Project LUNO

二宮透

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一章 砂漠

1 砂を歩く二人

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ー オルソ歴 2107年5月 ー



人影が二つ、ゆらゆらと近付いてくる。


影の輪郭から察するにどちらも少女のようだ。


揺れているのは砂漠の熱のせいだろうか。


「あうー......」


前を歩いている、金髪の少女の口から思わずだらしない声がこぼれる。


日差しの弱まる時間帯を見計らって歩を進めているが、それでも喉が渇き、意識が朦朧もうろうとする。


「......あつい」


少女はすっかりフラフラになってしまった。


普段は明るく快活な彼女だが、初めての事態にまず体がついてこない。


その後ろ姿を、また同じ年ほどの少女が涼しげな顔でながめていた。


フードの中から黒髪とつぶらな瞳がのぞく。


「なんだルーノ、もうへばったの?」


『こんなところで諦めるなんて、あなたの決意はその程度だったの?
 そんなものなのルーノ?』


などとは欠片かけらほども思っていないだろうが、感情を表に出さないドライな物言いが金髪の少女ルーノをチクリと刺す。


「そ、そんなことないよ! まだまだ!」


そうだ。この先に私達の旅の目的、その大きな第一歩があるのだ。


ルーノは途切れかけた意識をたたき起こし、再び前へ歩みをはじめた、はずだった。


「まだまだ、いけ...る......」


段々と景色が傾いていく。


次の瞬間視界は完全に真っ暗になり、ルーノは砂のベッドにダイブしてしまった。


「ちょっと......そういう冗談はあんまり......」


「......」


返事がない。


「......大変」


慌ててミズキは倒れたルーノへ駆け寄った。
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