1,248 / 1,521
1247.手料理は
しおりを挟む
テーブルの上に並んだ料理を、ハルはまじまじと観察している。あまりに真剣な表情に、俺も思わず一緒になって見つめてしまった。
色とりどりの野菜をたっぷり使ったスープは、絶妙な深さのある美しいお皿に入れられている。ちょうど具材が見える深さみたいで、パッと見ただけで食欲をそそる見た目だ。
その横に並んでいるウカを使ったローストビーフのような肉料理は、赤身の部分が見えるようにとすこしずつずらして並べられている。
お肉の横には一緒に食べると美味しい、肉と相性の良い野菜が添えられていて華やかだ。味付けを変えるための果汁やソースなどの調味料も、小さな器に入れられいて細やかな気づかいを感じる。
中でも俺が一番驚いたのは、固めに焼いた二種類のクラッカーだ。クラッカーは四角く切り分けただけだから、どうしても見ためが地味なんだよね。冒険者が採取地で片手で食べていそうなと言えば、ある程度は想像できるかな。
そんな無骨なクラッカーは、美しく飾り切りされた果物や切り分けたチーズ、ジャムなどと一緒に盛り付けられていた。
うん、すごい。これだけでおつまみとしてお店で出せそうな見た目をしてる。しかもかなり高級なおつまみだと思う。
「美味しそうだね」
嬉しそうに笑いながらそう言ったハルに、俺は思わずそうだねと答えてしまった。
だってさ、これ本当に俺が作ったやつ?って聞きたくなるぐらい美しく盛り付けられてるからね。
あ、でもよくよく見ると、肉料理の肉の幅が均一じゃない場所があるな。運、間違いなく俺が作った料理みたいだ。
こんな所で実感したくなかったな。
「まずは座ろうか?」
「そうだね」
向かい合わせで腰を下ろして、俺達は自然と笑みを浮かべた。手に飲み物を持って、どちらからともなく杯を掲げる。
「ハル、改めておかえり。約束通り、無事に帰ってきてくれて良かった」
「改めてただいま、アキト。まさか手料理なんて嬉しい驚きが待ってくれているとは、想像もしてなかったよ」
ふふと笑ったハルに、俺も喜んでくれて良かったと笑い返す。
「「いただきます」」
ぴったりと声を重ねた俺達は、そっと飲み物に口をつけた。
あ、これ…果実水にちょっとだけお酒が混ぜられてる?初めて飲んだけど美味しい。
「これ、美味しい!」
「すこしだけ酒が入ってそうだね」
「うん、酔わない程度だけどね」
「ああ、でもこれは良いな」
すっきりしていて飲みやすいと嬉しそうに笑ったハルは、さてと笑顔で料理に視線を向けた。
「アキトが作ってくれた料理は、どれかな?折角だし今夜はまずはそれから食べたいんだけど…」
そう言いながらハルはまじまじと料理を見つめている。俺が作ったやつがどれかを当てようとしてるような動きだ。
ああ、そっか。手料理としか言ってないから、ここに並んでいるうちのどれかひとつが俺の作ったやつだと思ってるのか。
「このテーブルの上に並んでるのは、全部俺が作ったやつだよ」
なるほど。こうやって説明ができるように、きっとラスさんは俺の料理だけを並べてくれたんだろうな。
そしてラスさんにとっては、あんなに見事な飾り切りの野菜や果物、チーズなどは切るだけだから料理じゃない認定だったんだと思う。
「え…この具だくさんで美味しそうなスープも?」
「うん」
「この歯ごたえがあって美味しそうなクラッカーも?」
「うん」
「この最高に美味しそうな肉料理も?」
美味しそう、美味しそうときて、最高に美味しそうと来るとは思っていなかった俺は、思わず笑ってしまった。
「うん。ちなみにそこの肉料理用のソースも俺が作ったよ」
悪戯心で笑いながらもそう声をかければ、ハルはぽかんと口を開いたままじっとこちらを見てくる。あ、珍しい反応だ。滅多に見れない表情をしている。
それしても、口を開いたまま呆然としてても、こんなに格好良いってどういう事?俺だったら、絶対ちょっと間抜けな感じになると思うんだけど。
「…まさかこれが全部手料理だとは、思っていなかったよ。すごいな。頑張ってくれてありがとう」
しみじみと呟いたハルの言葉に、俺は照れ笑いを浮かべつつ、どういたしましてと何とかそう答えた。
色とりどりの野菜をたっぷり使ったスープは、絶妙な深さのある美しいお皿に入れられている。ちょうど具材が見える深さみたいで、パッと見ただけで食欲をそそる見た目だ。
その横に並んでいるウカを使ったローストビーフのような肉料理は、赤身の部分が見えるようにとすこしずつずらして並べられている。
お肉の横には一緒に食べると美味しい、肉と相性の良い野菜が添えられていて華やかだ。味付けを変えるための果汁やソースなどの調味料も、小さな器に入れられいて細やかな気づかいを感じる。
中でも俺が一番驚いたのは、固めに焼いた二種類のクラッカーだ。クラッカーは四角く切り分けただけだから、どうしても見ためが地味なんだよね。冒険者が採取地で片手で食べていそうなと言えば、ある程度は想像できるかな。
そんな無骨なクラッカーは、美しく飾り切りされた果物や切り分けたチーズ、ジャムなどと一緒に盛り付けられていた。
うん、すごい。これだけでおつまみとしてお店で出せそうな見た目をしてる。しかもかなり高級なおつまみだと思う。
「美味しそうだね」
嬉しそうに笑いながらそう言ったハルに、俺は思わずそうだねと答えてしまった。
だってさ、これ本当に俺が作ったやつ?って聞きたくなるぐらい美しく盛り付けられてるからね。
あ、でもよくよく見ると、肉料理の肉の幅が均一じゃない場所があるな。運、間違いなく俺が作った料理みたいだ。
こんな所で実感したくなかったな。
「まずは座ろうか?」
「そうだね」
向かい合わせで腰を下ろして、俺達は自然と笑みを浮かべた。手に飲み物を持って、どちらからともなく杯を掲げる。
「ハル、改めておかえり。約束通り、無事に帰ってきてくれて良かった」
「改めてただいま、アキト。まさか手料理なんて嬉しい驚きが待ってくれているとは、想像もしてなかったよ」
ふふと笑ったハルに、俺も喜んでくれて良かったと笑い返す。
「「いただきます」」
ぴったりと声を重ねた俺達は、そっと飲み物に口をつけた。
あ、これ…果実水にちょっとだけお酒が混ぜられてる?初めて飲んだけど美味しい。
「これ、美味しい!」
「すこしだけ酒が入ってそうだね」
「うん、酔わない程度だけどね」
「ああ、でもこれは良いな」
すっきりしていて飲みやすいと嬉しそうに笑ったハルは、さてと笑顔で料理に視線を向けた。
「アキトが作ってくれた料理は、どれかな?折角だし今夜はまずはそれから食べたいんだけど…」
そう言いながらハルはまじまじと料理を見つめている。俺が作ったやつがどれかを当てようとしてるような動きだ。
ああ、そっか。手料理としか言ってないから、ここに並んでいるうちのどれかひとつが俺の作ったやつだと思ってるのか。
「このテーブルの上に並んでるのは、全部俺が作ったやつだよ」
なるほど。こうやって説明ができるように、きっとラスさんは俺の料理だけを並べてくれたんだろうな。
そしてラスさんにとっては、あんなに見事な飾り切りの野菜や果物、チーズなどは切るだけだから料理じゃない認定だったんだと思う。
「え…この具だくさんで美味しそうなスープも?」
「うん」
「この歯ごたえがあって美味しそうなクラッカーも?」
「うん」
「この最高に美味しそうな肉料理も?」
美味しそう、美味しそうときて、最高に美味しそうと来るとは思っていなかった俺は、思わず笑ってしまった。
「うん。ちなみにそこの肉料理用のソースも俺が作ったよ」
悪戯心で笑いながらもそう声をかければ、ハルはぽかんと口を開いたままじっとこちらを見てくる。あ、珍しい反応だ。滅多に見れない表情をしている。
それしても、口を開いたまま呆然としてても、こんなに格好良いってどういう事?俺だったら、絶対ちょっと間抜けな感じになると思うんだけど。
「…まさかこれが全部手料理だとは、思っていなかったよ。すごいな。頑張ってくれてありがとう」
しみじみと呟いたハルの言葉に、俺は照れ笑いを浮かべつつ、どういたしましてと何とかそう答えた。
547
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで
ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。
だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。
「私は観る側。恋はヒロインのもの」
そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。
筋肉とビンタと回復の日々。
それなのに――
「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」
野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。
彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。
幼馴染ヴィルの揺れる視線。
家族の温かな歓迎。
辺境伯領と学園という“日常の戦場”。
「……好き」
「これは恋だ。もう、モブではいたくない」
守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、
現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。
これは――
モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。
※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。
※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。
※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
転生幼子は生きのびたい
えぞぎんぎつね
ファンタジー
大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。
だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。
神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。
たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。
一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。
※ネオページ、カクヨムにも掲載しています
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
【完結】「婚約を破棄する!」から始まる話は大抵名作だと聞いたので書いてみたら現実に婚約破棄されたんだが
ivy
BL
俺の名前はユビイ・ウォーク
王弟殿下の許嫁として城に住む伯爵家の次男だ。
余談だが趣味で小説を書いている。
そんな俺に友人のセインが「皇太子的な人があざとい美人を片手で抱き寄せながら主人公を指差してお前との婚約は解消だ!から始まる小説は大抵面白い」と言うものだから書き始めて見たらなんとそれが現実になって婚約破棄されたんだが?
全8話完結
僕の、しあわせ辺境暮らし
* ゆるゆ
BL
雪のなか3歳の僕を、ひろってくれたのは、やさしい16歳の男の子でした。
ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります!
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
黒獅子の愛でる花
なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。
中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。
深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。
サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。
しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。
毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。
そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。
王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。
王妃は現在、病で療養中だという。
幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。
サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる