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メイドさんは優秀
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サマンサが辺境伯家へ嫁入りしてから1ヶ月が過ぎた。
その日、ダーリンは国境の砦で急ぎの仕事が出来た為、急遽砦へと赴き、数日仕事を片付けた後、急いで帰路へと付いていた。
しかし途中で雨に降られた為、大樹の下で護衛と共に一夜を明かす事になってしまった。
「ふぅ、ようやく我が家に辿り着いた」
「お疲れ様です、閣下」
街に入り、辺境伯家の屋敷が見えてきた頃、護衛隊長のフランクが馬を寄せて話しかけて来た。
フランクはダーリンの幼馴染でもあり、特に信用している護衛である。
「道中の雨と言い、今回はかなり時間を食ってしまいましたな。
数日とは言え新婚の閣下と離れ離れになり奥方様も寂しい思いをされている事でしょう」
「はは、そうだな。
それに何より私が寂しいよ」
「ははは、では急いで顔を見てあげなければ」
「しかし、まだ時間が早いからな……」
そう、道中の雨宿りで行動の予定がズレた為、ダーリン達は朝方のかなり早い時間の帰宅となってしまったのだ。
「フランク、護衛は此処までて良い。
皆を休ませてやってくれ。
それと、馬を頼む」
「かしこまりました、閣下」
屋敷の敷地内に入ったダーリンは馬をフランクに預けて一足先に屋敷に入った。
あまりに早い時間の為かいつもとは雰囲気が違って見える。
使用人達はすでに起きているようだが、帰宅したくらいでわざわざ呼びつけるほどダーリンは横柄でない。
軍人肌のダーリンは着替えや荷運びくらいは自分で出来るのである。
「ん?」
部屋に向かう途中、扉が少し空いた部屋の中から声が聞こえた。
サマンサ付きのメイド、タバサの声だ。
普段、自分達がまだ眠っているこの時間、使用人達が何を話しているのか気になったダーリンは少しだけ覗いてみた。
「では、第1小隊と第2小隊は清掃とベッドメイクを。
第3小隊第1分隊は備品の確認の後、不足分の買い出し、第2分隊は予備戦力とします。
では…………作戦開始」
「「「「イエス・マム」」」」
「…………」
ダーリンはそっと扉を閉めた。
「………………タバサも屋敷の使用人達と馴染んできたみたいだな」
ダーリンはスルーする事に決めた。
そう言えば最近、使用人達の仕事がとてもスムーズになってきていた気がする。
元々優秀な使用人達が優秀な指揮官を得たのだろう。
ダーリンはそうやって無理やり納得する事にした。
その日の昼、一眠りしたダーリンは、サマンサと昼食を済ませ、執務室で屋敷を離れていた間の仕事をこなそうとしていた。
「さて、書類を頼む」
側付きの使用人に命じると彼は1度部屋を出てからタバサと共に戻ってきた。
「旦那様不在時の書類でございます」
タバサが紙束を手渡してくれた。
「こちらが急ぎの裁可が必要な書類。
こちらが税収の報告書、数字に不備がある物は別にしてあります。
こちらが領民からの嘆願書、緊急性の高いものから並べております。
こちらの書類は勝手ながら計算を済ませておきました、ご確認下さい」
彼女は隣の使用人が抱える紙束を分類別に積み上げて行く。
それもいつもは積み上げているだけの書類が全て整理されダーリン自身がやる必要のないものは確認だけすれば良い様になっていた。
「…………君はサマンサ付きのはずだが」
「はい、勿論奥様のお世話が第一です。
この程度は空き時間で出来る範囲ですので……それに旦那様には早くお仕事を終えられて奥様の為に時間を開けて頂きたいのです」
「なるほど……君は私が思っていたよりも数段優秀な様だ」
ダーリンは全てを受け入れた。
別につっこむのが面倒になった訳ではない…………本当だぞ!
いつのまにか使用人達が掌握されていたりもしたが些細な事だ。
仕事もいつもの半分近い量に減っている。
ダーリンは、優秀なメイドの好意に甘えて妻との時間を作る為に書類にサインを入れて行くのだった。
その日、ダーリンは国境の砦で急ぎの仕事が出来た為、急遽砦へと赴き、数日仕事を片付けた後、急いで帰路へと付いていた。
しかし途中で雨に降られた為、大樹の下で護衛と共に一夜を明かす事になってしまった。
「ふぅ、ようやく我が家に辿り着いた」
「お疲れ様です、閣下」
街に入り、辺境伯家の屋敷が見えてきた頃、護衛隊長のフランクが馬を寄せて話しかけて来た。
フランクはダーリンの幼馴染でもあり、特に信用している護衛である。
「道中の雨と言い、今回はかなり時間を食ってしまいましたな。
数日とは言え新婚の閣下と離れ離れになり奥方様も寂しい思いをされている事でしょう」
「はは、そうだな。
それに何より私が寂しいよ」
「ははは、では急いで顔を見てあげなければ」
「しかし、まだ時間が早いからな……」
そう、道中の雨宿りで行動の予定がズレた為、ダーリン達は朝方のかなり早い時間の帰宅となってしまったのだ。
「フランク、護衛は此処までて良い。
皆を休ませてやってくれ。
それと、馬を頼む」
「かしこまりました、閣下」
屋敷の敷地内に入ったダーリンは馬をフランクに預けて一足先に屋敷に入った。
あまりに早い時間の為かいつもとは雰囲気が違って見える。
使用人達はすでに起きているようだが、帰宅したくらいでわざわざ呼びつけるほどダーリンは横柄でない。
軍人肌のダーリンは着替えや荷運びくらいは自分で出来るのである。
「ん?」
部屋に向かう途中、扉が少し空いた部屋の中から声が聞こえた。
サマンサ付きのメイド、タバサの声だ。
普段、自分達がまだ眠っているこの時間、使用人達が何を話しているのか気になったダーリンは少しだけ覗いてみた。
「では、第1小隊と第2小隊は清掃とベッドメイクを。
第3小隊第1分隊は備品の確認の後、不足分の買い出し、第2分隊は予備戦力とします。
では…………作戦開始」
「「「「イエス・マム」」」」
「…………」
ダーリンはそっと扉を閉めた。
「………………タバサも屋敷の使用人達と馴染んできたみたいだな」
ダーリンはスルーする事に決めた。
そう言えば最近、使用人達の仕事がとてもスムーズになってきていた気がする。
元々優秀な使用人達が優秀な指揮官を得たのだろう。
ダーリンはそうやって無理やり納得する事にした。
その日の昼、一眠りしたダーリンは、サマンサと昼食を済ませ、執務室で屋敷を離れていた間の仕事をこなそうとしていた。
「さて、書類を頼む」
側付きの使用人に命じると彼は1度部屋を出てからタバサと共に戻ってきた。
「旦那様不在時の書類でございます」
タバサが紙束を手渡してくれた。
「こちらが急ぎの裁可が必要な書類。
こちらが税収の報告書、数字に不備がある物は別にしてあります。
こちらが領民からの嘆願書、緊急性の高いものから並べております。
こちらの書類は勝手ながら計算を済ませておきました、ご確認下さい」
彼女は隣の使用人が抱える紙束を分類別に積み上げて行く。
それもいつもは積み上げているだけの書類が全て整理されダーリン自身がやる必要のないものは確認だけすれば良い様になっていた。
「…………君はサマンサ付きのはずだが」
「はい、勿論奥様のお世話が第一です。
この程度は空き時間で出来る範囲ですので……それに旦那様には早くお仕事を終えられて奥様の為に時間を開けて頂きたいのです」
「なるほど……君は私が思っていたよりも数段優秀な様だ」
ダーリンは全てを受け入れた。
別につっこむのが面倒になった訳ではない…………本当だぞ!
いつのまにか使用人達が掌握されていたりもしたが些細な事だ。
仕事もいつもの半分近い量に減っている。
ダーリンは、優秀なメイドの好意に甘えて妻との時間を作る為に書類にサインを入れて行くのだった。
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