対人恐怖症の私に恋は出来ますか?

波湖 真

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10、アプローチ

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海斗と由梨はその後持参した弁当を二人で仲良く食べて海斗が早速友人を作ったと話すと由梨はとても喜んだ。由梨は自分にばかりかまけて海斗の折角の高校生活がつまらないものになるのを心底心配していたのだ。
今度そのお友達を紹介してもらいたいと伝えると海斗は中々頷かない。海斗としては由梨にちょっかいかけられるのが嫌なだけなのだが由梨はこんな自分を姉だと紹介するのが嫌なんだなと誤解していた。由梨自身もスイスでは子供っぽく見られてとてもじゃないが恋愛対象にされたことがなかったのでまさか自分が異性から関心を持たれているとは考えなかったのだった。
海斗は由梨が誤解しているとは感じつつ今はまだ恋愛は早すぎると誤解はそのままに午後の授業の為由梨と別れて生徒会準備室を退出した。

海斗は由梨との約束通り生徒会室によろうかとも思ったが健から優司の思惑を聞いた後だと由梨の態度は誤解させたまま謝らなくてもいいかとそのまま教室に向かったのだった。

優司は隣の準備室から漏れ聞こえる楽しそうな会話や笑い声を聞いて、由梨の心を開くのは前途多難だなと感じていた。
その後海斗が退出し、一旦この部屋の前で立ち止まったようだが、ノックはせずに立ち去ったのを感じ、きっと健が何か話したんだなと理解した。まぁ近いうちバレるだろうし、それなら自分を比較的知っている健から色々バレた方いいだろうと思っていたのでしょうがないかと立ち去る海斗の足跡を聞いていた。

トントン

海斗が教室に戻ってしまうと直ぐにドアをノックする音が生徒会準備室に響いた。
由梨は寛いでいた表情を無くして体を固くした。

「由梨ちゃん、大丈夫かい?」

その声は今海斗と話していた優司のもので由梨は慌てて返事を返す。

「え、、あ、、、だ、大丈夫です。」

なんとか聞こえるくらいの声で返すと更に言葉が返ってくる。

「さっきは驚かせてごめんね。由梨ちゃんの話は聞いていたのに、、、。怖かったら出てこなくても良いからね。このままドア越しに話しても大丈夫かな?」

「はい、、。」

「由梨ちゃんの感じたままを教えてもらいたいんだけど、顔を見なければ話は平気なのかな?それとも話すのも怖いかい?」

「いいえ、、、。話すだけなら大丈夫です、、、。私こそ酷い態度を取ってしまったのに、、、秋里様は呆れられたのではないですか?」

「そんなこと絶対にないよ。正直少しビックリしたけど、可愛い女の子からああいう風に言われるのもたまには楽しいね。僕は大丈夫だから本当に気にしないんだよ?アレはきっと由梨ちゃんの自己防衛なんだから由梨ちゃんが否定しちゃうと自分で自分を守れないからね。ぼくも偶には良い刺激で嬉しいくらいさ」

「そ、そんな、、、。わたし、、、秋里様に嫌われてしまったのかと、、、。折角出来たお友達な、の、にと。ありがとうございます。」

由梨の少し泣きそうな声を聞くと胸が騒いで抱きしめたくなるがここは我慢だなと一呼吸しれる。

「由梨ちゃん、海斗くんとまではいかないけれど、少しでも君と話してみたいんだ。僕が嫌じゃなければいつでも連絡して欲しい。」

そういうと優司はドアの隙間から自分の携帯番号とメールアドレスを書いた紙を差し込んだ。すると躊躇いがちにその紙が引っ張られドアの隙間を通っていった。

「ありがとう。まだ会ったばかりだけど、由梨ちゃんの事を本当に色々知りたいし話したいと思っているんだ。待ってるからね。」

そういって優司はドアから離れて隣に帰っていった。

由梨は今手握っている小さな紙をしっかりと握りしめてプルプルと震えていた。

「メールアドレス、、、これが、、メアド、、、、。」

携帯はまだ持っていないがパソコンやタブレットは家でも使っているのでスイスに住む祖父母とは頻繁にメールでやり取りていた。
但し友人と呼ばれる人間はいなかったので由梨が手にした初めての他人のメアドに瞳を輝かせていた。
家に帰ったら早速お父様に携帯を買って頂こうと心に決めた由梨はその小さな紙を大切に鞄にしまった。

由梨に連絡先を渡すことに成功した優司はニヤニヤしながら席に着いた。

やったな。まずは友達からだけど友達さえいなければ既に家族の次に身近な関係と言っても良いだろう。これで連絡が来れば良いんだけど、携帯持ってなさそうだよな。携帯を渡せは良かったか?

優司が連絡が来るのは大分先だなと結論付けたが受け取ってくれたことはかなり前進だと楽観的に捉えていた。

海斗は帰宅した後私室で首を傾げていた。
あまりに由梨の機嫌が良いのだ。昼休みには初めこそ落ち込んでいたが特に何かあったようにも思えないのに帰りに迎えに行ってから車の中でもずっと機嫌良さそうにしているのだ。しかも自分に内緒で!
今まで海斗が由梨に秘密にしたことはあっても由梨から秘密を持たれたことが無かっただけに地味にショックだった。
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