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731.実家からの圧力
ついに領主様と対面するのかとドキドキしながら見つめる俺の視線の先、執事のエルソンさんはそっとドアを開いた。
「どうぞ、お入り下さい」
案内してくれた執事さんは、どうやらここまでで部屋には入らないらしい。入室を促されたハルは、部屋に入る前にちらりと俺の方を見た。大丈夫?と言いたげな視線に、とりあえず大丈夫だとひとつだけ頷きを返す。
ハルの背中を追って部屋に足を踏み入れれば、どこまでも華やかな応接室の奥には領主様が立っていた。
「やあ、ハロルドにアキト君。久しぶりだね」
「領主様、お久しぶりです」
ぺこりと頭を下げたハルの隣で、俺もとりあえず一緒になって頭を下げた。直接返事して良いのかーとかも分からないから一応ね。
一瞬だけ不思議そうな顔をした領主様は、俺の心配に気づいたのかすぐに口を開いた。
「アキト君。この部屋には私とハロルドと君しかいないんだ。気にせずに普段通りに軽い気持ちで喋ってくれて大丈夫だよ?」
その察しの良さに、さすがハルの遠い親戚だなと妙な感心をしてしまった。
そう言ってくれるのはありがたいんだけど、本当に従って良いのかな?
優しい笑みを浮かべた領主様の言葉にちらりとハルに視線を向けてみれば、ハルはそれで良いよと言いたげにすぐに笑顔で頷いてくれた。
「ありがとうございます」
「うんうん。そこでハルに確認を取るって事は今も仲良くやってるようだね」
嬉しそうに笑った領主様は、良かったなハロルドと揶揄うような口調で続けた。
「ええ、そうですね」
「早速だが、ハロルド、アキト君、今回の呼び出しに応じてくれてありがとう」
そう言った領主様の言葉を遮るかのように、ハルは口を開く。
「何かご依頼でもありましたか?」
まるでそう言ってくれと言いたげな質問に、領主様は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「あー…やっぱりハロルドもある程度の想像はついていたんだな…」
「…と言う事は、やっぱり」
そこまで言うと、ハルは困り顔で俺の方に視線を向けた。
「ごめん、アキト。依頼じゃなくて、もうひとつの可能性の方だったよ」
なんだか嫌な予感がするんだよねとかハルが呟いてた方か。例えどんな話しが来ても驚かないぞと身構えた俺に、ハルは苦笑しながら続けた。
「領主様、つまり俺の実家からの圧力がかかったんでしょう?」
え、ハルの実家からの圧力?今そう言った?
「ああ、その通りだ。私も頑張って抑えようとはしたんだが…無理だった。すまないな」
そう言って肩を落とす領主様は、そういえば前にお会いした時と比べると明らかに疲れを隠しきれていないように見える。よくよく観察してみれば、目の下にはうっすらとクマまであるのが分かる。
そのうえ立場のある領主様が非公式な場所とは言え、俺達に向かって頭まで下げるなんてただごとじゃないよね。
「いえ。こうなるかもと思ってはいましたから…」
「アキトくんもすまないね」
「え、いえ…えっと?」
まずハルの実家からの圧力って何かって事を説明してもらわないと、俺も反応に困ってしまう。戸惑う俺に、ハルは苦笑を浮かべた。
「ごめんね、すぐ説明するよ。まずこらちの領主様は、俺の実家からの圧力と戦ってくれていたんだ」
またでて来たね、圧力。
「ああ、すごい勢いだったよ」
「ありがとうございます…?」
よく分からないながらもお礼を言えば、領主様はきっと分かってないだろうなと言いたげな笑みを浮かべた。
「ふふ、どういたしまして」
「ちょっと言い難いんだけどね」
ハルが言い淀むのを聞いて、俺は嫌な想像をしてしまった。ハルの実家からの圧力って、もしかして俺との伴侶候補に反対してるーとかそういう話しなんだろうか。ハルは絶対大丈夫って言ってたけど、やっぱり貴族には相応しくないとか言われる?
「その…俺の実家から、大事な相手とやっと伴侶候補になれたなら、早く辺境領まで二人揃って顔を見せに来いって…呼び出しが来てるんだ」
「え………?」
大事な相手…ってそれ、俺との仲を反対してたら絶対に出てこない言葉だよね。
「…それがハルの言う嫌な予感?」
「うん。久しぶりのトライプールで友人に囲まれて生き生きしてるアキトに、また遠い場所まで行こうなんてどうしても言い難くてね…」
もちろんアキトさえ良ければだから、まだ気持ちの準備が必要だとかがあるなら俺が責任をもって断るよ。そう続けたハルを、俺はきょとんと見つめた。
辺境領まで、ハルのご家族に挨拶をするために二人揃って会いに行く。
「え、うん!俺も挨拶に行きたい!」
そんなの嫌なわけがないとすぐさま同意すれば、領主様とハルは信じられないものを見るようなびっくり顔で俺を見つめてきた。
「どうぞ、お入り下さい」
案内してくれた執事さんは、どうやらここまでで部屋には入らないらしい。入室を促されたハルは、部屋に入る前にちらりと俺の方を見た。大丈夫?と言いたげな視線に、とりあえず大丈夫だとひとつだけ頷きを返す。
ハルの背中を追って部屋に足を踏み入れれば、どこまでも華やかな応接室の奥には領主様が立っていた。
「やあ、ハロルドにアキト君。久しぶりだね」
「領主様、お久しぶりです」
ぺこりと頭を下げたハルの隣で、俺もとりあえず一緒になって頭を下げた。直接返事して良いのかーとかも分からないから一応ね。
一瞬だけ不思議そうな顔をした領主様は、俺の心配に気づいたのかすぐに口を開いた。
「アキト君。この部屋には私とハロルドと君しかいないんだ。気にせずに普段通りに軽い気持ちで喋ってくれて大丈夫だよ?」
その察しの良さに、さすがハルの遠い親戚だなと妙な感心をしてしまった。
そう言ってくれるのはありがたいんだけど、本当に従って良いのかな?
優しい笑みを浮かべた領主様の言葉にちらりとハルに視線を向けてみれば、ハルはそれで良いよと言いたげにすぐに笑顔で頷いてくれた。
「ありがとうございます」
「うんうん。そこでハルに確認を取るって事は今も仲良くやってるようだね」
嬉しそうに笑った領主様は、良かったなハロルドと揶揄うような口調で続けた。
「ええ、そうですね」
「早速だが、ハロルド、アキト君、今回の呼び出しに応じてくれてありがとう」
そう言った領主様の言葉を遮るかのように、ハルは口を開く。
「何かご依頼でもありましたか?」
まるでそう言ってくれと言いたげな質問に、領主様は申し訳なさそうな表情を浮かべた。
「あー…やっぱりハロルドもある程度の想像はついていたんだな…」
「…と言う事は、やっぱり」
そこまで言うと、ハルは困り顔で俺の方に視線を向けた。
「ごめん、アキト。依頼じゃなくて、もうひとつの可能性の方だったよ」
なんだか嫌な予感がするんだよねとかハルが呟いてた方か。例えどんな話しが来ても驚かないぞと身構えた俺に、ハルは苦笑しながら続けた。
「領主様、つまり俺の実家からの圧力がかかったんでしょう?」
え、ハルの実家からの圧力?今そう言った?
「ああ、その通りだ。私も頑張って抑えようとはしたんだが…無理だった。すまないな」
そう言って肩を落とす領主様は、そういえば前にお会いした時と比べると明らかに疲れを隠しきれていないように見える。よくよく観察してみれば、目の下にはうっすらとクマまであるのが分かる。
そのうえ立場のある領主様が非公式な場所とは言え、俺達に向かって頭まで下げるなんてただごとじゃないよね。
「いえ。こうなるかもと思ってはいましたから…」
「アキトくんもすまないね」
「え、いえ…えっと?」
まずハルの実家からの圧力って何かって事を説明してもらわないと、俺も反応に困ってしまう。戸惑う俺に、ハルは苦笑を浮かべた。
「ごめんね、すぐ説明するよ。まずこらちの領主様は、俺の実家からの圧力と戦ってくれていたんだ」
またでて来たね、圧力。
「ああ、すごい勢いだったよ」
「ありがとうございます…?」
よく分からないながらもお礼を言えば、領主様はきっと分かってないだろうなと言いたげな笑みを浮かべた。
「ふふ、どういたしまして」
「ちょっと言い難いんだけどね」
ハルが言い淀むのを聞いて、俺は嫌な想像をしてしまった。ハルの実家からの圧力って、もしかして俺との伴侶候補に反対してるーとかそういう話しなんだろうか。ハルは絶対大丈夫って言ってたけど、やっぱり貴族には相応しくないとか言われる?
「その…俺の実家から、大事な相手とやっと伴侶候補になれたなら、早く辺境領まで二人揃って顔を見せに来いって…呼び出しが来てるんだ」
「え………?」
大事な相手…ってそれ、俺との仲を反対してたら絶対に出てこない言葉だよね。
「…それがハルの言う嫌な予感?」
「うん。久しぶりのトライプールで友人に囲まれて生き生きしてるアキトに、また遠い場所まで行こうなんてどうしても言い難くてね…」
もちろんアキトさえ良ければだから、まだ気持ちの準備が必要だとかがあるなら俺が責任をもって断るよ。そう続けたハルを、俺はきょとんと見つめた。
辺境領まで、ハルのご家族に挨拶をするために二人揃って会いに行く。
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