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第八章 不穏な繋がり
77、まずはひとり、、、なの?
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大きな声で呼んで一番奥の部屋から出てきたのはアルバートでした。
「アルバート!! 大丈夫ですの?」
わたくしはアルバートに駆け寄るとその体の怪我を確認いたします。
手首に多少の擦り傷はありますが、元気そうな姿にふぅと安堵の息を吐きました。
「あら? コーデリアは?」
わたくしはたった一人でいるアルバートの後ろを確認しながら尋ねる。
「えっと、連れて行かれました」
「え?」
ガチャン
思いがけない言葉と同時に後ろでシモン王子が剣を落とした音がいたします。
「ど、どうしてなのかしら?」
わたくしが思っていたアルバートならば負けるはずもないという安心感がガラガラと崩れ去る音を聞きましたわ。
「クラーシンス辺境伯がいたのです」
アルバートの言葉がズンと胸に響きます。
やっぱり前王原理主義者の仕業だったのね。
わたくしはもう一度アルバートを見つめます。
「辺境伯にはバルタークの力は見せない方がいいと判断しました」
「そうね。その通りだわ」
現王原理主義者がわたくし達の力を見て、わたくしたち自体を崇められては堪らない。お父様に纏わりついているだけでも厄介ですのに、こんなストーカーはごめんですわ! 折角密かに過ごしていますのに。
それでも聞かずにはいられません。
「もちろん、何もせずにコーデリアを、行かせたわけではないですわよね?」
「はい。シールドと追跡魔法を施しております」
アルバートの言葉にわたくしは深く頷いた。
ふと、余りにシモン王子が大人しいので振り返ると剣を取り落としたまま、未だに魂が抜けたようになっております。
わたくしはシモン王子に近づくと背中をポンを叩いてあげました。
「シモン王子、大丈夫ですわ」
やっと正気に帰った王子は落とした剣を拾い上げると腰に戻す。
「アルバート! それでコーデリアはどこにいるのだ!」
焦るシモン王子を見てわたくしはアルバートと顔を見合わせます。
そして、二人でうんと頷きました。
ここに完璧なスケープゴートがいますもの。シモン王子に事件を解決して頂きましょう!!
「アルバート」
わたくしが呼びかけると全てわかっているという程でアルバートがシモン王子に近づきました。
「殿下、失礼します」
そう言ってアルバートはシモン王子のカツラをヒョイっと取り上げる。
「な! やめるのだ。アルバート」
「殿下はコーデリアを助けたくはないのですか?」
アルバートの言葉にカツラを取り戻そうと手を伸ばしていたシモン王子が止まります。
「どういうことだ?」
「母上、お話いただけますか?」
わたくしははぁと息を吐くと今思いついた作戦をシモン王子に話すことにいたしました。
「シモン王子、これから王子としてここにいて頂きますわ」
「アリアドネおば様、一体どういうことですか? コーデリアのことは!」
「シモン王子もご存知のように我がバルターク公爵家は表立って動くことはできませんの。現時点でも公爵家内の内輪揉めという程でこちらにおりますわ」
「はい、ですから僕はカツラを……」
「ええ、今まではそれがよかったのですわ。でも、コーデリアがクラーシンス伯爵に連れて行かれたというのでしたら話は別です。公爵家内で収めることは出来ません。伯爵本人が居なければ如何様にもできるのですが……」
「そうですね。辺境伯が直接関わっていると何が問題なのですか?」
「シモン王子もご存知の通り、辺境伯は前王原理主義者ですわ。もし、わたくし達が王家に伝わる古代魔法を受け継いでいると知ってしまうととても危険ですの」
「…‥王家の正当性でしょうか?」
シモン王子の的を射る発言に頷きました。
「はい。もし辺境伯がわたくし達を正当な王家の継承者だと認識してしまうと厄介ですもの。出来ればわたくし達は大人しくしていた方がいいと思いますわ」
「では、コーデリアはどうすればよろしいのでしょう」
「アルバートの古代魔法でコーデリアには危害を加えることは出来ません。ですからシモン王子に頑張っていただこうと思いますのよ」
わたくしの言葉にシモン王子は首をかしげました。
「どういうことでしょう?」
「ここからは婚約者を救いに来た現王家の正当なる後継者としてのシモン王子に表に立っていただきたいのです」
わたくしはアルバートに視線を送る。
「殿下、私は殿下の影に隠れながら殿下をサポート致します」
そう言ってアルバートは胸に手を当てて腰を折ります。
「わたくしはシモン王子の後ろから魔法を放ちますわ」
シモン王子はわたくしとアルバートの顔を見つめると額を手で抑えます。
「では、ここからは僕一人がコーデリアを救いに来たとするということですか?」
「ええ」
「私共のことは救出の途中で助けて連れ歩いているというのはどうでしょう?」
「いいわね。それなら王子の背後に隠れていてもおかしくありませんもの」
わたくしが手を叩いて賛成するとアルバートもニッコリと微笑む。
シモン王子はわたくしたちの会話を冷めた目で見ていましたが、ふぅっと息を吐いてから踵を返す。
「‥‥コーデリアのためです。わかりました。直ぐに向かいましょう」
わたくしたちはシモン王子の背後に周り、地下から脱出致しました。
「アルバート!! 大丈夫ですの?」
わたくしはアルバートに駆け寄るとその体の怪我を確認いたします。
手首に多少の擦り傷はありますが、元気そうな姿にふぅと安堵の息を吐きました。
「あら? コーデリアは?」
わたくしはたった一人でいるアルバートの後ろを確認しながら尋ねる。
「えっと、連れて行かれました」
「え?」
ガチャン
思いがけない言葉と同時に後ろでシモン王子が剣を落とした音がいたします。
「ど、どうしてなのかしら?」
わたくしが思っていたアルバートならば負けるはずもないという安心感がガラガラと崩れ去る音を聞きましたわ。
「クラーシンス辺境伯がいたのです」
アルバートの言葉がズンと胸に響きます。
やっぱり前王原理主義者の仕業だったのね。
わたくしはもう一度アルバートを見つめます。
「辺境伯にはバルタークの力は見せない方がいいと判断しました」
「そうね。その通りだわ」
現王原理主義者がわたくし達の力を見て、わたくしたち自体を崇められては堪らない。お父様に纏わりついているだけでも厄介ですのに、こんなストーカーはごめんですわ! 折角密かに過ごしていますのに。
それでも聞かずにはいられません。
「もちろん、何もせずにコーデリアを、行かせたわけではないですわよね?」
「はい。シールドと追跡魔法を施しております」
アルバートの言葉にわたくしは深く頷いた。
ふと、余りにシモン王子が大人しいので振り返ると剣を取り落としたまま、未だに魂が抜けたようになっております。
わたくしはシモン王子に近づくと背中をポンを叩いてあげました。
「シモン王子、大丈夫ですわ」
やっと正気に帰った王子は落とした剣を拾い上げると腰に戻す。
「アルバート! それでコーデリアはどこにいるのだ!」
焦るシモン王子を見てわたくしはアルバートと顔を見合わせます。
そして、二人でうんと頷きました。
ここに完璧なスケープゴートがいますもの。シモン王子に事件を解決して頂きましょう!!
「アルバート」
わたくしが呼びかけると全てわかっているという程でアルバートがシモン王子に近づきました。
「殿下、失礼します」
そう言ってアルバートはシモン王子のカツラをヒョイっと取り上げる。
「な! やめるのだ。アルバート」
「殿下はコーデリアを助けたくはないのですか?」
アルバートの言葉にカツラを取り戻そうと手を伸ばしていたシモン王子が止まります。
「どういうことだ?」
「母上、お話いただけますか?」
わたくしははぁと息を吐くと今思いついた作戦をシモン王子に話すことにいたしました。
「シモン王子、これから王子としてここにいて頂きますわ」
「アリアドネおば様、一体どういうことですか? コーデリアのことは!」
「シモン王子もご存知のように我がバルターク公爵家は表立って動くことはできませんの。現時点でも公爵家内の内輪揉めという程でこちらにおりますわ」
「はい、ですから僕はカツラを……」
「ええ、今まではそれがよかったのですわ。でも、コーデリアがクラーシンス伯爵に連れて行かれたというのでしたら話は別です。公爵家内で収めることは出来ません。伯爵本人が居なければ如何様にもできるのですが……」
「そうですね。辺境伯が直接関わっていると何が問題なのですか?」
「シモン王子もご存知の通り、辺境伯は前王原理主義者ですわ。もし、わたくし達が王家に伝わる古代魔法を受け継いでいると知ってしまうととても危険ですの」
「…‥王家の正当性でしょうか?」
シモン王子の的を射る発言に頷きました。
「はい。もし辺境伯がわたくし達を正当な王家の継承者だと認識してしまうと厄介ですもの。出来ればわたくし達は大人しくしていた方がいいと思いますわ」
「では、コーデリアはどうすればよろしいのでしょう」
「アルバートの古代魔法でコーデリアには危害を加えることは出来ません。ですからシモン王子に頑張っていただこうと思いますのよ」
わたくしの言葉にシモン王子は首をかしげました。
「どういうことでしょう?」
「ここからは婚約者を救いに来た現王家の正当なる後継者としてのシモン王子に表に立っていただきたいのです」
わたくしはアルバートに視線を送る。
「殿下、私は殿下の影に隠れながら殿下をサポート致します」
そう言ってアルバートは胸に手を当てて腰を折ります。
「わたくしはシモン王子の後ろから魔法を放ちますわ」
シモン王子はわたくしとアルバートの顔を見つめると額を手で抑えます。
「では、ここからは僕一人がコーデリアを救いに来たとするということですか?」
「ええ」
「私共のことは救出の途中で助けて連れ歩いているというのはどうでしょう?」
「いいわね。それなら王子の背後に隠れていてもおかしくありませんもの」
わたくしが手を叩いて賛成するとアルバートもニッコリと微笑む。
シモン王子はわたくしたちの会話を冷めた目で見ていましたが、ふぅっと息を吐いてから踵を返す。
「‥‥コーデリアのためです。わかりました。直ぐに向かいましょう」
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