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第五章
しおりを挟む第五章:目覚めし力
リリィは目を覚ました後、しばらくの間、王アリアンの言葉が耳にこびりついて離れなかった。夢の中で彼が語った言葉、そしてその弱々しい声。それはただの夢ではなく、彼女に向けられた現実のメッセージのように感じられた。
「私は本当に、王国を救うことができるのだろうか…?」
その問いが彼女の心に浮かび続けた。しかし、今は立ち止まるわけにはいかない。リリィはその思いを胸に、アレンに見守られながら再び旅路を進み始めた。目の前に広がる道の先には、王宮が待っている。王宮に辿り着けば、すべての謎が解けるような気がした。
「アレンさん、王宮に近づくにつれて、王国の様子がどんどん不穏になっているのが感じられます。」リリィは歩きながら、周囲の空気を感じ取っていた。風は冷たく、木々は不安定に揺れており、まるでこの世界自体が震えているかのようだった。
アレンはその言葉に少し顔をしかめ、答えた。「確かに、王宮の周辺は異常だ。しかし、それこそが、君の力が目覚めるための兆しでもある。君が王宮に辿り着いたとき、すべてが動き出すだろう。」
リリィはその言葉を心に刻み、黙って歩き続けた。途中、彼女の前に現れるのは、どこか異様な気配を持つ者たちばかりだった。盗賊のような者、闇の精霊のような者、そして何より、不自然に動き回る黒い影のような存在。それらは、王国を蝕む闇の力がどんどん広がっていることを物語っていた。
ある日の夕暮れ、二人はとうとう王宮の前にたどり着いた。王宮は、リリィが想像していた以上に壮大で、荘厳な建物が立ち並んでいる。しかし、その美しさの中に、どこか不気味さが漂っていた。王宮の空には重い雲が渦巻き、星々は一つも見えない。まるで王国を覆う闇が、ここに集まっているかのようだった。
「ついに、ここまで来たか…」リリィはその景色を見上げながら呟いた。心の中で、王アリアンが待っている場所、そして自分が果たすべき役割を再確認していた。
「でも、王宮にはすでに危険が迫っているはずだ。」アレンはリリィの前に立ち、警戒の色を見せながら言った。「闇の王は、すでに王宮内にその手を伸ばしている。君が到着するのを待っているのだ。」
その言葉に、リリィは強く頷いた。自分が到着したことで、何かが動き始めるのを感じた。王宮に入るための門をくぐると、そこには一組の衛兵が立っていた。彼らはリリィを見て、一瞬目を見張ったが、すぐに深く頭を下げて道を開けた。
「お待ちしておりました、リリィ様。」一人の衛兵が低い声で言った。
「私を…待っていた?」リリィは驚きと共にその言葉を聞き返した。
「はい。王の命により、あなたを迎え入れる準備が整っています。」衛兵の表情には敬意が表れていたが、その瞳には深い不安も感じられた。
リリィはそのまま衛兵に導かれ、王宮の中へと進んだ。建物の中は静まり返っており、まるで王宮全体が眠っているかのようだった。しかし、何かが起きていることは確かだった。リリィは無言で進み続け、やがて王の間へと辿り着いた。
部屋に入ると、そこにはアリアン王が座っていた。彼はすでに弱り果てたような顔をしており、目はうつろで、力なく椅子に座っていた。王の顔に浮かぶ疲れ切った表情を見て、リリィの胸は痛んだ。
「王…アリアン様。」リリィは一歩踏み出し、静かに呼びかけた。
アリアン王はゆっくりと顔を上げ、彼女を見つめた。その瞳には、確かに希望の光が残っている。
「リリィ…君が来てくれたか。」王はかすれた声で言った。「君こそが、私の最後の希望だ。」
その言葉に、リリィの心は激しく揺れ動いた。王が言う「最後の希望」――それは、彼女に何を求めているのか。王国を救うために、自分が何をしなければならないのか。彼女にはまだ答えが見えていなかった。
アリアン王は深く息をつき、続けた。「リリィ、君がここに来たことで、すべてが動き始める。しかし、君の力を完全に目覚めさせるためには、試練を乗り越えなければならない。」
「試練?」リリィはその言葉を繰り返した。
「はい。君の力を目覚めさせるための試練だ。それを乗り越えなければ、王国の闇を打破することはできない。」
その言葉がリリィの心に重くのしかかる。しかし、彼女にはもう迷っている暇はなかった。王国の未来は、今や彼女に託されているのだと強く感じた。
「私は、王国を救います。」リリィは深く息を吸い、決意を固めた。
アリアン王は微かに笑みを浮かべ、最後の力を振り絞って言った。「君ならできる…君が目覚めれば、星々の力が君を導くはずだ。」
その言葉と共に、王宮の中にある闇の力が、ついに動き出した。それは、リリィに与えられた試練の始まりを告げていた。
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