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第三章
しおりを挟む第三章:試練の道
リリィの決意が固まった後、彼女は村を後にし、王国の中心に向かう旅路を歩き始めた。心の中で、かつてないほどの不安と期待が交錯していた。王国の闇を打ち破る力を持つと言われる自分が、本当にその使命を果たすことができるのだろうか。自分が果たさなければならない役割の重さに、胸が押し潰されそうだった。
長老の言葉が彼女の耳に残っている。「君の力を解放するためには、試練を乗り越えねばならない。それは君の心の中に眠るもの、君自身の真の力に目覚めるための試練だ。」
リリィはその言葉を胸に刻み込みながら、道を歩んだ。村を離れると、周囲の景色は次第に変わっていった。広がる平原を越え、次第に険しい山道へと差し掛かる。遠くに見える山々は、昔から王国の伝説に登場する聖なる場所であり、数多の冒険者たちがその山々を越えることを夢見ていたが、ほとんどが帰らなかったと言われていた。
「ここが…私の始まりの場所かもしれない。」リリィは自分にそう呟き、足元を見つめた。風が草を揺らし、空には重い雲が広がっている。その空気の中で、彼女は確かに何かが呼び寄せられているような感覚を覚えた。
途中、彼女は何度も自分を試すかのような障害に出くわした。最初は小さな獣の群れに遭遇し、身の回りを守るために急いで防御の魔法を使わざるを得なかった。それはほんの些細な出来事のように思えたが、その後も次々に魔物や自然の脅威が現れる。山の中で迷い、道を見失いかけたときには、心が折れそうになった。しかし、そのたびにリリィは自分の内面から湧き上がる力を感じていた。それはまるで星々の力が自分を支えているかのような感覚だった。
ある晩、彼女は山の頂上に近い小さな広場で休息をとっていた。辺りは静まり返り、月明かりが山々を照らしていた。そのとき、リリィはふと、何かの気配を感じた。振り返ると、暗闇の中から一匹の鳥が飛び出してきた。その鳥は、まるで導くようにリリィに近づいてきて、その目をじっと見つめた。
「あなたは、星の使者…?」リリィは呟くようにその鳥に話しかけた。すると、鳥は羽ばたき、空へと舞い上がり、遠くの空に消えていった。
その後、リリィはその鳥がどこから来たのか、そしてその意味が何なのかを考え続けたが、答えは出なかった。しかし、彼女はその瞬間、自分がただの村の少女ではなく、王国を救う使命を帯びた者であることを再認識した。
次の朝、リリィは再び歩みを進めた。目の前には険しい山道が広がっているが、彼女の心には確かな覚悟が芽生えていた。途中、何度か小さな村に立ち寄り、食料を調達しながら進んでいったが、どこもかしこも不安な雰囲気に包まれていた。人々は王国の闇が迫っていることを感じ取り、恐れていた。
「王国が…闇に覆われているというのは、本当なのだろうか。」リリィは心の中で問いかけながら、次第に王国の中心に近づいていった。やがて、彼女は王国の王宮がある都に到達した。その都市の手前で、リリィは立ち止まり、空を見上げた。
王宮が見える方向には、まるで重たいカーテンのように広がる黒い雲が広がり、星々が輝きを失っている。王国の象徴であった空の島々も、かつての輝きを失い、暗闇に包まれていた。
「もうすぐ、ここが私の戦いの舞台になるんだ。」リリィは力強く呟き、決意を新たにした。
その時、突然、背後から声がかけられた。
「あなたが…リリィか?」
振り向くと、そこには一人の青年が立っていた。彼は、王国の騎士団の鎧を着ており、目には深い疲れと決意が宿っていた。
「私は、騎士団の一員で、あなたに会いに来た。王の命を受けて…」
その言葉に、リリィは驚きと共に深い疑念を抱いた。この青年が何者なのか、そして彼が何を求めているのかを探る必要があった。
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