音の魔術師 ――唯一無二のユニーク魔術で、異世界成り上がり無双――

ふぁいぶ

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第四十一話 ダンジョン手前で作戦会議!

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 今回行くダンジョンは、王都から歩いて三十分程度の距離にあるらしい。
 確かに王都から距離が近いから、そりゃ国軍が間引きしないと王都どころか近隣の村や町にも被害が出てしまう。
 今国軍が一番間引きに力を入れているダンジョンだそうだ。
 俺達のターゲットであるバイトスパイダーは、ダンジョンであればほぼ確実に沸いて出てくる魔物らしい。
 なら、近場のダンジョンで討伐し、糸を採取しようとオーグが考えたようだった。

「後は、間引きを行った直後は、ダンジョン入り口を警備している衛兵に1000ジル支払えば挑む事が出来るようになっているんだ」

 移動している中、黒縁眼鏡の位置を指で持ち上げながらダンジョンについて教えてくれるレイス。
 まぁ間引きしていれば危険度はかなり低くなるから、挑戦をオッケーにしてるんだろうかね。

「ちなみに年齢は八歳以上であれば誰でも挑める仕組みだ。間引きしているとお宝も何もないから、戦闘訓練で使っている人達が多いよ」

「なるほどね。ま、当然自己責任の範疇でって事だよな?」

「そうだね。もし魔物に殺されちゃっても、自分の責任だね」

 とりあえず、危険度は相当低いってのはわかった。
 でもなぁ、相手は魔物だ。
 俺は、正直言って人間より魔物の方が怖い。
 だって、奴等は厳しい自然の中で生き抜いている生物だ。
 当然生に関する執着心は、俺達人間より遥かに上だ。
 だから、どんなに弱い魔物でも油断は絶対に出来ない。
 他にも理由があるんだけど、そこは追々って事で。

「そういえば、宝もあるみたいな事言ってたけど、あるのか?」

 俺は素朴な疑問を皆にぶつけてみた。
 ダンジョンって言ったら宝物掘りだろう!
 こいつらの会話の節々でお宝を匂わせる単語が出てきたから、大分気になっていた訳で。
 俺の疑問に答えてくれたのは、レオンだった。

「あるある~♪ 魔物には光り物が好きな奴もいるし、殺した挑戦者の武器を奪って自分で使う奴もいるんだ。そいつらを倒せば、金銀財宝独り占め♪」

 鼻唄混じりでへらへらと答える。相変わらずちゃらい。
 しかし宝物、あるんだな!
 やべ、ワクワクしてきた!

「でも、間引きをしたら国軍が全部徴収しちゃうから、今日の場所ではお宝は期待出来ないかもね」

 レオンの答えに補足を加えるミリア。その表情はちょっとふくめっ面だ。
 そっか、それは残念だ……。
 男の子が必ず夢見る、ダンジョンで金銀財宝に遭遇するっていうやつ、体験したかった。
 まぁこの世の中はそんな優しくないから、難しいだろうけど。

 ダンジョンの事をあらかた聞けた俺は、目的地に着くまで音楽について語り合った。
 オーグは実家に半ば強制的に入学させられただけだから、あまり話には食い付いて来なかったが、開発途中のピアノの話になったら饒舌になった。
 ミリアは歌手を目指しているようで、将来は一流歌手だけが開ける、王城の庭園でのコンサートをやれる位の歌手になりたいそうだ。
 レイスは、アーバインに憧れて入学したらしい。一目アーバインを見て、さらに音楽に熱を入れるようになっている。
 特に今は目標はないけど、何かしらの形で音楽業界に関わりたいのだとか。
 レオンは、女の子の黄色い声援を一身に受けたいらしい。
 ふっふっふ、安心したまえ。その道筋を俺が必ず、将来絶対作ってやる!

 そしてダンジョン到着目前で、レオンがお礼質問をしてきた。

「そういえばハル。確か彼女いるって言ってたよな? どんな子?」

「そうだな、めっちゃ可愛くてめっちゃ美人!」

「そ、そうか……。可愛くて美人……? 何かよくイメージ出来ないな」

 そりゃそうだ。
 二人いるんだもん。
 めっちゃ可愛いリリルに、めっちゃ美人なレイがな!

「ねぇねぇハルっち! 私とその子、どっちが可愛い?」

「うちの彼女、一択!」

「即答だし! 傷付くし!!」

 ミリアはやっぱり自分の容姿に自信があるようだ。
 確かに可愛い、ロリっ子だ。
 しかしだなぁ、惚れた弱味があるかもしれないが、リリルの方が断然可愛い!
 そりゃ即答するに決まってるでしょ。
 勝負は、ミリアが言葉を発する前から決まっているのだよ!

「でもそんなにハルがベタ惚れな女の子かぁ。オレとしてはすごく興味ある」

「おいレオン、口説こうとしてるだろ」

「やっぱ、ダメ?」

「いいよ、別に。頭と胴体が離ればなれになってもいいのならな!」

「……遠慮するわ」

 うん、レオンにはリリルとレイを引き合わせないようにしよう。
 絶対にナンパするぞ!

「おっ、皆! ダンジョン見えたよ!!」

 先導していたミリアが、嬉しそうに言ってきた。
 ……おう、何と言うか、RPG風のダンジョンだった。
 俺達がいるのはだだっ広い草原で、その中心に不自然に隆起した小さな丘がある。
 その丘の根本に、入り口の穴が空いている。
 うん、昔のRPGゲームのワールドマップみたいに、不自然にダンジョンのアイコンがあるような、そんな感じ。
 本当に不自然すぎて笑える!
 そして入り口には、暇なのかあくびをして立っている衛兵さんがいた。
 何か、思ったより衛兵さんが暇しているから、きっとダンジョンも平和なんだろうなって思えてきた。

「ふあぁぁぁぁ……。ん? あれ、君達。もしかしてダンジョンに挑戦するのか?」

 衛兵さんが俺達に気付いて、声を掛けてきた。
 一応俺がリーダーになったから、俺が衛兵さんに答える。

「ああ。ちょっとバイトスパイダーの糸が欲しくてさ。今商人ギルドや冒険者に頼むとすっげぇ高いからさ!」

「確かにそうだね。今素材収集依頼の需要が増えてるから、依頼価格も高騰してるんだよね」

 へぇ、そうなんだ。
 オレは早々に話を切り上げ、衛兵さんに1000ジル支払った。他の皆も同様に支払った。

「はい、確かに受け取ったよ。もし怪我をしたり万が一な事があっても、国は責任取れないからね。無理だと思ったら絶対に引き返すんだよ?」

「そのつもり。ありがとよ、衛兵さん」

 俺達はダンジョンの入り口目の前で、最後の確認をした。

「じゃあ今から隊列の確認をするぞ! 俺が最前列で次にレオン。後衛でミリアはオーグの前、レイスはオーグの後ろで後方確認も行ってくれ」

「何でハルっちが最前列なの? 明かりが使えるオーグっちが最前列の方がよくない?」

 俺が考えた隊列編成に関して、ミリアが首を小さく傾げて質問してくる。
 いちいち仕草が可愛いぞ、こいつ。

「まずオーグは戦闘に関してはからっきしダメだから、最前列に置けない。後、皆には話していなかったが、俺は魔法を使える」

「「「えっ?」」」

 オーグ以外は驚いている。
 そうだな、皆の前で魔法を披露した事もなければ、魔法が使えるとも言った事はない。
 別に隠していた訳じゃないんだけど、まぁ使う必要があまりなかっただけなんだよな。
 とりあえず、ダンジョンでは油断は禁物だから、少しでも俺の魔法の情報も共有しておこうと思った訳。

「俺の魔法はユニーク魔法で、属性は音。あらゆる音を操れるし、どんな音も拾う事が出来る」

「……つまり、ハルっちが最前列でその魔法を使って、先の音を拾って安全を確認するって事?」

「おっ、ミリアは意外と頭いいじゃん!」

「意外って何よ、意外って!!」

 ミリアが頬を膨らませて怒っている。
 リスが怒っている感じだから、全然怖くないな。

「まっ、そういう魔法だから、俺が先頭で後衛を守るのはレオン。オーグは役立たずだからミリアとレイスでサンドイッチして守るって訳」

「ちょっと待て。私を役立たずと決め付けるな!」

「そんな貴族服着てる時点で、俺の中では戦力外通告だっつぅの! さっ、時間も勿体ないし、行こうぜ」

「「「了解」」」

「おい、私は役立たずではないぞ!!」

 ぎゃーぎゃー喚くオーグを放っておいて、俺達はダンジョンへと足を踏み入れた。
 内心ワクワクしているが、何があるかわからない。
 気を引き締めて行くぜ!


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