少年館

その意思を受け継いで59

　「アドンー！！！久しぶりだなーー！！」

 ドイツ軍の軍服を着た男に突如呼び止められたアドンは何がなんだかわからなかった。しかし、その軍服を着た男の顔をよーく見るとどこか見覚えのある顔に気付く。

　「き、貴様、マリオットだな？しまった・・」

 "パーン！パーン！！"

 2発の銃声が通りに響く、アドンはその場に前のめりに倒れこむ。

　「こいつめめめ！！こいつめめえええ！！！死ねーーーい！！！！」

 "パーン！！パーン！！パーン！！パーン！！"

 全ての弾は無惨にもアドンの腹や胸、そして背中に全て命中した。アドンはピクリとも動かない。ミートボールのシチューを入れた大きな水筒は地面に落ち、開いた蓋の中身から辺りに流れ込んだ。

　アドンは薄れゆく意識の中で、ジョセフの優しい笑顔を見ていた。
　
　「ジョフ・・ごめんな・・幸せに・・・」

 アドンは最後にジョセフの笑顔を思い浮かべながら息を引き取った。


　「まずいぞ、人がたくさん出てきた。ひとまず引くぞ？マリオット少佐を抱えて車まで連れていけ。」
 
アンゲラ大尉は部下に放心状態のマリオットを抱えさせハーフトラックに運ばせ、自らもその場から一旦撤退した。