289 / 1,471
288.疲れを癒すには
しおりを挟む
「こっち注文頼むー」
「はーい!お待ちくださーい!」
「おまたせしました、日替わり定食です」
ふらりと入ったお店だったが、お昼時を迎えた店の中は活気に満ち溢れていた。いくつものお皿を持った店員さん達は、狭い店内をきびきびと行き来している。
「あ、いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ!」
店員さんは入口で立ち尽くしていた俺達に気づくと、笑顔でそう声をかけてくれた。ハルも初めての店だから、店の決まりが分からないから勝手に座り難かったんだよね。
店の中を見渡せばかなりの混み具合だけど、まだいくつかのテーブルは空いてるみたいだ。一番近くのテーブルへ移動して椅子に腰を下ろした瞬間、俺とハルは二人揃ってふうと息を吐いた。
「疲れた…」
「お疲れ様」
「ありがとう、アキトもお疲れ様」
「説明は全部ハルがしてくれたから、俺はそんなに疲れてないよ」
「なら良かった…」
ハルはそう言うと急に声をひそめた。
「さっきは庇ってくれてありがとう」
ここはギルドからそんなに遠くない店だ。どこで誰が聞いてるか分からないから、小声なのか。そう思った俺は同じく小声で答えた。
「どういたしまして。さすがに嘘は言えないけど、あれは嘘じゃないから」
「ああ、確かに嘘じゃないな…説明してない事はあるけど」
そう言ったハルがやっと笑顔を見せてくれたから、俺も嬉しくなって笑顔を返した。
メロウさんへの説明と俺のランクアップ手続きが終わった後、俺達はそのままギルドを後にした。本当なら今日は何か依頼を受ける予定だったんだけど、俺が今日は止めておこうってハルを説得したんだ。
予定通りこの後は依頼を受けようかって提案してくれたハルの顔が、あまりに疲れすぎてたから頷けなかったんだよね。
メロウさんはやり手だってハルは前にも言ってたから、きっと冷静な顔で説明しながらもかなり気を張ってたんだと思うんだ。だって俺には異世界人っていう、この世界でハルと団長しか知らない特大の秘密があるからね。
説明を押し付けてしまったから、せめて無理はして欲しくないなと思ったから依頼は断固拒否したよ。
「説明大変だったでしょ?」
「あー…相手が相手だからね」
「ありがとう」
「どういたしまして」
緊張が解けてきたのか、話してる間にハルの表情もだいぶ普段通りに戻ってきた。ああ良かった、いつものハルの笑顔だ。
「おまたせしました」
店員さんはそう言うと、俺たちの前にメニューらしき紙を差し出してくれた。へぇ、この店はちゃんとメニューがあるんだ。メニューは無くて口頭で説明するとか、壁に書いてあるのから勝手に選べとかが多いんだけどな。
興味津々でメニュー覗き込めば、見た事のない料理名がいくつも並んでいた。
「えーっと…」
名前だけでは何が何だか分からない。ファミレスみたいに写真とかあればまだ予想もできたんだけど、本当に文字だけだ。途方に暮れていた俺の隣で頼りになるハルが口を開いた。
「今日の日替わりは何?」
「今日はビルチェッティとガックラースがメインです」
びるちぇってぃとがっくらーす。何一つ予想が付かないんだけどと固まった俺を、ハルは柔らかい笑顔で見つめた。
「確かアキトは好き嫌い無かったよね」
「うん、無いよ」
「アキトは好きなメニューだと思うから、日替わりにして良い?」
「…っ!それでお願いします!」
我ながら見事な即答だった。俺の好みを知りつくしてるハルがきっと好きだと思うって言うんだから、俺に拒否する理由は無い。
「じゃあ日替わりと果実水を二人前で」
「日替わりと果実水二人前ですねーしばらくお待ちください」
店員さんが去ってしまうと、俺はハルをじっと見つめて尋ねた。
「…ねぇ、ハル、さっきのってどんな料理なの?」
「来てからのお楽しみだよ」
「はーい!お待ちくださーい!」
「おまたせしました、日替わり定食です」
ふらりと入ったお店だったが、お昼時を迎えた店の中は活気に満ち溢れていた。いくつものお皿を持った店員さん達は、狭い店内をきびきびと行き来している。
「あ、いらっしゃいませ、お好きな席にどうぞ!」
店員さんは入口で立ち尽くしていた俺達に気づくと、笑顔でそう声をかけてくれた。ハルも初めての店だから、店の決まりが分からないから勝手に座り難かったんだよね。
店の中を見渡せばかなりの混み具合だけど、まだいくつかのテーブルは空いてるみたいだ。一番近くのテーブルへ移動して椅子に腰を下ろした瞬間、俺とハルは二人揃ってふうと息を吐いた。
「疲れた…」
「お疲れ様」
「ありがとう、アキトもお疲れ様」
「説明は全部ハルがしてくれたから、俺はそんなに疲れてないよ」
「なら良かった…」
ハルはそう言うと急に声をひそめた。
「さっきは庇ってくれてありがとう」
ここはギルドからそんなに遠くない店だ。どこで誰が聞いてるか分からないから、小声なのか。そう思った俺は同じく小声で答えた。
「どういたしまして。さすがに嘘は言えないけど、あれは嘘じゃないから」
「ああ、確かに嘘じゃないな…説明してない事はあるけど」
そう言ったハルがやっと笑顔を見せてくれたから、俺も嬉しくなって笑顔を返した。
メロウさんへの説明と俺のランクアップ手続きが終わった後、俺達はそのままギルドを後にした。本当なら今日は何か依頼を受ける予定だったんだけど、俺が今日は止めておこうってハルを説得したんだ。
予定通りこの後は依頼を受けようかって提案してくれたハルの顔が、あまりに疲れすぎてたから頷けなかったんだよね。
メロウさんはやり手だってハルは前にも言ってたから、きっと冷静な顔で説明しながらもかなり気を張ってたんだと思うんだ。だって俺には異世界人っていう、この世界でハルと団長しか知らない特大の秘密があるからね。
説明を押し付けてしまったから、せめて無理はして欲しくないなと思ったから依頼は断固拒否したよ。
「説明大変だったでしょ?」
「あー…相手が相手だからね」
「ありがとう」
「どういたしまして」
緊張が解けてきたのか、話してる間にハルの表情もだいぶ普段通りに戻ってきた。ああ良かった、いつものハルの笑顔だ。
「おまたせしました」
店員さんはそう言うと、俺たちの前にメニューらしき紙を差し出してくれた。へぇ、この店はちゃんとメニューがあるんだ。メニューは無くて口頭で説明するとか、壁に書いてあるのから勝手に選べとかが多いんだけどな。
興味津々でメニュー覗き込めば、見た事のない料理名がいくつも並んでいた。
「えーっと…」
名前だけでは何が何だか分からない。ファミレスみたいに写真とかあればまだ予想もできたんだけど、本当に文字だけだ。途方に暮れていた俺の隣で頼りになるハルが口を開いた。
「今日の日替わりは何?」
「今日はビルチェッティとガックラースがメインです」
びるちぇってぃとがっくらーす。何一つ予想が付かないんだけどと固まった俺を、ハルは柔らかい笑顔で見つめた。
「確かアキトは好き嫌い無かったよね」
「うん、無いよ」
「アキトは好きなメニューだと思うから、日替わりにして良い?」
「…っ!それでお願いします!」
我ながら見事な即答だった。俺の好みを知りつくしてるハルがきっと好きだと思うって言うんだから、俺に拒否する理由は無い。
「じゃあ日替わりと果実水を二人前で」
「日替わりと果実水二人前ですねーしばらくお待ちください」
店員さんが去ってしまうと、俺はハルをじっと見つめて尋ねた。
「…ねぇ、ハル、さっきのってどんな料理なの?」
「来てからのお楽しみだよ」
529
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
ブックマーク・評価、宜しくお願いします。
乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について
はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。
難攻不落の異名を持つ乙女ゲーム攻略対象騎士が選んだのは、モブ医者転生者の俺でした。
一火
BL
――聖具は汝に託された。覚醒せよ、選ばれし者
その言葉と共に、俺の前世の記憶が蘇る。
あれ……これもしかして「転生したら乙女ゲームの中でした」ってやつじゃないか?
よりにもよって、モブの町医者に。
「早く治癒魔法を施してくれ」
目の前にいるのは……「ゲームのバグ」とまで呼ばれた、攻略不可能の聖騎士イーサン!?
町医者に転生したものの、魔法の使いをすっかり忘れてしまった俺。
何故か隣にあった現代日本の医療器具を「これだ」と手に取る。
「すみません、今日は魔法が売り切れの為、物理で処置しますねー」
「……は!?」
何を隠そう、俺は前世でも医者だったんだ。物理治療なら任せてくれ。
これが後に、一世一代の大恋愛をする2人の出会いだった。
ひょんな事から、身体を重ねることになったイーサンとアオ。
イーサンにはヒロインと愛する結末があると分かっていながらもアオは、与えられる快楽と彼の人柄に惹かれていく。
「イーサンは僕のものなんだ。モブは在るべき姿に戻れよ」
そして現れる、ゲームの主人公。
――……どうして主人公が男なんだ? 女子高生のはずだろう。
ゲーム内に存在し得ないものが次々と現れる謎現象、そして事件。この世界は、本当にあの乙女ゲームの世界なのだろうか?
……謎が謎を呼ぶ、物語の結末は。
――「義務で抱くのは、もう止めてくれ……」
――結局俺は……どう足掻いてもモブでしかない。
2人の愛は、どうなってしまうのか。
これは不器用な初恋同士と、彼らの愉快な仲間たちが織り成す、いちばん純粋な恋の物語。
転生場所は嫌われ所
あぎ
BL
会社員の千鶴(ちずる)は、今日も今日とて残業で、疲れていた
そんな時、男子高校生が、きらりと光る穴へ吸い込まれたのを見た。
※
※
最近かなり頻繁に起こる、これを皆『ホワイトルーム現象』と読んでいた。
とある解析者が、『ホワイトルーム現象が起きた時、その場にいると私たちの住む現実世界から望む仮想世界へ行くことが出来ます。』と、発表したが、それ以降、ホワイトルーム現象は起きなくなった
※
※
そんな中、千鶴が見たのは何年も前に消息したはずのホワイトルーム現象。可愛らしい男の子が吸い込まれていて。
彼を助けたら、解析者の言う通りの異世界で。
16:00更新
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる