少年館

ジョセフとアドン少佐の2人の生活20

　「分かった。よく話してくれたね。」

 込み上げてくる怒りを堪えながらアドンは泣いている少年を優しく抱きしめた。

　「お待たせしました。ジョセフ君の主治医です。」

 そこへようやくジョセフの主治医がアドンのもとへ現れた。

　「ご家族の方ですか？軍服を着用されてますがジョセフ君とはどういったご関係なのですか？」

 主治医は病院に軍服姿で現れたアドンに警戒感を感じつつ尋ねた。

　「フランス陸軍パリ防衛隊第8大隊司令官のアドン少佐だ。ジョセフは弟だ。」

 アドンはついジョセフが弟だと嘘をついてしまった。なぜ、嘘をついたのかアドンは分からなかった。ただ本能的にジョセフを守りたいという気持ちと、関係者ではないという事が知られれば、追い返されるだろうと分かっていたのだ。