悪役令嬢のお母様……でしたの

波湖 真

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第四章 学校生活

38、作戦成功したようです!(コーデリア視点)

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コーデリアが目覚めるとすぐ脇からシモン王子の声が聞こえてきた。
「コーデリア!! 目が覚めたか?」
「こ、ここは?」
わたしは見知らぬ天井が目に入り、先ずは確認する事にした。
「ここは医務室だよ」
「医務室……。私は倒れたのですか?」
「ああ、それで僕が連れてきたんだ」
私はまたシモン王子の手を煩わせてしまったのね。
「お、お手数をおかけいたしました」
「それより、何処か具合が悪いところはあるか?」
シモン王子は嫌いなはずの私の安否まで確認してくれるなんて優しいのね。
「大丈夫です。もう一人で平気ですから、シモン王子は無理にお付き合い頂かなくても結構です」
その時、私は思い出した!
私はシモン王子に、嫌われても婚約を維持できるように頑張るんだわ!!
「えっと、やっぱり、こ、ここにいてくださる?」
少し腰を浮かせていたシモン王子は何故か安堵したような表情で再び腰を下ろした。
私は嫌われても婚約を維持する。
でも、シモン王子を引き止めてみたものの何を話せばいいのかがわからない。
微妙な沈黙がその場を支配してしまった。
「あ、あの……」
「えっとだな……」
すると今度は二人で同時に話し出す始末だ。
「シモン王子からどうぞ」
「いや、コーデリアからでいい」
そうしてまた沈黙が始まる。
そんな事を暫く続けているとドアがバンと開かれた。
「コーデリア!!! お前はなんという事をしたのだ!!」
アルバート兄様の乱入で気まずい沈黙は破られたが、新たな火種がやってきたように感じた。
「あら? お兄様どうなさったの?」
「どうなさったのじゃないだろう! お前は平民の少女に対して厳しい事を言ったらしいな! お前だって知っているだろうが! 貴族況してや高位貴族の我が公爵家の者が貴族どころか平民のいう事を寛大に受け取らぬとは……。情けない!!」
アルバート兄様はそう言ってシモン王子に向かって話し始めた。
「シモン王子もコーデリアに甘すぎます。これはコーデリアが完璧に悪い。いくら自分で制御できない癇癪であったとしても許されることではないのです。こここは婚約者としてシモン王子もしっかりと注意すべきです。そうしなければ、これからコーデリアは孤立しますし、コーデリアを、庇ったシモン王子でさえも周りから距離を取られますよ」
アルバート兄様の剣幕にシモン王子の目が大きく見開かれた。
確かに兄様の言っている事は正しい。
私はまた、失敗したのだ。
自分ためではなく、家族のために、行動すれば強制力は働かないと思ったのに……。
私はアルバート兄様に言われて、やっと今日の自分の行動が如何に不味かったのかを理解したのだった。
「兎に角、私はこれからその平民の女子生徒に謝罪してくる。コーデリアは反省するんだ! いいな!」
「……は、はい。アルバート兄様」
「シモン王子も甘やかさないで下さい」
「あ、ああ」
アルバート兄様は直ぐにバタバタと医務室を出て行ってしまった。
「シモン王子、今日は本当にありがとうございました。シモン王子に連れ出して貰わなかったら大変な事になっていました」
私は改めてシモン王子にお礼を伝えた。
確かにシモン王子が連れ出してくれなかったらもっとひどい事をいっていたと思うのだ。
するとシモン王子は少し考え込んでいるように見えた。
「シモン王子?」
「あ、ああ、そうだな。コーデリアはあまり世間に慣れていないし、また、このような事があると大変だ。今思いついたのだが、僕はコーデリアを近くから監視するようにする事に決めたよ」
「か、監視ですか?」
「そうだ。コーデリアは僕の婚約者なのだから、失礼はないようにしなくてはならない。わかるね?」
「は、はぁ……」

そんな会話をしてから一年が経過しました。
あの日からシモン王子は本当に私にベッタリと張り付いて私が非常識な行動を取らないように見張っています。
たまに、息が詰まりますが、仕方がありません。
そのおかげで、私がシモン王子とミアの邪魔する事はなくなりました。
邪魔する程、シモン王子は、一人にはならないし、ミアが話しかけようとしても、婚約者に常識を教えているといって断っているらしい。
そうなのです。
何もせずして、シモン王子とミアを引き離す事には成功したようです。
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