落ちこぼれ同盟

kouta

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五章 花葬―あの日の誓いをもう一度―

誓い

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 ガーネットはアーサーの前で膝を折り、にっこりと笑いかける。

「アーサー様……覚えていらっしゃいますか? 初めてお会いした時の事」
「……あぁ、勿論、覚えている。確か、私が6つの時でお前は私を最初姫だと間違えた」
「そうです。あの時私はあなたの手を取って誓いましたよね? あなたを、必ず守ってみせると……」

「あっ……」

突然右手を取られたアーサーは、驚いて小さな声をあげる。

「幼き日のあの誓いを忘れた事は今まで一度もありません。でも、もう一度誓わせてください」

ガーネットはアーサーの手を取り、その白い指先にキスをする。

「私はあなたが王子であろうが、平民であろうが、例え奴隷でも、魔物でも――何者でも構わない。私はあの時からずっと、あなたを心からお慕いしております。その愛に誓って、アーサー様を必ずお守り致します」
「っ――!」

突然の大胆な告白に、アーサーは顔を真っ赤にして、忠誠のキスをするガーネットを見つめる。

「っ……ガーネット……」
「はい」 
「あの時も言ったが私は男だ」
「えぇ。そうですね」

声が裏返るアーサーとは違い、ガーネットは優しく穏やかな笑みを浮かべたまま肯定した。

「っ~~~~! それなのに、また愛だのと……」
「子どもの頃は好きっていいましたよ? でも、今ははっきりとこう申し上げる事が出来ます。愛しております、と……」

あまりにも真っ直ぐな想いにアーサーは何も言えず。ただただ顔を赤らめて、戸惑いの視線をガーネットに送ることしかできない。
 そんなアーサーの心境を察したように、ガーネットは静かな声で告げる。

「勿論。私は王子であるあなたと添い遂げる事が出来る等とは思っていません。完全な私の片想いです」
「お前は……それでいいのか?」
「良い、悪いというより、私はアーサー様以外の人間を見ても、欲情しませんので」

『欲情』という生々しい言葉をはっきり使ったガーネットに、アーサーは驚き、そして途端に彼の視線が気になってしまって自分の腕で身体を守るように抱きしめた。

「あ、失礼……言葉が下品でした。ですが、私はあなた以外眼中にはないのだと、ご理解ください」
「っ……どうしても騎士団に入る夢を諦めないつもりか?」
「はい」
「……私が望んでいないとしてもか」
「アーサー様をお守りする事が、私の存在意義ですから」

揺るがないガーネットの想いを知ったアーサーは、複雑な気持ちだった。
 純粋に嬉しいという気持ちはある。幼い頃の大切な思い出を相手が覚えていた事、その誓いを今再び守ろうとしている事は言葉にはしがたい喜びだった。
 その忠誠心と共にアーサーに向けられる恋心はあまりにも真っ直ぐで気恥ずかしいものだったが、不思議と嫌悪や迷惑だとは感じない。
 しかし、やはり彼が騎士になることだけはどうしても避けたかった。彼が父親と同じ道を辿るのではないか……そう思うと賛成出来ないのだ。

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