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339.【ハル視点】予想外の提案
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ああ、なるほど。俺とクリスさんがあまりの可愛さに思わず悶えてしまった、ギルドでのあのやりとりか。可愛い可愛いと喜んではしまったけれど、まさか本気であの催しを開催するつもりだったとは。
「あ!そういう意味ですか!」
「依頼の間ならいつでも良いかと思ってたんだけど、野営は今日だけの予定だろう?」
「宿に泊まるなら別室になるからチャンスは今日だけだって、そう言うんです」
クリスさんは横からそう付け足すと、俺の顔色をそっと伺ってきた。
「さすがに自慢話を本人に聞かれるのは恥ずかしいだろ?だから今日二人で見張りすればちょうど良いかなと思ってたんだ」
「うわーそれは楽しそうですね!」
「アキトは乗り気だな」
アキトの嬉しそうな反応を確認してから、カーディさんは俺へと視線を向けた。
いや別に全く文句は無いんだが、恋人自慢なんてそんなの聞きたいに決まっているだろう。俺の事をアキトがどう思っているのかを、知る事ができる貴重な機会だぞ?何とかして聞く事はできないだろうか。
ついついそう考えてしまった俺は、咄嗟に言葉が出なかった。俺の沈黙をどう受け取ったのか、カーディさんは真剣な目をして俺の目をまっすぐに見つめてくる。
「俺も元冒険者だから、野営の見張りは慣れたものだし…誓って、俺はクリス以外にちょっかいを出したりはしない」
「カーディ…」
カーディさんの発言に、クリスさんはとろけるような笑顔を浮かべながら頬を赤く染めている。まああんな誓いをされたら、そんな顔にもなるよな。大事な伴侶が自分以外に興味は無いと言いきったようなものだ。
「それでも嫌か?もしハルがどうしても嫌だって言うなら諦めるが…」
カーディさんとクリスさん、そしてアキトまで一緒になって、まじまじと俺を見つめてくる。
「あーすまない。顔に出てたか」
反対ってわけじゃないんだとぽつりと呟けば、カーディさんは不思議そうに首を傾げた。
「俺が手を出さないか心配なのかと思ったんだが、違うのか?」
「いや、カーディさんとクリスさんがお互いを想い合ってるのは分かってる。だから、そこは全く心配していないよ」
それだけは断言できると言いきれば、カーディさんとクリスさんはふわりと笑った。
「そうか、それは良かった」
「ただ、そんな可愛いやりとりをしているアキトを見れないなんてと思ったら…つい表情に出てしまっていただけだから」
苦笑を浮かべつつそう本音を洩らせば、クリスさんはハッとした顔をしてから即座に同意を返してきた。
「ハルさん、その気持ちすっごく分かります」
そんな可愛い伴侶の姿を見れないなんて。多分そう思ってるんだろうな。顔にはっきりとそう書いてある。
「あ、それならさ、クリス達もやればいいんじゃないか?」
「え?何をやるんですか?」
「伴侶自慢と恋人自慢を」
そのあまりにも予想外な提案に、俺とクリスさんは顔を見合わせたまま固まってしまった。俺達も伴侶自慢と恋人自慢をするなんて、その発想は無かったな。だが考えてみると、それは中々良い案な気がする。
クリスさんにならどれだけ惚気ても、そういう意味でアキトに興味を持たれる事は無いだろう。つまり可愛い所も格好良い所も、思いっきり話す事ができる。
ちらりと視線を向けてみれば、目を輝かせたクリスさんと視線が合った。
「それだ!」
「それです!」
思わず叫んだ俺達を、カーディさんとアキトはびっくり顔で見守っていた。
「では、私はハルさんと一緒に見張りをさせて頂きますね!」
「よろしく頼む」
一人寂しく見張りをするつもりだったが、はからずも楽しい時間になりそうだ。
相談の結果、前半の見張りはカーディさんとアキトが担当する事に決まった。俺とクリスさんの担当は後半だ。
名残惜しくはあったけれど、それでも俺とクリスさんはそれぞれのテントに素直に引っ込んだ。いくら興味があっても、盗み聞きをしてアキトに嫌われたくなんてないからな。おそらくクリスさんも同じ気持ちだろうから、盗み聞きの心配は無いだろう。
寝苦しくない程度に装備を解除すると、俺はすぐに寝袋の中に潜り込んだ。瞼を閉じれば、じわじわと眠気が湧いてくる。
「おやすみ、アキト」
無意識のうちに自然とそんな言葉がこぼれ落ちた。アキトは外にいて、テントの中には俺一人だ。当然だが答えなんて返ってこない。
でも、そんな言葉がさらりと出てしまうぐらい、アキトと一緒にいる事が当然になったんだな。そう思うと笑ってしまった。
幸せだなぁと感じながら、俺は眠気に身をゆだねた。
「あ!そういう意味ですか!」
「依頼の間ならいつでも良いかと思ってたんだけど、野営は今日だけの予定だろう?」
「宿に泊まるなら別室になるからチャンスは今日だけだって、そう言うんです」
クリスさんは横からそう付け足すと、俺の顔色をそっと伺ってきた。
「さすがに自慢話を本人に聞かれるのは恥ずかしいだろ?だから今日二人で見張りすればちょうど良いかなと思ってたんだ」
「うわーそれは楽しそうですね!」
「アキトは乗り気だな」
アキトの嬉しそうな反応を確認してから、カーディさんは俺へと視線を向けた。
いや別に全く文句は無いんだが、恋人自慢なんてそんなの聞きたいに決まっているだろう。俺の事をアキトがどう思っているのかを、知る事ができる貴重な機会だぞ?何とかして聞く事はできないだろうか。
ついついそう考えてしまった俺は、咄嗟に言葉が出なかった。俺の沈黙をどう受け取ったのか、カーディさんは真剣な目をして俺の目をまっすぐに見つめてくる。
「俺も元冒険者だから、野営の見張りは慣れたものだし…誓って、俺はクリス以外にちょっかいを出したりはしない」
「カーディ…」
カーディさんの発言に、クリスさんはとろけるような笑顔を浮かべながら頬を赤く染めている。まああんな誓いをされたら、そんな顔にもなるよな。大事な伴侶が自分以外に興味は無いと言いきったようなものだ。
「それでも嫌か?もしハルがどうしても嫌だって言うなら諦めるが…」
カーディさんとクリスさん、そしてアキトまで一緒になって、まじまじと俺を見つめてくる。
「あーすまない。顔に出てたか」
反対ってわけじゃないんだとぽつりと呟けば、カーディさんは不思議そうに首を傾げた。
「俺が手を出さないか心配なのかと思ったんだが、違うのか?」
「いや、カーディさんとクリスさんがお互いを想い合ってるのは分かってる。だから、そこは全く心配していないよ」
それだけは断言できると言いきれば、カーディさんとクリスさんはふわりと笑った。
「そうか、それは良かった」
「ただ、そんな可愛いやりとりをしているアキトを見れないなんてと思ったら…つい表情に出てしまっていただけだから」
苦笑を浮かべつつそう本音を洩らせば、クリスさんはハッとした顔をしてから即座に同意を返してきた。
「ハルさん、その気持ちすっごく分かります」
そんな可愛い伴侶の姿を見れないなんて。多分そう思ってるんだろうな。顔にはっきりとそう書いてある。
「あ、それならさ、クリス達もやればいいんじゃないか?」
「え?何をやるんですか?」
「伴侶自慢と恋人自慢を」
そのあまりにも予想外な提案に、俺とクリスさんは顔を見合わせたまま固まってしまった。俺達も伴侶自慢と恋人自慢をするなんて、その発想は無かったな。だが考えてみると、それは中々良い案な気がする。
クリスさんにならどれだけ惚気ても、そういう意味でアキトに興味を持たれる事は無いだろう。つまり可愛い所も格好良い所も、思いっきり話す事ができる。
ちらりと視線を向けてみれば、目を輝かせたクリスさんと視線が合った。
「それだ!」
「それです!」
思わず叫んだ俺達を、カーディさんとアキトはびっくり顔で見守っていた。
「では、私はハルさんと一緒に見張りをさせて頂きますね!」
「よろしく頼む」
一人寂しく見張りをするつもりだったが、はからずも楽しい時間になりそうだ。
相談の結果、前半の見張りはカーディさんとアキトが担当する事に決まった。俺とクリスさんの担当は後半だ。
名残惜しくはあったけれど、それでも俺とクリスさんはそれぞれのテントに素直に引っ込んだ。いくら興味があっても、盗み聞きをしてアキトに嫌われたくなんてないからな。おそらくクリスさんも同じ気持ちだろうから、盗み聞きの心配は無いだろう。
寝苦しくない程度に装備を解除すると、俺はすぐに寝袋の中に潜り込んだ。瞼を閉じれば、じわじわと眠気が湧いてくる。
「おやすみ、アキト」
無意識のうちに自然とそんな言葉がこぼれ落ちた。アキトは外にいて、テントの中には俺一人だ。当然だが答えなんて返ってこない。
でも、そんな言葉がさらりと出てしまうぐらい、アキトと一緒にいる事が当然になったんだな。そう思うと笑ってしまった。
幸せだなぁと感じながら、俺は眠気に身をゆだねた。
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