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第一章
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しおりを挟む「もう遅いから寝なさい
灯りを消すぞ」
「はーい」
大人しく横になると灯りが消され、真っ暗になる
明日の事ばっかり考えてて、すっかり忘れてた
シリルの様子を確認しながら
明日の事も考えなきゃ
考えなきゃいけないのに、どうしても隣のベッドが
気になってしまい、集中できない
シリルは眠っただろうか
耳を澄ませてみるけど、ただ静かなだけで
よくわからない
これ、どうやって寝てるか確認できるんだろう?
思いつかない…
焦ってもしょうがないかと目を閉じる
今日もいろいろあったな
二度も泣いた事を思い出し、羞恥に襲われる
一人じゃないのが辛い!
身悶えるわけにもいかず、ただ耐えるしかない
「カミュ、眠れないのか?」
「あっ、ごめん
うるさかった⁉︎」
我慢したつもりだったけど、できてなかったのかと
ヒヤリとする
「いや、そうではないが
カミュこそ私が気になるのなら
隣で寝るが」
「全っ然、平気!
ただ、昼寝しすぎて寝れないだけ」
出ていかれたら、逆に困る
「ならいいが」
変なタイミングで声をかけられたから
心臓がバクバクいっている
一人で寝ていたら、こんなに悩まずに動けたのに
そう思うと、シリルとこんなふうに話すのも
最後かもしれないと気がついた
「なんか、新鮮だね」
「ん?」
「こうやって、二人で横になったまま話した事
あったっけ?」
いつもなら具合の悪い僕を、看病してもらっているから、二人で横になる事がなかった
「・・そうだな」
だからかな、いつもより口が軽くなったのは
「ロウは、ディーと話すの辛くない、かな…」
シリルが寝返りをうったのか、衣擦れの音がする
僕は動かず、真っ暗な天井を見上げたまま
返事を待った
「辛くない訳じゃないだろうな」
「そうだよね…
でも、せっかく再会できたんだし
仲良くできないかな?」
「確執がある様だからな…
時間をかければ、わだかまりも解消して
いくんじゃないか?」
早く、なんとかしたいんだよなぁ
「なんかお互いに思いやり合うせいで
すれ違ってるのかなって思ったら
なんだかもどかしくて」
「そう感じるのならば無理に何かしなくても
いいと思うが…
どうしても何かしたいのであれば
カミュ自身が仲良くなれば
いいんじゃないか?」
「無理だよ…」
僕、今なんて言った⁉︎
思わず本音がこぼれてしまい、焦って言葉を紡ぐ
「あ、だって…
あの二人はいずれいなくなるし
仲良くなったら、別れが辛くなるし…」
どうせ僕はいなくなる
こぼれそうになる本音を必死に飲み込み
おかしくない様に言い訳をする
誤魔化せただろうか…
心臓がドクドクと嫌な音を立てる
これ以上、おかしな事を言わない様に
両手で口を塞いだ
今日の僕はおかしい
いつもなら、我慢できるのに
感情が抑えられない
シリルに、これ以上追求されたらどうしよう
また、ポロッと本音をこぼしてしまうかもしれない
そうしたらきっと、嫌われる…
恐怖で頭が一杯になった
「・・さっき、カミュは新鮮だと言ったが
私は懐かしいと思った」
「え?」
突然変わった話題に思わず声が出た
「カミュがまだ、この領地に来たばかりの頃
よく、一緒に寝ていただろう?」
「そう、だっけ?」
真っ暗でシリルの顔が見えないから
なぜそんな話を始めたのかと不安になる
「あまり覚えてないか…
眠るまで、絵本を読んだりしたんだぞ」
そんな事があっただろうか?
ここに来てからは、ロウがずっといてくれてたと
思ってたんだけど…
「すぐにロウに盗られたがな」
「そう、だったんだ…」
なんで覚えてないんだろう?
「言われた事をただこなすだけだったロウが
カミュの面倒だけは、自主的にやるように
なったんだ
無気力、無表情だったロウがぎこちなく
笑いかけた時は、グレンが感動していたな」
「えっ⁉︎」
ロウが無気力⁉︎
無表情とか、想像できないんだけど!
さっきまでの不安が、あっという間に吹き飛んだ
「私達が来たばかりの頃は、誰かの後ろについて
出された指示をこなすだけだったが
これも覚えてないか?」
「覚えてない…」
信じられなくて、呆然と呟いた
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