鬼婆

鬼婆

 裕之に掛けられていた布団をめくると、裕之の腹は溝落ちの部分から真下へと大きく引き裂かれて臓器は抜かれていた。

 「見るなー！！こんな所早く出るぞ！！」

 健太は陽子の目を手で覆うと、そのまま肩に腕をかけ自分に寄せながら、外へと飛び出した。ギシギシとなる床を走りながら、玄関めがけ走り出すと、そこには人の影が立っていた。薄暗い部屋の中、微かに外からの光が差し込む中、健太はその姿を確認した。

 「あんたの仕業か・・この人殺し！！」

 そこに立っていたのは老婆だったのだ。