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四-2.月の歯車
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☾
「とてもかわいそうなお話ね」
初穂の頬を流れていた涙が乾いているのを見て、秋夜は微かに目を細めた。目ざとくそのことに気づいた初穂は、頬を赤らめ、少し意地悪な口調で問うた。
「それで、このお話は結局なにが言いたかったの?」
「さあ」
そんなこと聞かれるとも想像していなかったのか、秋夜は少しだけ目を見開くと、小首を傾げ顎先に手をやり考えこむ。沈みがちな黒目が不思議な光を宿している。風が秋夜の重たそうな前髪をかすかに揺らした。初穂はまじまじと秋夜を観察する。秋夜は初穂にとってほかにはどこにもいない正体不明な存在だった。大体、さっきの物語も童話の体裁はとっているが、子ども向けの内容とは到底思えない。
そうだな、と秋夜が呟いた。穏やかな秋の日射しのなかで、秋夜の声は一滴の墨汁のように染み広がった。それは初穂のなかで不協和音を奏で、反響に反響を重ね、どんどん波紋を広げていく。
「偉大な英雄になるよりも、ひとりのひとを幸せにするほうがずっと難しいってことかな」
緩やかに秋夜は微笑んだ。ため息をつくようなあきらめと照れくささの入り混じった笑みだった。だが、それは紛れもなく初穂に向けられた笑みだった。初穂だけの笑みだった。その言葉、その表情、その動作、その姿すべてが一瞬にして脳裏に焼きつき、一生忘れられないことを初穂は悟った。音は消え、景色は霞み、秋夜は世界から切り離された。
「慰めてくれているの?」
「どうだろうね」
気づくと、秋夜の足もとにはあの紅葉がいた。つっかけに葉の先端が引っかかっている。端麗で華美な姿はそのままに、その美は力をなくし滞っている。
初穂はその葉の行く末を刮目した。願わくば、完成された姿のまま風に連れ去られるよりも、踏みにじられ汚され媚びへつらった醜い姿になったとしても、そこに滞って欲しかった。
*
まだ五時過ぎだというのに、外はすでに夜の気配が濃かった。初穂はカーテンを引き、濡れてゆがんだ窓の先を眺める。音をたてない細い雨が降りつづいている。住宅街の道を歩くものはおらず、街灯の人工的な灯りが静かな通りを照らしつづけている。
そろそろ秋夜が夕飯の支度を始める時間だった。机の上でデスクライトに照らされたノートと参考書を初穂は見つめ、とりあえずここまでにしようかと思った。
二階には初穂と秋夜の自室があった。だが、いまや秋夜はその部屋をほとんど使っていない。祖母が亡くなり、線香を絶やさないよう寝ずの番をしたあの日から、秋夜は寝起きを仏間の隣りに位置する祖母の部屋でするようになり、そこを自室と決めてしまっていた。そのうち秋夜はふだん使う必要なものを祖母の部屋だった場所に移し、祖母の部屋にあったもうほとんど使わないだろうと思われる物を秋夜の二階の部屋の押し入れにしまいこんでいた。
初穂はそっと秋夜の部屋のドアノブを回す。ドアノブの刺すような冷たさは、主人の長い不在を知っている。
微かにきしむ音をたてドアは開いた。畳張りの部屋は基本必要最低限のもので構築されていた。カーテンは開けっぱなしで真っ暗な部屋をわずかに届く街灯の灯りが浮き上がらせる。この部屋で唯一の余剰と言うべきは本だった。本棚にびっしりと詰めこまれ、隙間を埋めても収まりきらなかった本が本棚の上や周辺に層になって積まれている。初穂は明かりもつけずそっと部屋に忍びこみ、本棚を眺めた。勝手に読むことを許されているが、主人不在のまま物色するのは悪いことをしているようだ。それにペン立てすら置かれていない古びた机も布団の敷いていないパイプベッドも冷たく沈黙しているのに、本棚にだけは秋夜の体温が残るようで、触れることに緊張感がある。
ときどき秋夜は本を取りに二階に上がってくることがあった。祖母が亡くなるまでは秋夜が二階を行き来することは当たり前だったのに、それが日常ではなくなった瞬間から、秋夜の階段を上る足音がむやみに初穂の耳に主張するようになっていた。いつか初穂の部屋をノックするのではないかという不安、そしてそれを待ち構えている初穂自身への不安から、身を硬くして初穂は秋夜が二階から去るのを待った。
そもそも初穂のドアをノックするのは祖母の役目だったのだ。なにかがあって初穂をそのドアの外から呼ぶのはいつも慈しみある祖母の声だけだった。秋夜は一度だって特別な関心を持って初穂と関わろうとはしなかった。秋夜が初穂に抱くのはいつだって無関心の許容なのだ。
だからこそ、このドアを秋夜がノックしてはいけないのだ。そうしてしまったとき、なにかがきっと始まってしまう。なにかが決定的に変わり、なにかが終わることを意味する。そして、それは決して望ましい結果をもたらさない。
どんな変化であっても祖母がいた頃の幸福な平穏は取り戻せないのだという確信があった。三人でこたつに潜りこみながら祖母の好きなみかんを食べ、同じテレビ番組を見て、笑いあうような日々は二度と戻ってこないのだ。初穂はそのために、足場が徐々に崩れていく恐怖を知りながら、平然と微笑みつづけることを誓っていた。不毛だとわかっていても、一瞬の満足のためだけに破滅を望まなかったかといわれれば、まったくそうだとは言い切れない。これは初穂が衝動的に壊してしまったゆえにできた隙間で、初穂はそれを悟られたくはなかった。
ぎゅっと目を閉じ、本棚に寄りかかる。祖母がいたあの頃、初穂は初穂と秋夜だけしか存在しない世界を夢想した。祖母すらその世界には邪魔だった。そして、祖母は失われてしまった。唯一の楔は断ち切れ、良心はなくなった。
ときどき想うのだ。少しも望まなければ祖母が亡くなることはなかったのではないかと。なにかが作用し、初穂の願望が祖母の命を削ぎ落したのではないかと。
苦い後悔が胸に広がる。ただの風邪だからと軽く見て、病気の祖母を置き去りにして学校へ行ったあの日を思いだす。なにもかもが日常でしかなかった。少し冷えた秋の雨の日で、祖母は大丈夫だからと玄関口で寝巻のまま初穂を見送った。初穂はなにも気づけなかった。あんなにも目前にそのときが差し迫っていたというのに。どうしてあのとき、学校を休んででも祖母を病院に連れて行かなかったのか。せめてそばにいて看病していれば、祖母の体調の悪化に気づくこともできたのではないか。
台所で倒れていた祖母を発見したのは、学校から帰ってきた初穂だった。体を縮めて小さくなり、胸のあたりの寝巻を両手できつく握りしめたまま、気を失っていた。暗く寒い部屋でそうして倒れている祖母は、もうすでに影の一部になってしまったように見えた。
なにかが崩れるような派手な物音がして、初穂ははっと顔を上げる。その物音は一階からだった。
「秋夜?」
廊下に出て呼びかける。返事はない。不気味な静寂を感じる。
慌てて階段を下りた。祖母のことを考えていたせいか、不安の塊が喉の奥で疼く。
果たして秋夜は居間にいた。暗い部屋でその場に力なく倒れている姿を見て、初穂は恐怖に囚われる。
「秋夜!」
駆け寄り乱暴に肩を揺すると、秋夜は呻きながら身を起こした。
「ごめん、驚かせた。熱があったみたいで、目眩がして転んだだけだ」
「きゅ、救急車!」
電話に向かって走りだそうとする初穂の手首を秋夜が咄嗟に掴み、制止する。
「必要ない。ただの風邪だし、ただ転んだだけでどこも痛めてないから」
「だけど……っ!」
「僕は母さんのようにはならないから」
気づかぬうちに初穂は涙を流していた。現在と過去が交差して、秋夜と祖母の姿が重なり、混乱し狼狽し震えが止まらない。
神は許さなかったのだ。叔父とのふたりきりの世界を。それを望んでしまったことを。だから祖母の命を奪い、今度は秋夜の命までも奪うのだ。これは罰だ。罰ならば初穂は望んで身を差しだすが、きっと神は神であるがゆえにもっとも厳しい罰を与えるのだろう。
背筋を恐怖が走り抜ける。肌が粟立ち、震えは一向に治まらない。最悪の想像しか脳裏に浮かばない。だが現実は、いつも想像の最悪より斜め上を行く。
神様――。
初穂は心のなかで叫んだ。
もう決して秋夜との世界を望んだりはしない。だから、秋夜の命を奪ったりしないでください。どうかふたりでこたつを囲み、みかんを食べるひとときを奪わないでください。罰を下すというのなら、どうかわたし自身に罰をお与えください。
「とてもかわいそうなお話ね」
初穂の頬を流れていた涙が乾いているのを見て、秋夜は微かに目を細めた。目ざとくそのことに気づいた初穂は、頬を赤らめ、少し意地悪な口調で問うた。
「それで、このお話は結局なにが言いたかったの?」
「さあ」
そんなこと聞かれるとも想像していなかったのか、秋夜は少しだけ目を見開くと、小首を傾げ顎先に手をやり考えこむ。沈みがちな黒目が不思議な光を宿している。風が秋夜の重たそうな前髪をかすかに揺らした。初穂はまじまじと秋夜を観察する。秋夜は初穂にとってほかにはどこにもいない正体不明な存在だった。大体、さっきの物語も童話の体裁はとっているが、子ども向けの内容とは到底思えない。
そうだな、と秋夜が呟いた。穏やかな秋の日射しのなかで、秋夜の声は一滴の墨汁のように染み広がった。それは初穂のなかで不協和音を奏で、反響に反響を重ね、どんどん波紋を広げていく。
「偉大な英雄になるよりも、ひとりのひとを幸せにするほうがずっと難しいってことかな」
緩やかに秋夜は微笑んだ。ため息をつくようなあきらめと照れくささの入り混じった笑みだった。だが、それは紛れもなく初穂に向けられた笑みだった。初穂だけの笑みだった。その言葉、その表情、その動作、その姿すべてが一瞬にして脳裏に焼きつき、一生忘れられないことを初穂は悟った。音は消え、景色は霞み、秋夜は世界から切り離された。
「慰めてくれているの?」
「どうだろうね」
気づくと、秋夜の足もとにはあの紅葉がいた。つっかけに葉の先端が引っかかっている。端麗で華美な姿はそのままに、その美は力をなくし滞っている。
初穂はその葉の行く末を刮目した。願わくば、完成された姿のまま風に連れ去られるよりも、踏みにじられ汚され媚びへつらった醜い姿になったとしても、そこに滞って欲しかった。
*
まだ五時過ぎだというのに、外はすでに夜の気配が濃かった。初穂はカーテンを引き、濡れてゆがんだ窓の先を眺める。音をたてない細い雨が降りつづいている。住宅街の道を歩くものはおらず、街灯の人工的な灯りが静かな通りを照らしつづけている。
そろそろ秋夜が夕飯の支度を始める時間だった。机の上でデスクライトに照らされたノートと参考書を初穂は見つめ、とりあえずここまでにしようかと思った。
二階には初穂と秋夜の自室があった。だが、いまや秋夜はその部屋をほとんど使っていない。祖母が亡くなり、線香を絶やさないよう寝ずの番をしたあの日から、秋夜は寝起きを仏間の隣りに位置する祖母の部屋でするようになり、そこを自室と決めてしまっていた。そのうち秋夜はふだん使う必要なものを祖母の部屋だった場所に移し、祖母の部屋にあったもうほとんど使わないだろうと思われる物を秋夜の二階の部屋の押し入れにしまいこんでいた。
初穂はそっと秋夜の部屋のドアノブを回す。ドアノブの刺すような冷たさは、主人の長い不在を知っている。
微かにきしむ音をたてドアは開いた。畳張りの部屋は基本必要最低限のもので構築されていた。カーテンは開けっぱなしで真っ暗な部屋をわずかに届く街灯の灯りが浮き上がらせる。この部屋で唯一の余剰と言うべきは本だった。本棚にびっしりと詰めこまれ、隙間を埋めても収まりきらなかった本が本棚の上や周辺に層になって積まれている。初穂は明かりもつけずそっと部屋に忍びこみ、本棚を眺めた。勝手に読むことを許されているが、主人不在のまま物色するのは悪いことをしているようだ。それにペン立てすら置かれていない古びた机も布団の敷いていないパイプベッドも冷たく沈黙しているのに、本棚にだけは秋夜の体温が残るようで、触れることに緊張感がある。
ときどき秋夜は本を取りに二階に上がってくることがあった。祖母が亡くなるまでは秋夜が二階を行き来することは当たり前だったのに、それが日常ではなくなった瞬間から、秋夜の階段を上る足音がむやみに初穂の耳に主張するようになっていた。いつか初穂の部屋をノックするのではないかという不安、そしてそれを待ち構えている初穂自身への不安から、身を硬くして初穂は秋夜が二階から去るのを待った。
そもそも初穂のドアをノックするのは祖母の役目だったのだ。なにかがあって初穂をそのドアの外から呼ぶのはいつも慈しみある祖母の声だけだった。秋夜は一度だって特別な関心を持って初穂と関わろうとはしなかった。秋夜が初穂に抱くのはいつだって無関心の許容なのだ。
だからこそ、このドアを秋夜がノックしてはいけないのだ。そうしてしまったとき、なにかがきっと始まってしまう。なにかが決定的に変わり、なにかが終わることを意味する。そして、それは決して望ましい結果をもたらさない。
どんな変化であっても祖母がいた頃の幸福な平穏は取り戻せないのだという確信があった。三人でこたつに潜りこみながら祖母の好きなみかんを食べ、同じテレビ番組を見て、笑いあうような日々は二度と戻ってこないのだ。初穂はそのために、足場が徐々に崩れていく恐怖を知りながら、平然と微笑みつづけることを誓っていた。不毛だとわかっていても、一瞬の満足のためだけに破滅を望まなかったかといわれれば、まったくそうだとは言い切れない。これは初穂が衝動的に壊してしまったゆえにできた隙間で、初穂はそれを悟られたくはなかった。
ぎゅっと目を閉じ、本棚に寄りかかる。祖母がいたあの頃、初穂は初穂と秋夜だけしか存在しない世界を夢想した。祖母すらその世界には邪魔だった。そして、祖母は失われてしまった。唯一の楔は断ち切れ、良心はなくなった。
ときどき想うのだ。少しも望まなければ祖母が亡くなることはなかったのではないかと。なにかが作用し、初穂の願望が祖母の命を削ぎ落したのではないかと。
苦い後悔が胸に広がる。ただの風邪だからと軽く見て、病気の祖母を置き去りにして学校へ行ったあの日を思いだす。なにもかもが日常でしかなかった。少し冷えた秋の雨の日で、祖母は大丈夫だからと玄関口で寝巻のまま初穂を見送った。初穂はなにも気づけなかった。あんなにも目前にそのときが差し迫っていたというのに。どうしてあのとき、学校を休んででも祖母を病院に連れて行かなかったのか。せめてそばにいて看病していれば、祖母の体調の悪化に気づくこともできたのではないか。
台所で倒れていた祖母を発見したのは、学校から帰ってきた初穂だった。体を縮めて小さくなり、胸のあたりの寝巻を両手できつく握りしめたまま、気を失っていた。暗く寒い部屋でそうして倒れている祖母は、もうすでに影の一部になってしまったように見えた。
なにかが崩れるような派手な物音がして、初穂ははっと顔を上げる。その物音は一階からだった。
「秋夜?」
廊下に出て呼びかける。返事はない。不気味な静寂を感じる。
慌てて階段を下りた。祖母のことを考えていたせいか、不安の塊が喉の奥で疼く。
果たして秋夜は居間にいた。暗い部屋でその場に力なく倒れている姿を見て、初穂は恐怖に囚われる。
「秋夜!」
駆け寄り乱暴に肩を揺すると、秋夜は呻きながら身を起こした。
「ごめん、驚かせた。熱があったみたいで、目眩がして転んだだけだ」
「きゅ、救急車!」
電話に向かって走りだそうとする初穂の手首を秋夜が咄嗟に掴み、制止する。
「必要ない。ただの風邪だし、ただ転んだだけでどこも痛めてないから」
「だけど……っ!」
「僕は母さんのようにはならないから」
気づかぬうちに初穂は涙を流していた。現在と過去が交差して、秋夜と祖母の姿が重なり、混乱し狼狽し震えが止まらない。
神は許さなかったのだ。叔父とのふたりきりの世界を。それを望んでしまったことを。だから祖母の命を奪い、今度は秋夜の命までも奪うのだ。これは罰だ。罰ならば初穂は望んで身を差しだすが、きっと神は神であるがゆえにもっとも厳しい罰を与えるのだろう。
背筋を恐怖が走り抜ける。肌が粟立ち、震えは一向に治まらない。最悪の想像しか脳裏に浮かばない。だが現実は、いつも想像の最悪より斜め上を行く。
神様――。
初穂は心のなかで叫んだ。
もう決して秋夜との世界を望んだりはしない。だから、秋夜の命を奪ったりしないでください。どうかふたりでこたつを囲み、みかんを食べるひとときを奪わないでください。罰を下すというのなら、どうかわたし自身に罰をお与えください。
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