52 / 63
第二章 冒険者活動編
第52話 田舎者弓使い、ダンジョンアタックに参加する
しおりを挟む冒険者になってから、あっという間に四ヶ月が経過した。
田舎者丸出しだったリュートも、今や時間もわかるししっかりと勘定計算も出来るようになっていた。
文字の読み書きも出来るし、基本的な事に関しては教養のある一般人と何ら変わりない。
ただし、訛りは相変わらずである。
リュートの講師となっているオーギュスト曰く――
「リュート様の口調はいずれ矯正するとして、今は知識の地盤を固める事が最優先で御座います。まだまだ地盤を固めるには時間が掛かりますので、口調はそのままでいいですよ」
との事。
だがおかげで様々な知識が身に付いてきており、気持ち凛々しさが増したような気がする。
元々努力する事は全く苦ではないリュートは、今も楽しく勉強をしていたのだ。
その事を《ジャパニーズ》のショウマに話したところ――
「リュート、やっぱりお前変態だよ」
と呆れられていた。
失敬なと思っていたが、《竜槍穿》のリーダーであるハリーからもおかしいと言われてしまった。
《鮮血の牙》のリーダー、ウォーバキンも同じ意見らしい。
解せぬ。
リュートは、《竜槍穿》《鮮血の牙》のメンバーと、そして《ジャパニーズ》のリーダーのショウマと変わらず仲良くしていた。
残念ながらショウマ以外のメンバーは、まだ心の傷から回復していない。
色々と気遣いが必要らしく、ショウマの表情には明らかに疲労が浮かび上がっていた。
その為、リュート・ハリー・ウォーバキンはショウマを食事に誘い、よく愚痴を聞いていた。
仲の良いメンバーと戯れながら、日々の依頼と授業をこなしていたところ。
冒険者ギルドのギルド長であるハーレィから招集が掛かった。
どうやら、緊急事態らしい。
ハーレィの部屋に向かうと、顔なじみがいた。
ショウマ、ウォーバキン、ハリーだ。
どうやらこの三人も招集が掛かったようだ。
他にも顔は知っているが交流が一切ない面子もいた。
どうやらパーティのリーダーが呼ばれているらしい。
ハーレィの部屋には、リュート含めて八人集まっていた。
「急な呼びかけに応えてくれてありがとう。皆に緊急の依頼をしてもらいたく、この場に集まってもらった」
ハーレィはまず皆に一礼してから、詳しい依頼内容を話し始める。
「今回の依頼内容は多人数協力依頼形式での《ダンジョンアタック》だ」
ダンジョンアタックという言葉を聞いて、リュート以外の面子がざわつく。
この世界にはダンジョンなるものが存在している。
ダンジョンはどう見ても人為的に作られたとしか思えない迷宮が、突如この《現界》に現れる。
ダンジョンの最深部には必ずと言っていい程に《魔界》の超常的存在が居座っている。
そしてダンジョンは冒険者にとっては夢と財産が詰まった場所で、実力を付けた際には皆ダンジョンへ向かって攻略をしていくのだ。
ダンジョンには珍しい武器や防具、道具が宝箱に入っており、自身の装備強化にも使えるのだが、何故そのような武具が用意されているかは不明である。
何か作為的なものを感じざるを得ないが、利用できる物は利用するという精神で、遠慮なくダンジョンの武具を使用している。
さて、今回の依頼はダンジョンアタックだ。
この意味合いはいくつかあり、最深部にいる超常的存在の討伐か、ダンジョン内の宝箱の中身をひたすら開け、依頼者に献上するのどちらかだ。
「今回のダンジョンアタックは、最深部にいる超常的存在の討伐だ」
どうやら、前者のようだった。
しかし、この超常的存在の討伐はデメリットが存在する。
主に魔法使いにだが、討伐完了すると、その超常的存在の力を借りる魔法が、未来永劫失われてしまうというものだ。
その為、討伐対象に選ばれた超常的存在は、我々人間の害にしかならない存在なのだろうと予想できた。
結果、この予想は大当たりだ。
「これは王国自らの緊急依頼で、討伐対象は、《邪悪なる遊戯者 デ・ル=フィング》だ」
《邪悪なる遊戯者 デ・ル=フィング》の名がハーレィの口から発せられ、招集した冒険者達は動揺を隠せない。
リュートに関しても、直接的ではないがほんの少し、思う所がある超常的存在である。
「元々、《邪悪なる遊戯者》は国から要討伐対象だったが、今まで彼の者がどのダンジョンに潜んでいるのかが全く不明だった。しかし、最近になってようやく見つかったのだ」
ハーレィは王国の地図を机に開く。
「場所は王都から馬車で二日掛かる距離にある《ガーレシア鉱山》内部だ。ダンジョンに入った瞬間、《邪悪なる遊戯者》の声が聞こえたのだそうだ」
「つまり、《邪悪なる遊戯者》の根城であるのは間違いないって事かい?」
リュートが話した事がない冒険者が、手を挙げて再度ハーレィに確認をする。
「ああ、間違いないだろう。国にも報告が行き、我々ギルドに依頼が入ったのだ。報酬は十分にあるぞ。今回は十二分に力があるであろう冒険者諸君に対し、私の方から指名依頼をさせていただいた」
リュートは冒険者全員の首にぶら下がっているタグを見る。
ショウマは銅等級だが、最近ウォーバキンは銀等級に昇格した。
ハリーも金等級で《ステイタス》持ち。
他の冒険者も金等級や、あまりお目に掛からない色のタグをしている冒険者が多くいた。
恐らく《超越級》の冒険者なのだろう。
「今回のダンジョンアタックは、正直言って《超越級》冒険者で対応してもらいたかったのだが、相手が《邪悪なる遊戯者》というのもあり、《超越級》以外でも相当な実力を持つ冒険者達に声を掛けさせてもらった」
(本当は、《超越級》の皆が出払っていて、集められなかったが正しいんだがな)
こうして、銅等級パーティ一組、銀等級パーティ一組とソロ冒険者、金等級パーティ一組、《超越級》パーティ四組という面子で、大型多人数協力依頼メンバーが結成されたのだった。
59
あなたにおすすめの小説
タイム連打ってなんだよ(困惑)
こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
「リオ、お前をパーティから追放する。お前のようなハズレスキルのザコは足手まといなんだよ」
王都の冒険者ギルドにて、若手冒険者のリオは、リーダーの身勝手な都合によってパーティから追い出されてしまい、同時に後宮では、聖女の降臨や第一王子の婚約破棄などが話題になっていた。
パーティを追放されたリオは、ある日商隊の護衛依頼を受けた際、野盗に襲われる可憐な少女を助けることになるのだが、彼女は第一王子から婚約破棄された上に濡れ衣を着せられて迫害された元公爵令嬢こと、アイリスだった。
アイリスとの出会いから始まる冒険の旅、行く先々で様々な思惑によって爪弾きにされてしまった者達を受け入れていく内に、彼はある決意をする。
「作ろう。誰もが幸せに過ごせる、そんな居場所を」
目指すべき理想、突き動かされる世界、そしてハズレスキル【タイム連打】に隠されたリオの本当の力とは?
※安心安全安定安泰の四安揃った、ハピエン確定のハズレスキル無双です。
『エ○ーマンが倒せない』は関係ありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
霊力ゼロの陰陽師見習い
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる