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第四章
しおりを挟む第四章:騎士団の使者
リリィは青年をじっと見つめた。彼の鎧には王国の紋章が刻まれており、確かに騎士団の一員であることがわかる。しかし、その目に宿るものはただの忠誠心だけではないような気がした。深い疲れと決意が混じり合ったその眼差しに、リリィは何かしらの暗い秘密を感じ取った。
「王の命を受けて…私に?」リリィは少し戸惑いながらも、慎重にその言葉を繰り返した。
青年は一瞬黙り込み、やがて軽く息をついてから言った。「私は、アレン。王宮の守護騎士団に所属している者だ。王は、あなたが闇の王を打ち倒すための鍵となる者だと知り、あなたに接触し、助けを求めている。」
リリィはその言葉に驚いた。王が自分に助けを求めているとは…彼女がただの村の少女であることを考えると、その知らせはまるで夢のようだった。
「でも、私はただの村の者です。私に何ができるのでしょうか?」リリィは心の中で再び不安が湧き上がるのを感じた。王国を救うための力を持っていると言われても、実際にはその力が何なのかもわからないし、自分にはその責任が重すぎると感じていた。
アレンは、リリィの目をまっすぐに見つめ、答えた。「王はあなたに期待している。そして、私もあなたをサポートするためにここに来た。私の役目は、あなたを王宮まで安全に導くことだ。」
リリィはその言葉に少し安心した。アレンが助けてくれるなら、少なくとも一人ではないのだと感じた。しかし、心の中でまだ不安は消えていなかった。王宮に向かう道のりには、何が待ち受けているのだろうか。闇の王が復活しつつある今、王宮にもその影響が及んでいるのではないか。
「王宮まで…どれくらいかかるのでしょうか?」リリィは尋ねた。
アレンは少し考え込み、答えた。「王宮まではかなりの距離がある。途中、いくつかの障害を乗り越えなければならないだろう。だが、あなたが持っている力が目覚めれば、その試練も乗り越えられるはずだ。」
リリィはその言葉を噛みしめるように聞いた。自分が持っている力…それが何であるのか、いまだにわからない。しかし、王国を救うためには、この力を目覚めさせるしかない。心の中で覚悟を決めたリリィは、アレンに続いて歩き出した。
二人は王宮に向かう道を進んで行ったが、途中で何度も不穏な気配を感じることがあった。暗闇が王国を包み込む中、リリィはその重苦しい空気に圧倒されながらも、歩みを止めることなく進み続けた。
途中、村々を通り過ぎ、疲れた顔をした民たちとすれ違うたびに、リリィは胸が痛む思いを感じた。かつての輝きを取り戻すためには、自分が何としても闇の王を打ち倒さなければならない。そう決意しながらも、その道は容易ではないことを彼女はよく知っていた。
ある晩、二人は小さな森の中でキャンプを張ることにした。アレンが火を起こし、リリィは周囲を見渡しながら夜の静寂に耳を傾けていた。夜空に輝く星々は、かつてのような美しい光を放っていなかった。どこか不安定で、揺らめいているような感じがする。リリィは心の中で、王国を覆う闇の力がどんどん強まっているのを感じていた。
「アレンさん、どうしてあなたは私を助けてくれるのでしょうか?」リリィはふと疑問を口にした。これまでの道のりで、アレンの助けがなければ自分はとうに道を失っていたかもしれない。彼がなぜ自分に協力しているのか、その理由を知りたかった。
アレンは少し黙った後、静かに答えた。「実は、私は王の命令であなたを守るだけでなく、あなたの力を引き出すために、あなたの心にある秘密を解き明かす役目を持っているのだ。」
「私の心の中に…秘密?」リリィはその言葉に驚いた。
「はい。」アレンは真剣な表情で続けた。「あなたが持っている力は、星の王国の王家に深く関わるものだ。しかし、それを完全に引き出すには、あなた自身がその力を信じ、受け入れなければならない。」
その言葉がリリィの心に重くのしかかる。自分の中に眠る力、それが王国を救うための鍵となるのか。だが、どうすればその力を目覚めさせることができるのか、彼女にはまだわからなかった。
その夜、リリィは夢を見た。夢の中で、星々が彼女を導くように輝き、王国を覆う闇の中で、一人の人物が立ち向かっている姿が見えた。それは…王アリアンだった。彼の顔は憔悴しきっており、彼の周りには無数の闇の魔物が迫っていた。
「リリィ…君が来るのを待っていた。」王は弱々しく声を絞り出した。「君が力を覚醒させ、私を救わなければ、この王国は完全に闇に呑み込まれてしまう。」
その言葉に、リリィは目を覚ました。胸が苦しく、体が震えるような感覚に襲われた。王の声が耳に残り、その言葉が胸の奥で深く響いていた。
「私は、王国を救えるのだろうか…?」
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