少年館

華岡光

文字の大きさ
上 下
167 / 174

その意思を受け継いで56

しおりを挟む
 アドンは少し驚いた表情をしたが、それは決して黙って手帳を覗いた事によるものではなかった。

 「そうか・・ありがとう。手帳を見て覚えててくれたんだな。嬉しいよ。ありがとうな。」

   「てっきり怒られるかと思ったんだけど、僕のほうこそ嬉しいよ。お兄ちゃん!!ねー僕の事好き?」
  
   「急になんだよ!!いきなり改まってびっくりするじゃないか・・」

   「僕はお兄ちゃんの事大好きだよ。とても・・お兄ちゃんと出会わなかったら僕はきっと・・

 でも、今はお兄ちゃんと一緒だから、ずーっと一緒にいてくれる?お兄ちゃん・・」

アドンは手にしたハケを下に置いた。

 「ああ、ずーっと一緒だよ!愛してるよ。ジョフ。俺のほうこそ感謝してる。機械的にただ上から言われるがまま軍の仕事を毎日して、魂の抜け殻みたいな俺をお前が変えてくれた・・愛してる。」

 そう話すとアドンはジョセフを優しく抱きしめていた。ジョセフもまた力強くアドンを抱きしめた。
しおりを挟む

処理中です...