微笑む似非紳士と純情娘

月城うさぎ

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第二部

43.心の気持ち

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R入ります。苦手な方は回避してください。
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 昔はずっと自分の名前が好きじゃなかった。

 うららなんて海外じゃ呼びにくい名前だし、思春期に入った頃には名前負けだと思えてますます好きじゃなくなった。

 けれどいつからだろう。そんな自分の名前が特別だと感じるようになったのは。

 初めて人を好きになった時。
 その人に名前で呼んで貰えた時。
 家族や友人に呼ばれるのとは比べ物にならない位、自分の名前が特別に感じた。名前で呼ばれるだけで、心臓が高鳴る。鼓動が早まり頬が紅潮する。胸の奥からじわりと暖かな物で包まれるみたいな心地よさを感じる。甘くてちょっと切なくて、胸がきゅんと疼く。優しさと愛しさで溢れた感情に声を乗せる。貴方に呼ばれるだけで幸せな気分になれるんだって、恋をしてから初めて気付いた。

 「麗・・・」

 キスの合間に名前を呼ばれて、嬉しさがこみ上げる。
 吐息混じりで掠れた声が耳朶に直接響き、体の芯に火がつけられたかのような熱さを感じる。合わされた唇と絡められる舌の動きに神経が集中しているのに、同時に手で触れられる箇所にまでぴくりと反応してしまう。

 上顎が舐められ、深く繋がりを求めるキスに翻弄される。蕩けるような唇も舌の感触も全てが心地いい。だんだん頭の芯がぼうっとしてきて、ただふれ合う肌が気持ちよかった。時折離される瞬間に東条さんを名前で呼ぶと、嬉しそうに微笑む気配が伝わった。
 ねえ、もしかして東条さんも私と同じだったの?名前で呼ばれるだけで幸せな気持ちになれたの?
 そうだったらいいな、と瞼を閉じながら思う。恥ずかしさでつい苗字で呼んでいたけれど、これからはもっと名前で呼ぼう。喜んでもらえるなら、私もなんだってしてあげたいんだから。


 ◆ ◆ ◆

 「あっ・・・!んんっ・・・」

 バスローブが解かれ上半身が露になった。東条さんの手が首筋をゆっくりと撫でて、鎖骨をなぞり、肩に下りていく。その間も唇へのキスは止まない。意識がキスに集中しながらも、掌が肌を這う感触にぞくりと痺れが走った。
 ゆっくりと胸の輪郭を確かめるように東条さんの右手が私の左胸を包む。いつもより鼓動が早い心臓の音が聞こえちゃうんじゃないか。私の心臓、痛いくらいにうるさい。ドキドキが止まらないのはどうしたものか。

 左手で私の肩をなぞり、ゆっくりとバスローブがずり落とされる。散々悩んだ結果、上半身に下着をつける事はしなかった。お風呂上りにブラをつけるのは好きじゃないのもあるけど、何だかバスローブの下にブラを着けるのも変な感じがしたからだ。でも流石に何も身につけないのは心もとない。だから私が用意したわけじゃないけれど、持って来た荷物の中からお気に入りの下着を探して身につけている。勝負下着を用意しておくべきだったかと今更ながら嘆いた。私用の下着を上下で用意している東条さん相手に勝負下着が必要かどうかはわからないが、一応これも乙女心だ。

 既に硬く主張を始めている胸の先端に東条さんが触れた。直後、電流が走ったかのような痺れが全身を襲う。何なのこれ、一体私の体どうしちゃってるんだろう。昨日感じた快楽が段々蘇ってきているみたいに、体が別物につくりかえられているようだ。東条さんが触れるだけで火傷しちゃいそう。自分で体を洗って触っても何も思わないのに、どうして東条さんに触られるとこんなにも甘く体が疼くんだろう。お腹の奥が熱い。自分が感じていることにはとっくに気付いていた。

 「っ!びゃく、や・・・!」

 くちゅ、と唾液の音が響く。
 唇が溶け合っちゃうんじゃないかと思うような情熱的なキスが終わった後、下にずれた東条さんが昨晩同様に赤い花びらを散らしまくった。いたる所に小さな痛みが走る。そして呼吸が乱れてきて上下に動く胸に東条さんが吸い付いてきた。
 舌で転がされて吸い付かれて。眩暈に襲われそうなほどクラクラするのに、更なる刺激が私を襲う。

 下着の上からゆっくりと上下になぞられて、親指で突起を弄られる。それだけで一際甲高い声が漏れた。

 「ああああ・・・!!だ、め・・・いじっちゃっ・・・」
  
 衝撃が強すぎて、うっすらと視界が滲む。荒い息を整えている間に、空気が敏感な肌に伝わった。僅かにひやりとする感触に息を呑む。そのままするり、と足首から下着を外されて、羞恥のあまり両手で顔を覆った。
 
 「ダメ、見ちゃやだ・・・!」

 真っ赤になって弱々しく抗議する私の両手を、東条さんがゆっくりと引き剥がす。顔を隠しているのがダメって、あなたやっぱりSだったんですね・・・!?

 「ダメ?何で?こんなにキレイなのに」

 両膝を立てられて足の間に体を移動させた東条さんは、私の膝をぐいっと開いた。視線がどこに集中しているか痛いくらいにわかる。そんな自分でも見ない場所を凝視しないでほしい・・・!
 顔から火が出るんじゃないかと思うくらい真っ赤にさせて潤んだ視界で東条さんを睨みつければ、頬が緩んだ東条さんがうっとりと私を見つめてきた。

 「そんな可愛い顔で睨んだら逆効果なんですが、ああもう本当可愛い・・・」

 先ほどつけた太もものキスマークを濃くするように再び痕をつけると、そのまま東条さんはあろうことか、私の秘所に顔を近づけて・・・って、キャー!舐めた、舐められたー!?

 びくん!と腰が跳ねるのをやんわりと押さえつけて、東条さんはさらに舌を使い既に感じている場所を舐め上げる。喘ぐ声を抑えながら、たまらず抗議の声をあげた。

 「・・・やっそ、んなところ・・・舐めちゃっ・・・!ふぁあっ・・・!」
 「いや?でも十分にほぐさないと、辛いのは麗ですよ?」

 息が敏感に感じる場所にかかり、それだけで肌がぞくりと粟立った。もう東条さんを直視することが出来なくて、横に顔を背けて目を瞑る。
 全身を見られただけじゃなくて、恥ずかしい所を舐められるなんて。気絶できるくらいのキャパオーバーを既に味わっていると思う。でも今夜は先に寝たらダメだと言われているから、根性で起きていなければ。明日どんな目に遭うかわからない・・・。

 ぎゅっと下唇を噛んでいたら東条さんが離れる気配を感じる。ほっと息をつく間もなく、今度は指が侵入してきた。先ほどまで舐められていた場所に。

 「これなら2本いけそうですね・・・」
 そう呟いた直後、一本だった指が2本に追加されて、私の内壁を擦り上げる。バラバラに動かされて、一際感じる場所を攻められて。私は既に息も絶え絶え状態だ。全力疾走をしているかのように呼吸が荒く、クラクラする。異物感を感じるものの、痛みがないせいか、体の奥から妙な感覚が刺激される。思考が麻痺して何も考えられない――。

 「ふっ・・・ああん!びゃ・・・く、や・・・へん、変なのっ・・・!」
 快楽の波に飲み込まれかけている私は東条さんにすがりつく。真上から見下ろしてくる東条さんに必死に腕を伸ばして助けを求めた。
 これ以上自分がこの波に飲まれたらどうなるか。わからなくて怖い。頭も働かないし、何も考えられなくなる。自分の体が自分じゃないみたいだ。

 「大丈夫。怖くないですよ・・・そのまま流されてしまえばいい」
 手をぎゅっと握り締めてくれて、手の甲にキスを落としてくれる。生理的に流れた涙を指で拭うと、ぺろりと舌で舐め取った。その見惚れるような姿に再び胸がきゅんと締め付けられる。
 
 くすりと微笑んだ東条さんは、指を3本に増やして囁いた。

 「さあ、イって?」

 くい、と指を曲げられて動かされて。強すぎる刺激に声にならない悲鳴をあげて、東条さんに抱きついたまま視界が白く染まった。

 ◆ ◆ ◆

 両手両足に力が入らず、ぐてんとしたまま荒い呼吸を整える。ぼうっとした思考のまま達してしまった私は、焦点のあわない目で東条さんを見上げた。

 ドライヤーで乾かした髪はすっかり乱れてしまっている。さらさらの黒髪も、今はうっすらとかいた汗で無造作に跳ねていた。その無造作ヘアがいつもは見えないワイルドさを醸し出していて、どことなく高貴な獣を彷彿とさせる。黒くてとてもきれいな黒豹みたい・・・。普段の東条さんは猫科には見えないのに、黒曜石のような瞳の奥に隠れた色を見たせいだろうか。鋭く光る色は、孤高の狼のようではなくて、野生の獣の瞳。しなやかで足が速く、狙った獲物は逃がさないライオンか豹のようだ。

 「麗・・・」

 艶めいた声で名前を呼ばれて、ドクンと鼓動が跳ねる。溢れる色気は毒のように室内に充満していて、すぐ傍で嗅いでいる私はもうとっくに身も心も囚われているのだろう。

 安心させるように微笑む東条さんは、少し苦しそうにも見えた。ぐったりとする重い腕を伸ばして肩に触れれば、じっとりと汗ばんでいるのがわかる。
 
 ・・・我慢、させているのかも・・・。

 早く楽になってほしくて、ぎゅうっと抱きしめると東条さんの体が微かに反応した。素肌で抱き合うのは気持ちよくって、お互いの肌が心地いい。緩く抱きしめただけの腕はすぐに外れて、再び柔らかなベッドに横たわる私を、東条さんが情欲を秘めた瞳を細めて見つめてきた。

 そして右手を私の腹部、おへその下をそっと押し当てる。

 「麗。ここを、私で満たしてもいいですか・・・?」
 
 その真剣な眼差しに息を呑んだ。朦朧とした頭でこくり、と頷く。
 早く私を貴方のものにしてほしい。私もつながりたいと、頭ではなくて心が訴えてくる。好きな人の全部で私を満たして欲しい、と。

 安堵の息を吐いた東条さんは、こめかみにキスを落として私を安心させた。怖くない、大丈夫と告げるように頭を何度か撫でた後。体を離して足を開かされる。そして苦しさと愛しさを混ぜた声色で訊ねられた。

 「麗・・・私を、愛して・・・?」
 
 「うん」、と頷くと同時に圧倒的な質量を感じた。
 刹那、ゆっくりと労わるように東条さんが押し入ってきて。私は目を閉じてそっと詰めていた息を吐いた。

 
 




















 
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