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食事を終えた二人はそろそろ職場へ帰ろうと準備しかけた時だった。
立ち上がった瞬間にリデルは結希に声を掛けて来た。
「あのさ」
「え?」
目の前で声を掛けられ結希はリデルを怪訝そうに見つめた。リデルは何かを言おうか迷っているように見える。
「……帰る前に聞きたいことがあるんだ」
「何?」
お互い向かい合いながら立ち尽くす。
「……結希は僕のこと、今も高校の時と同じ感情で想ってくれている?」
「え?」
思わぬの問いかけに驚いて結希は一瞬言葉が出てこなかった。
「な、なんでそんなことを聞くんだ?」
「ただ知りたいんだ」
短く返答し、ジッとリデルは結希を見つめた。
あの時と同じ気持ちだと言ったら、リデルは何て思うのだろうと思考する。
「もしあの時と同じ気持ちだって言ったら……どうするんだ?」
どう返すべきか迷っていた結希だったが、緊張しながら逆に尋ねてみた。
ふっと笑みを作りリデルは嬉しそうに答えた。
「だったら僕たち、恋人同士になれるってことかな?」
「え!?」
リデルの発言に結希の心臓は一気に高鳴った。
早鐘を打つ心臓を抑えるのが必死で、結希はリデルを見つめることしかできなった。
「そ、それって」
「気づいたんだ。僕は結希が好きだったんだって」
「ちょ、ちょっと待って。え!?」
突然の告白に結希は混乱に陥った。
俺の事が好きってどういうことなんだ?なんで急にそうなったのか!?
訳がわからずにいると、リデルは静かに話し始めた。
「ここの会社に着いた時、結希というか“折原君”と目が合った瞬間、結希に似てる子だなって思ってたんだ」
「え……」
まさか既にその時点で勘づかれていたとは、少し結希は自分にがっかりした。
高校時代からあまり変わってないと言われているようだ。
「だから密かに思っていたんだ。“折原君”が結希だったら良かったのになって」
「リデル……」
再会時、リデルがマジマジと結希を見ていた理由はそういう意味だったのかと悟った。
「……そうなのか。だから俺の高校の名前を聞いたりしたんだな」
「そうだね。とりあえず年齢が近そうな人には高校名を尋ねたよ。でも全部違ったからがっかりしていたら、ホテルに探偵から報告書が来ていてそれを読んだんだ。そうしたら結希の色んな事情を知ったんだ」
「なるほどね」
頷く結希にリデルは話を続けた。
「“折原君”が結希だってわかった瞬間、一瞬に気持ちが自分の中で沸き上がったんだ。“折原君”が結希で良かったって。その瞬間気づいたんだ。俺はずっと結希のことが好きだったんだなって」
「……なんで俺のことを好きになったんだ?」
素朴な疑問だった。
こんな完璧の男がなんで、日本人で何処にでもいるような、ましてや男を好きになったのか。
笑みを浮かべながらリデルは少し恥ずかし気に答えた。
「高校の時から結希のことピュアで可愛いなって思ってたんだ。気も合ったし一緒にいて楽しかった。だから別にやらなくてもいいって言われていた学園祭の手伝いも、結希と過ごしたかったから積極的に手伝ってたんだ。そしてあの時、結希からおでこにキスをされて…驚いたけどそれ以上に胸の中がざわついたんだ」
「え?」
「きっとその時に気づけば良かったんだけど、されたことでびっくりしてしまって、おまけに結希に避けられたことで自分の気持ちに蓋をしてしまったのかもしれないね」
そう言いにっこりと笑った。
「気持ちに蓋をしたかもしれないけど、誤解はずっと解きたい気持ちは忘れることがなかったから、今回はそれだけの為に日本に来たと言って過言ではないかもね」
「それは問題だろう?」
苦笑いをする結希に更にリデルは笑った。
「もちろん仕事もだよ」
「“仕事も”って!」
二人は暫く笑っていたが、再びリデルは結希の気持ちが知りたそうにジッと見つめ始めた。それに気がついた結希は軽く咳払いをする。
「……正直戸惑ってるんだ」
「結希……」
「ずっとあの時の出来事は俺にとって苦い思い出になっていたから、実は誤解で本当はお互い想い合っていたって知って、ちょっと混乱してるっていうか」
「……だったらさ」
言ってリデルは結希の手を取った。驚いて思わず結希はリデルを凝視する。
「二日後、土曜日だから休みだったよね?」
「あ、ああ」
「一緒にデートしようよ」
「え?」
突然のデートの誘い更に結希は困惑した。
「デ、デート!?」
「そう、一日一緒にいて今の僕を見て欲しいんだ」
キラキラした笑顔で言われ困惑してしまった結希だったが、次第に落ち着き静かに頷いた。
「わかった。土曜日一緒に行くよ」
「本当!?良かった!」
リデルは嬉しそうな顔をしつつ安堵した様子も見える。
それを見ると結希はちゃんと真剣に考えなければと心の中で思った。
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