36 / 37
お互い様
しおりを挟む
ふとした瞬間に好きの気持ちが溢れてしまう。諦めようと思っていたのに、翔の言葉、行動一つで翔が欲しくなってしまう。こんな自分が嫌いだ。僕は翔の隣にいていいのだろうか。そんな考えまで浮かんできた。僕なんかが…。
翔と目が合うと、全身の血が沸騰するような感覚になる。ドキドキする。だから、さっき変な反応をしてしまった。バレて無いだろうか。いや、心配そうな顔をさせてしまった。誤魔化すために向かったトイレから戻った今も、翔の表情は少し強張っている。僕の失敗だから、僕がどうにかしなきゃ。翔のために、そう思い気持ちを切り替えた。
餌やりコーナーについた。今日は、猿に餌やりができるらしい。餌用のレーズンを購入し、翔と半分こした。
「一緒にできるの楽しいね」
いつもより明るい笑顔で声をかけた。楽しいのも、一緒で嬉しいのも本心だ。
「そうだな」
翔も笑ってくれた。さっきよりは、柔らかい表情になっている。一安心だ。
近くに猿が歩いてきたので、レーズンを投げてみた。しかし、思うように投げることができず、猿がいない場所にレーズンが落ちた。少し落胆していると、シャッター音が聞こえた。びっくりして振り返る。
「かわいいあすかが撮れたー!」
翔はニコニコしながら、スマホを見ている。
「何撮ってんの!」
わざと頬を膨らませてみるとつつかれた。びっくりして口をぽかんと開けると、あははと軽やかな声で翔が笑った。
「子供みたいだな」
翔は意地悪そうに言ってきた。
「じゃあ翔もやってみなよ」
あすかが拗ねたようにしてそういうと、翔はまた楽しそうに笑い、自分も餌やりをしようと、あすかの隣に立った。
「みてろよ!」
案の定全く違う場所に飛んで行った。思わずあすかは吹き出した。
「やっぱダメじゃん!」
「いやこれむずすぎない?」
二人でキョロキョロと他のお客さんを見てみたが成功率は低そうだ。
「まあ、いい方だろう!」
翔はそう言って自分が投げたレーズンを見つけた猿を指差した。
「本当だ食べてくれてる」
あすかがそういうと翔は得意げに笑った。
「さすが俺~」
「ふふ、そうだね」
楽しい。この時間がずっと続けばいいのに。やっぱり、この姿を独り占めしたい。今だけは、最後に、わがままになるのを許して欲しい。
「翔」
名前を呼ぶと、嬉しそうにこっちを見てくる。
「なんだ?」
にっと嬉しそうに笑っている。かっこいい、それに凄く可愛い。些細な行動が愛おしい。
「好きだよ」
今僕はどんな顔をしているんだろう。声はちゃんと出ていただろうか。どんなふうに捉えられても構わない。友情としてでいいから受け取って欲しい。大好きだよ。翔。
「え」
困らせたみたいだ。翔は固まっている。しかし、少し焦ったように目を泳がせた後に「俺も好きだよ」と言ってきた。
「え?」
勘違いしそうだった。顔が熱い。絶対今顔が赤くなっている。何か言わなきゃ、そう思っているのに言葉が出ない。
「な、なんか言えよ」
翔はそう言いながらあすかの手を引き歩き出した。気がつくと人が少ない場所に来ていた。
「あ、あれ」
「なんか視線が集まりかけてたから」
翔は困ったように頭を掻いている。それを見てハッとした。自分の顔を手で隠す。絶対バレた。好きなのがバレた。どうしよう。
「おい、あすか」
翔の方を見れない。恥ずかしい。でも、翔も僕の事好きって…。いや、友達としてだよね。勘違いしてがっかりしたくない。やめよう。でも、勘違いしたくなるくらい、優しくて甘い声だった。
「何か言ってくれよ!」
翔に肩を揺さぶられ、さらに言葉が出なくなる。でも、翔の方も焦ってるように見える。
「か、翔」
「なんだよ」
なんとも言えない空気が二人の間を流れている。しかし、足音がして二人とも我に帰った。
「じゃ、じゃあ。残りまわろっか!」
頑張って声を出した。翔は何も言わず大きく頷いた。
翔と目が合うと、全身の血が沸騰するような感覚になる。ドキドキする。だから、さっき変な反応をしてしまった。バレて無いだろうか。いや、心配そうな顔をさせてしまった。誤魔化すために向かったトイレから戻った今も、翔の表情は少し強張っている。僕の失敗だから、僕がどうにかしなきゃ。翔のために、そう思い気持ちを切り替えた。
餌やりコーナーについた。今日は、猿に餌やりができるらしい。餌用のレーズンを購入し、翔と半分こした。
「一緒にできるの楽しいね」
いつもより明るい笑顔で声をかけた。楽しいのも、一緒で嬉しいのも本心だ。
「そうだな」
翔も笑ってくれた。さっきよりは、柔らかい表情になっている。一安心だ。
近くに猿が歩いてきたので、レーズンを投げてみた。しかし、思うように投げることができず、猿がいない場所にレーズンが落ちた。少し落胆していると、シャッター音が聞こえた。びっくりして振り返る。
「かわいいあすかが撮れたー!」
翔はニコニコしながら、スマホを見ている。
「何撮ってんの!」
わざと頬を膨らませてみるとつつかれた。びっくりして口をぽかんと開けると、あははと軽やかな声で翔が笑った。
「子供みたいだな」
翔は意地悪そうに言ってきた。
「じゃあ翔もやってみなよ」
あすかが拗ねたようにしてそういうと、翔はまた楽しそうに笑い、自分も餌やりをしようと、あすかの隣に立った。
「みてろよ!」
案の定全く違う場所に飛んで行った。思わずあすかは吹き出した。
「やっぱダメじゃん!」
「いやこれむずすぎない?」
二人でキョロキョロと他のお客さんを見てみたが成功率は低そうだ。
「まあ、いい方だろう!」
翔はそう言って自分が投げたレーズンを見つけた猿を指差した。
「本当だ食べてくれてる」
あすかがそういうと翔は得意げに笑った。
「さすが俺~」
「ふふ、そうだね」
楽しい。この時間がずっと続けばいいのに。やっぱり、この姿を独り占めしたい。今だけは、最後に、わがままになるのを許して欲しい。
「翔」
名前を呼ぶと、嬉しそうにこっちを見てくる。
「なんだ?」
にっと嬉しそうに笑っている。かっこいい、それに凄く可愛い。些細な行動が愛おしい。
「好きだよ」
今僕はどんな顔をしているんだろう。声はちゃんと出ていただろうか。どんなふうに捉えられても構わない。友情としてでいいから受け取って欲しい。大好きだよ。翔。
「え」
困らせたみたいだ。翔は固まっている。しかし、少し焦ったように目を泳がせた後に「俺も好きだよ」と言ってきた。
「え?」
勘違いしそうだった。顔が熱い。絶対今顔が赤くなっている。何か言わなきゃ、そう思っているのに言葉が出ない。
「な、なんか言えよ」
翔はそう言いながらあすかの手を引き歩き出した。気がつくと人が少ない場所に来ていた。
「あ、あれ」
「なんか視線が集まりかけてたから」
翔は困ったように頭を掻いている。それを見てハッとした。自分の顔を手で隠す。絶対バレた。好きなのがバレた。どうしよう。
「おい、あすか」
翔の方を見れない。恥ずかしい。でも、翔も僕の事好きって…。いや、友達としてだよね。勘違いしてがっかりしたくない。やめよう。でも、勘違いしたくなるくらい、優しくて甘い声だった。
「何か言ってくれよ!」
翔に肩を揺さぶられ、さらに言葉が出なくなる。でも、翔の方も焦ってるように見える。
「か、翔」
「なんだよ」
なんとも言えない空気が二人の間を流れている。しかし、足音がして二人とも我に帰った。
「じゃ、じゃあ。残りまわろっか!」
頑張って声を出した。翔は何も言わず大きく頷いた。
0
あなたにおすすめの小説
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
発情期のタイムリミット
なの
BL
期末試験を目前に控えた高校2年のΩ・陸。
抑制剤の効きが弱い体質のせいで、発情期が試験と重なりそうになり大パニック!
「絶対に赤点は取れない!」
「発情期なんて気合で乗り越える!」
そう強がる陸を、幼なじみでクラスメイトのα・大輝が心配する。
だが、勉強に必死な陸の周りには、ほんのり漂う甘いフェロモン……。
「俺に頼れって言ってんのに」
「頼ったら……勉強どころじゃなくなるから!」
試験か、発情期か。
ギリギリのタイムリミットの中で、二人の関係は一気に動き出していく――!
ドタバタと胸きゅんが交錯する、青春オメガバース・ラブコメディ。
*一般的なオメガバースは、発情期中はアルファとオメガを隔離したり、抑制剤や隔離部屋が管理されていたりしていますが、この物語は、日常ラブコメにオメガバース要素を混ぜた世界観になってます。
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
藤崎さんに告白したら藤崎くんに告白してた件
三宅スズ
BL
大学3年生の鈴原純(すずはらじゅん)は、同じ学部内ではアイドル的存在でかつ憧れの藤崎葵(ふじさきあおい)に、酒に酔った勢いに任せてLINEで告白をするが、同じ名字の藤崎遥人(ふじさきはると)に告白のメッセージを誤爆してしまう。
誤爆から始まるBL物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる