少年館

潮騒1

※この作品に出てくる全ての人、場所、組織、名前など実在する人物、組織、場所、名前とは一切関係ありません。




　・・1939年フランスロワール地方・・

 古くから古城などが立ち並ぶ歴史的な場所であり南から北に流れる全長およそ100キロにものぼるロワール川にその地名の由来をもつのどかな景色が広がる田舎町ロワールにおいて、街の一角にとあるレトロでモダンな4階建ての建物があった。

　田舎街ながら、その建物の前には週末ともなればどこから来たか黒塗りの高級車が停車し中から貴賓のありそうな紳士が老若男とわずおとずれる。そして建物から出てくる迎えの者に丁重に案内され中へと消えていく。

　地元の人曰く、あの建物の中は決して庶民が入れるような場所ではなく、また、その建物の事について少しでも詮索すればどこからか現れる秘密警察に逮捕される事もあるという。そんな中地元の人達はその建物は政治的な重要な会合が行われている場所だと誰もが口々にする。

　今宵もまた一台黒塗りの高級車がその建物の前に止まった。