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第3章 破滅への足音

48、シャルロッテとアーベル

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「え?婚約ですの?お姉様とシダールの王子が?」

シャルロッテが休憩のためクローディアとお茶を飲んでいる時にクローディアは現状を伝えたのだった。

「ええ、そうなのよ。色々あって今は(仮)だけど。」

「そ、そんな、お姉様のお相手はあんな冷徹王子ではいけませんわ!!」

「冷徹王子?」

「まあまあまぁまぁ、お姉様はご存知でいらっしゃらないのですか?」

「??何を?」

「シダールのビクトル王子といえば冷徹王子として有名ではありませんか?」

「そうなの?」

シャルロッテは身を乗り出して話し出す。

ビクトル王子は仕事関係でしたら人当たりも良く優秀なのですが、お見合いとなると途端に冷たくなると有名ですわ!わたくし、実際にお見合いした方から聞いたんですの!パーティーでお話した時は親切で話題も豊富、エスコートも完璧な上、大国シダールの王子という事でかなり気合いを入れてお見合いに望んだらしいのです。」

「それで?」

「それがお見合いで会うと横柄でエスコートも無し、一言も話さずにあっという間に終わってしまったんですのよ!」

「まぁ、、。」

「しかも、その後に別の男性を紹介してきたんですって!!失礼すぎますわ!!」

「え!そんなことが、、、。」

「そうです!!そんな失礼極まりない男がお姉様と婚約するなんて!!わたくし許せませんわ!!」

「そう言ってもらえるのは嬉しいわ。でも、わたくしはどうしてその様な行動をされたのかをしっているの。」

「え?理由があるんですの?」

「ええ、そうなのよ。でも、、。」

そう言ってクローディアはふふふっと笑うと口元を持っていた扇子で隠した。

「シャルロッテ様には教えられないわ。」

クローディアがウインクするとシャルロッテは顔を見て真っ赤にして口を尖らせた。

「お姉様!!酷いですわ!」

「そうねぇ。ビクトル王子とアーベルを観察して御覧なさい?」

キョトンとしたシャルロッテを見てクローディアはにっこりと笑った。



シャルロッテはクローディアとのお茶会以降暇さえあればビクトル王子とその側近を見つめていた。

「うーん。わたくしにはわからないわ、、。何があるのかしら?」

「確かに信頼し合っている様には見えるわね。でも、どちらかというとビクトル王子の視線はお姉様に向かっていますわ!」

シャルロッテが見ていると必ずビクトル王子はクローディアを探すとジッと見ている事が多いのだ。その視線は強く、何故クローディアが気づかないのか不思議な程だ。
更にシャルロッテが聞いたような冷たい態度はクローディアには取っていない事もわかった。それどころかクローディアと話した後はビクトル王子が顔を赤くしている事も多かった。

「ビクトル王子はお姉様にぞっこんじゃないの!!」

シャルロッテが観察した結論はそうなったのだった。

「シャルロッテ様。」

今日もビクトル王子を観察していると突然後ろから声をかけられた。慌てて振り向くと今見ていたはずのビクトル王子の側近がニコニコ笑って立っていた。

「あ、貴方!今あそこにいませんでしたの!」

「驚かせて申し訳ございません。私はシダール王国第三王子ビクトル殿下に使えております。アーベルと申します。」

「え、ええ。」

「シャルロッテ様がビクトル殿下を観察なさっている事はかなり前から承知しておりました。」

「そ、そうなの?」

「はい、但しまだビクトル殿下には報告しておりません。」

「なんでかしら?」

「それがですね、、。少しシャルロッテ様にご協力頂きたい事がございまして、、。」

「協力?」

「はい。」

アーベルはそういうとクローディアの誤解についてを説明した。

「まぁ、ビクトル王子とあなたが?流石お姉様ね!そんな誤解を!!」

「シャルロッテ様には誤解とお分かりになりますか?」

「それはそうよ。伊達に観察していないわ。ビクトル王子はお姉様がお好きなのでしょう?」

「はい!最近ではそれ以上に尊敬や敬愛という感情も高まっておりますが基礎となっているのは恋愛感情に違いありません。」

「そうよね。見ていればすぐにわかるわ!」

「そこで、シャルロッテ様にはクローディア様の誤解を解くお手伝いをして頂けないかとお願いしに参りました。」

「でも、どうやって?」

すると、アーベルがシャルロッテの耳元に口を近づけると何やら話してから顔を上げた。

「いかがでしょうか?」

シャルロッテは少し考えたが、頷くとアーベルの手を取った。

「わかりましたわ。これからは協力者ね。」

そう言ってアーベルに笑いかけたのだった。
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