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第48話 薬草と魔力草入りオムライス
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翌朝、目覚めるとククリがいなくなっていた。
……まさか先にダンジョンに戻ってしまったのか?
……それとも外に出ていってしまったのか?
……はたまたよからぬ何かが起こって存在そのものが消えてしまったのではないだろうか?
一瞬のうちに嫌な考えが頭をよぎる。が、そんな心配も杞憂に終わった。
部屋を出ると食欲を刺激するいいにおいが届いてきたのだ。
ぎゅるるる~。
と腹の虫が鳴る。
俺は本能の赴くままキッチンへと足を運んだ。
するとそこにはククリの小さな後ろ姿があった。
「ククリ……何してるんだ?」
「あっ、おはようございますマツイさん。すいません勝手にキッチンを使っちゃって……」
「それはいいけど料理してるのか? ククリって料理なんか出来るのか?」
「むぅ……私だって料理の一つや二つ余裕ですよっ」
口をとがらせ反論する。
「そうなのか……でも食材あんまりなかっただろ」
この前スーパーに行った時にある程度は買っておいたがそれも一週間以上前だからな。
「大丈夫です。足りない分は薬草と魔力草をふんだんに使ってカバーしましたから」
「え……」
「さあ、出来上がりましたよっ。ククリ特製オムライスです!」
「……あ、ありがとう」
俺はポチにも朝ご飯のドッグフードを与えてから、
「じゃ、じゃあいただきます」
「どうぞ、召し上がってくださいっ」
ククリの作ったオムライスに手をつけた。
見た目は昨日俺が作ったオムライスとそっくりだ。
においは正直かなりいい。
だが問題は味だ。
薬草と魔力草を入れたらしいが果たして味はどうなのだろう……。
俺は一口食べてみた。
……。
……。
……。
……不味い。
薬草と魔力草の悪いところが出ている。
苦みと渋みが半端ない。
「どうですかっ?」
ククリは大きな瞳をきらきらさせ訊いてきた。
「こんな苦くて渋くて不味いもの食べられるわけないだろっ」と言えるはずもなく俺は、
「うん。美味しい」
とククリの目を見てそう返した。
「ほんとですかっ。わあ、嬉しいです~。じゃあ私もいただきますねっ」
ククリは薬草と魔力草入りオムライスを美味しそうにぱくぱくと食べ進める。
精霊にとって薬草と魔力草は美味しいものらしいから当然と言えば当然か。
俺だって薬草と魔力草が入ってなければ美味しくいただけるのに……。
ククリの嬉しそうな顔を見て俺は覚悟を決めた。
笑顔を作りながらオムライスを次々と胃に流し込んでいく。
十五分後、感情が顔に出にくいことが功を奏したのかククリにバレることなくすべてたいらげることが出来た。
「「ごちそうさまでしたっ」」
二人して食後の挨拶を済ますと、
「もし機会があったらまた私作りましょうか? オムライス」
「ああ……うん」
その時は薬草と魔力草だけは持ち帰らないようにしようと俺は心に決めた。
……まさか先にダンジョンに戻ってしまったのか?
……それとも外に出ていってしまったのか?
……はたまたよからぬ何かが起こって存在そのものが消えてしまったのではないだろうか?
一瞬のうちに嫌な考えが頭をよぎる。が、そんな心配も杞憂に終わった。
部屋を出ると食欲を刺激するいいにおいが届いてきたのだ。
ぎゅるるる~。
と腹の虫が鳴る。
俺は本能の赴くままキッチンへと足を運んだ。
するとそこにはククリの小さな後ろ姿があった。
「ククリ……何してるんだ?」
「あっ、おはようございますマツイさん。すいません勝手にキッチンを使っちゃって……」
「それはいいけど料理してるのか? ククリって料理なんか出来るのか?」
「むぅ……私だって料理の一つや二つ余裕ですよっ」
口をとがらせ反論する。
「そうなのか……でも食材あんまりなかっただろ」
この前スーパーに行った時にある程度は買っておいたがそれも一週間以上前だからな。
「大丈夫です。足りない分は薬草と魔力草をふんだんに使ってカバーしましたから」
「え……」
「さあ、出来上がりましたよっ。ククリ特製オムライスです!」
「……あ、ありがとう」
俺はポチにも朝ご飯のドッグフードを与えてから、
「じゃ、じゃあいただきます」
「どうぞ、召し上がってくださいっ」
ククリの作ったオムライスに手をつけた。
見た目は昨日俺が作ったオムライスとそっくりだ。
においは正直かなりいい。
だが問題は味だ。
薬草と魔力草を入れたらしいが果たして味はどうなのだろう……。
俺は一口食べてみた。
……。
……。
……。
……不味い。
薬草と魔力草の悪いところが出ている。
苦みと渋みが半端ない。
「どうですかっ?」
ククリは大きな瞳をきらきらさせ訊いてきた。
「こんな苦くて渋くて不味いもの食べられるわけないだろっ」と言えるはずもなく俺は、
「うん。美味しい」
とククリの目を見てそう返した。
「ほんとですかっ。わあ、嬉しいです~。じゃあ私もいただきますねっ」
ククリは薬草と魔力草入りオムライスを美味しそうにぱくぱくと食べ進める。
精霊にとって薬草と魔力草は美味しいものらしいから当然と言えば当然か。
俺だって薬草と魔力草が入ってなければ美味しくいただけるのに……。
ククリの嬉しそうな顔を見て俺は覚悟を決めた。
笑顔を作りながらオムライスを次々と胃に流し込んでいく。
十五分後、感情が顔に出にくいことが功を奏したのかククリにバレることなくすべてたいらげることが出来た。
「「ごちそうさまでしたっ」」
二人して食後の挨拶を済ますと、
「もし機会があったらまた私作りましょうか? オムライス」
「ああ……うん」
その時は薬草と魔力草だけは持ち帰らないようにしようと俺は心に決めた。
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