水面の星

白詰えめ

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友達

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「ねえ、悠斗」
 あすかはオンラインゲームをしながら通話中の悠斗に話しかける。
「なあに?」
 悠斗は敵を倒しながら、楽しそうに答えた。
「友達ってどうやって作るのかな?」
 あすかは真剣に答えるが、悠斗は吹き出し、「え!?あすか?そんな小学生じゃないんだから!」
 と笑っている。小学生の方が、たぶん友達作るの上手だよ。なんて卑屈な言葉を押し込めながら
「なんか、最近わからないんだよ」
 と不貞腐れたように言った。
 テレビの画面ではキャラクターが走り回っている。
「あすかは、そのままでもいいとは思うけど、まあ、困ってるなら、相談乗ってあげるよ」
 悠斗は相変わらず笑っている。
「困ってるんだよ。真剣に」
 後半に部分を強めに押しながらあすかは言った。
「えー、どうしよう笑っちゃう」
 悠斗は、あすかからの相談という珍しい事態に心底嬉しそうに言葉を返す。
「とりあえず、聞いてはくれるんだね?」
 あすかは、少し拗ねたように聞く。
「うんうん、なんでも話してみなって」
 カチカチとゲームの音が響く中、あすかは「ありがとう」と言い話し始めた。

 翔だとわからないくらいの情報と、呼び捨てで呼び合えるくらいではあることを伝える。
「でも、学校で会っても、何話せばいいかわかんなくて」
「あぁ、話題かぁ」
 悠斗は少し考え込むように黙ると、「趣味とかは?」と答える。
「趣味か…」
 翔の趣味はなんなのだろう。聞いたことがない。というか、いつも翔が一方的に話しかけてくる方が多い。それなのに、翔のことを何も知らない。
「ゲーム好き?とかそういうのでいいんじゃない?」
 悠斗の答えは最もだ。聞いてみようと決意を固めた。
「聞いてみるよ」
「うん!応援してるよ」


 翌日、いつものように隣に座ってきた翔にあすかは話しかけた。
「あの…さ」
 少し詰まりながら言うと翔は
「なになに!」
 とキラキラした目であすかを見つめる。あすかからの質問に喜んでいるようだ。
「趣味とかってあるの…?僕はゲームが好き」
 ニコニコとしていた翔の口が大きく開いて
「え?合コン始まった?」
 と少し揶揄うように、でもとても嬉しそうな声色で言った。
「え、いや、違うけど」
 思わず真っ赤になる。翔を知りたいと言う点では同じかもしれないと思いながら。
「あはは、わかってるって」
 嬉しそうにあすかの肩をポンポンと叩くと「そうだな」と言って前を向いて考え始めた。
 閃いたようにあすかの方を向き
「あすかと話すこと」
 と言って笑う。
「え?」
 あすかがびっくりして固まると、翔はいたずらっぽく笑い
「冗談だよ。…本当だけどね」
 と言った。そうして、もう一度考える素振りを見せる。
「強いて言うなら、ファッションとか?」
 と頬杖をつきながら答える。
「翔おしゃれだもんね」
 あすかがそういうと嬉しそうに歯を見せて笑い。
「そう?俺かっこいい?」
 と上目遣いで言うから、あすかは思わず目を逸らした。その様子を見て翔はふっと笑う。
「そういえば、ゲームって何すんの?」
「オンラインのシューティングゲーム?かな」
「チームで敵倒していくやつ?」
「そうそう!」
「へー、意外」
「そうかな?」
「うん、あすかって家で優雅に本読んでそう」
「何それ」
 あすかが笑うと翔もつられて笑った。
「結構ゲームするの?」
「週に3回くらいかな。友達と通話繋いでよくするんだよね!」
 あすかが満面の笑みでそう答えると、翔は少し口をぎゅっとしてから「良い趣味だな」と答えた。
「結構楽しいよ。翔も一緒にする?」
 あすかはテンションが上がったまま、翔に話しかける。翔は対照的に浮かない顔をしている。あすかはそれに気づかないまま、ゲームの話を続ける。
「今日もすんの?」
 突然翔から質問を投げかけられ、あすかの話が止まる。
「今日はまだ考え中かな」
「そっか」
 翔は寂しそうに笑ってから、スマホを開き何かメッセージを打ち始めた。手が止まったと思うと、あすかの方を見て「じゃあ今日遊び行こうよ」と言った。
「え?」
 あすかは、突然の出来事に言葉が出ない。
「俺の趣味に付き合ってよ」
 翔がそう片目をぱちっとをしながら言うと、あすかはそれに気を取られ「うん」と承諾してしまった。
「あ」
 気づいた時には遅かった。翔がどんどん今日の予定を埋めていく。あすかは、ぽかんとしたまま相槌を打つだけだった。「本当に聞いてるのか?」と笑われ、「聞いてるよ!」と焦って答える。
 交換してから、一度も動かなかったメッセージアプリに今日の予定が送信された。メッセージの最後には“絶対こいよ”と書かれている。
「じゃ!放課後は校門前に集合な」
 翔はそう言って、浮かれた様子で前を向いた。横に座っているあすかは授業が始まってからも心ここにあらずだった。
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