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旦那様は純情
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辺境伯邸へと向かい入れられたサマンサは2階の日当たりの良い一室へと案内されていた。
「この部屋は君の私室として自由に使ってくれ」
「わぁ、こんな広いお部屋を良いのですか?」
「勿論さ、それで……あの……なんだ、と、隣の部屋が寝室になっている」
「へぇ」
何故か頬を染めるダーリンを不思議そうに見ながらサマンサは隣のへ続くドアを開けた。
隣の部屋には、大男が3人寝ても余裕がある程の大きなベッドとセンスの良いサイドチェスト、ソファとテーブルが置かれている。
全ての家具は統一感があり、とても落ち着ける雰囲気になっていた。
そして、廊下に繋がるドアの他にも、サマンサの部屋に続くドアの反対側にドアがあった。
「ねぇ、ダーリン。
反対側の部屋は何ですか?」
「あ、ああ。
その……わ、私の私室だよ」
ダーリンは限界まで視線を逸らす。
「なるほど、内側で繋がっているのですね」
「も、勿論、君を無理やりどうこうするつもりは無い!
君が望まないのならば私はしばらく別の寝室を使おう!」
両手を合わせて“我が意を得たり”とばかり笑顔を浮かべるサマンサに、ダーリンは何故かオドオドと弁解した。
「へ?一緒に寝れば良いじゃないですか?」
「い、良いのか?」
ダーリンはサマンサの言葉にゴクリと唾を飲みながら問い返した。
「そりゃあ、夫婦なんですから何も問題有りませんよ?」
「そ、そうか……」
結婚したと言うだけで、あっさりとそう納得できる事にダーリンは驚いていた。
(結婚した友人は、一緒に暮らし始めてから『そう言う感じ』になるまで擦った揉んだがあったと聞いていたのだが…………)
「お嬢様は辺境伯様を大変お慕いしているご様子ですのでご安心下さいませ」
「うぉ!」
ダーリンは突然背後から声を掛けられて飛び上がる。
いつのまにか背後には見慣れないメイドが立っていた。
年の頃はサマンサと同じくらい。
銀髪を後ろでまとめ右肩から前に下ろしている。
美人ではあるがどこか氷の様な印象を受ける女性だった。
(い、いつのまに背後に……私はコレでも戦場に立つ事も多いし、腕にも覚えがある。
だが、まったく気配を感じなかった)
「あら、タバサ。
馬車の方はどうなったの?」
「はい、お嬢様。
荷物を辺境伯邸の使用人の皆様にお預けし帰らせました」
「そう、ありがと。
それと、もうお嬢様は止めてね」
「失礼致しました奥様」
サマンサの指摘にコレはうっかりとばかりに自らの頭をコツンと(無表情で)叩いたタバサは、ダーリンの方に向き直ると改めて居住まいを正し、お手本の様に頭を下げる。
「私はモンゴメリー伯爵家にてサマンサ様付きのメイドをしておりました、タバサと申します」
ダーリンはその時になってようやく彼女の事を思い出す。
「ああ、君の事は聞いているよ。
伯爵家と同じ待遇で君を改めて雇おう。
辺境伯家でもサマンサに付いてやって欲しい」
「お任せ下さい旦那様」
(モーリス伯爵からも有能なメイドだと聞いているし、サマンサも気心の知れたメイドが側にいれば安心するだろう)
「ご配慮頂きありがとうございます」
「⁉︎」
(え、もしかして私は今喋っていたのか?)
「いえいえ、旦那様は喋っていらっしゃらないですよ」
「………………」
「ふふふ」
「この部屋は君の私室として自由に使ってくれ」
「わぁ、こんな広いお部屋を良いのですか?」
「勿論さ、それで……あの……なんだ、と、隣の部屋が寝室になっている」
「へぇ」
何故か頬を染めるダーリンを不思議そうに見ながらサマンサは隣のへ続くドアを開けた。
隣の部屋には、大男が3人寝ても余裕がある程の大きなベッドとセンスの良いサイドチェスト、ソファとテーブルが置かれている。
全ての家具は統一感があり、とても落ち着ける雰囲気になっていた。
そして、廊下に繋がるドアの他にも、サマンサの部屋に続くドアの反対側にドアがあった。
「ねぇ、ダーリン。
反対側の部屋は何ですか?」
「あ、ああ。
その……わ、私の私室だよ」
ダーリンは限界まで視線を逸らす。
「なるほど、内側で繋がっているのですね」
「も、勿論、君を無理やりどうこうするつもりは無い!
君が望まないのならば私はしばらく別の寝室を使おう!」
両手を合わせて“我が意を得たり”とばかり笑顔を浮かべるサマンサに、ダーリンは何故かオドオドと弁解した。
「へ?一緒に寝れば良いじゃないですか?」
「い、良いのか?」
ダーリンはサマンサの言葉にゴクリと唾を飲みながら問い返した。
「そりゃあ、夫婦なんですから何も問題有りませんよ?」
「そ、そうか……」
結婚したと言うだけで、あっさりとそう納得できる事にダーリンは驚いていた。
(結婚した友人は、一緒に暮らし始めてから『そう言う感じ』になるまで擦った揉んだがあったと聞いていたのだが…………)
「お嬢様は辺境伯様を大変お慕いしているご様子ですのでご安心下さいませ」
「うぉ!」
ダーリンは突然背後から声を掛けられて飛び上がる。
いつのまにか背後には見慣れないメイドが立っていた。
年の頃はサマンサと同じくらい。
銀髪を後ろでまとめ右肩から前に下ろしている。
美人ではあるがどこか氷の様な印象を受ける女性だった。
(い、いつのまに背後に……私はコレでも戦場に立つ事も多いし、腕にも覚えがある。
だが、まったく気配を感じなかった)
「あら、タバサ。
馬車の方はどうなったの?」
「はい、お嬢様。
荷物を辺境伯邸の使用人の皆様にお預けし帰らせました」
「そう、ありがと。
それと、もうお嬢様は止めてね」
「失礼致しました奥様」
サマンサの指摘にコレはうっかりとばかりに自らの頭をコツンと(無表情で)叩いたタバサは、ダーリンの方に向き直ると改めて居住まいを正し、お手本の様に頭を下げる。
「私はモンゴメリー伯爵家にてサマンサ様付きのメイドをしておりました、タバサと申します」
ダーリンはその時になってようやく彼女の事を思い出す。
「ああ、君の事は聞いているよ。
伯爵家と同じ待遇で君を改めて雇おう。
辺境伯家でもサマンサに付いてやって欲しい」
「お任せ下さい旦那様」
(モーリス伯爵からも有能なメイドだと聞いているし、サマンサも気心の知れたメイドが側にいれば安心するだろう)
「ご配慮頂きありがとうございます」
「⁉︎」
(え、もしかして私は今喋っていたのか?)
「いえいえ、旦那様は喋っていらっしゃらないですよ」
「………………」
「ふふふ」
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