアの事を信じ始めていた。そして、だんだんと、素直に話している自分に驚いていた。こんなに、人を信用したのは、ルナの時以来だ。

 「リリアも、私と同じことを言ったの?」

 「違うよ」

 ユリアに、本当の事を話そうと、思った。その時、後ろから、ルナが、私を呼ぶ声が聞こえた。

 「ルナが呼んでる」

 私は、そう言い残して、その場を離れた。その後は、ユリアが、私に話しかけてくることは、なかった。

 私達は、一緒に冒険者ギルドに行くことになった。詳しい報告を行うために。

 冒険者ギルドに着くと、シルヴァー・ムーン・シャドウと私達は、別々の部屋に案内された。そして、私達を案内したのは、ローズだった。

 「ルナ、こっちよ。大変だったわね」

 ローズが、心配そうに、声を掛けてくれた。

 「私達は、大丈夫だったの。でも、シルヴァー・ムーン・シャドウは、トラップに引っかかって、分散されたみたい」

 「ダンジョンの異変が収まっていたので、安心していたけど。もう少し、様子を見た方が良かったみたいね」

 「でも、私は、早く、中級ダンジョンに潜りたかったから。多少のリスクがあっても、潜ったわよ」

 ルナは、相変わらず、強気だ。もう少し、用心深くなってもらわないと、リーダーとしては、不安だ。

 「まあ、そんなことを言って、もし、ルナたちのパーティが、トラップに掛かっていたら、どうする?」

 ルナは、少し、首を傾けて、考えているふりをしている。でも、多分、何の考えもないだろう。私は、そう思う。そんなに、簡単に、ルナが自分を変えて、慎重になるなんて、考えられないわ。

 「その時は、その時よ。そんなこと考えていたら、ダンジョンなんか、潜れないわ」

 やっぱり、相変わらずのルナだった。

 「まぁ、ルナらしいけど、心配だわ」

 ローズに、別室を案内されて、その中で暫く待つように言われた。私達は、横並びにソファに座って、待って居た。暫くして、ギルド長が部屋に入って来て、私達の前に座った。

 「お待たせ」

 私達は、軽く頭を下げた。
 
 「詳しい話は、シルヴァー・ムーン・シャドウのユリアから、聞いた」

 「そうですか」

 ルナは、それなら、何故、私達を待たせたのか、少し、疑問に思い始めていた。

 「実は、今回のことを内緒にしていて欲しい」

 「それは、どういうことですか?」

 「ここだけの話にして欲しいのだが、いいかな」

 ギルド長は、私達を見渡して、確認を求めた。私達は、軽く頷いて、秘密にすることを了承した。それを確認してから、ギルド長は、静かに話始めた。

 「今回のダンジョンの異変は、まだ、納まっていない。そして、その原因についても、不明だ」

 「えっ、もう、大丈夫なのではないのですか?」

 流石のルナも、驚いたようだ。もう、異変は、ないと言われて、ダンジョンに潜ったのに。それが、嘘だったなんて。

 「国王からの指示で、異変が収まったことにした。事実、魔物の出現は、一応止まっていたので、冒険者達は、疑問に思わなかったようだ」

 「それでは、冒険者の安全は、確保できませんよ」

 珍しく、ルナが、安全面を強調している。

 「確かに、ルナが言う通りだ。だから、国王には、内緒で、Bクラスのパーティに調査を依頼していたんだ」

 「そうですか。それでは、これからも、冒険者には、内緒にするのですか?」

 ルナは、まだ、食って掛かっている。何を怒っているのか、私には、わからない。

 「確かに、そうだ。そこで、一定以上のランクでないパーティには、ダンジョンに入ることを禁止しようと思っている。それなら、一定の安全は、確保できるだろう。つまり、調査依頼できないようなパーティは、ダンジョンに入れないのだ」

 ルナは、言葉に詰まってしまった。折角、ダンジョンに潜れるようになったのに。自分が、余計なことを言ったために、これからは、潜れない。失敗したと思っているようだ。ルナは、唇を噛み締めて、ギルド長を睨んでいる。

 しかし、ギルド長は、更に話を続けた。

 「今回のことで、君たちのパーティは、Bクラスのパーティと認定しよう。ただ、表向きは、依然として、Bクラスパーティだ。いいかな?」

 「えっ、それって、どういうことですか??」

 「だから、他のパーティは、Bクラス以上でないと、ダンジョンには、潜らせないが、君たちは、Cクラスだが、特別にダンジョンに入る許可を与えようということだ」

 「これからも、ダンジョンに潜ってもいいのですか?」

 ルナの顔が一気に明るくなった。

 「そうだよ」

 ルナは、何度も、うん、うんと頷き、喜びを隠せないようだ。ルナは、直ぐに、これからの行動を考えているような顔をしている。まあ、私は、ルナに付いて行くだけだけどね。
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