3 / 41
第一章 芽生え
特別な日
しおりを挟む
ミヤのしてくれる話は城から出ることのないリウにとってとても新鮮に感じるものだった。
話は、城下にある街のことが殆どだった。道端に綺麗な花が咲いていたこと、果物屋の娘の歌が綺麗なこと、旅芸人に聞いた他国の話、面白い話、驚いた話、それはそれは沢山話してくれた。どれだけ聞いても聞き足らず、また、同じ話題が上がることもないくらい、様々な話をしてくれていた。
「城下には私の知らないものが沢山あるんだね…私も行ってみたいなあ…」
城下の話を聞く度にリウがそう言うのでその度にミヤも
「そうですね、いつか、ご案内したいです」
そんなふうに返してくれるので、リウは、いつかまだ見ぬ城下へ出掛けられることを楽しみにしていた。しかし、リウには国王命令として【城から出てはいけない】という命令が出ていた。そのため、出かけることを楽しみにしつつも、心のどこかで諦めもついていた。
それ故に、ミヤが来てくれた日は自分の知らない城下の話を聞くことが出来る特別な日で、リウはミヤが来てくれるのを心待ちにしている。
「それにしても、ここには本当に沢山の花が咲いているのですね」
ミヤが庭を見回しながら呟いた。それを聞いてリウは話に夢中になって、昨日咲いた花を見せるのを忘れていたことを思い出す。
「そうだ、ミヤ!こっちこっち!」
再びミヤの手を引いて、庭を歩く。道中に咲いてる花を見ながら、あの花はもうすぐ咲く、この花は庭師のお気に入り、あっちの花は夕方に見るととても綺麗、そっちの花はミヤに似合いそう、そんなふうに話していると目的の花壇の前に着いた。
「このお花は私が育てたんだよ!」
自慢げにリウが示す先には小さな五弁の花が三輪、サーモンピンクの花弁を風に揺らしながら咲いていた。
「リウ様が…?」
ミヤが驚いたような声を上げてリウの方へ向き直った。その反応が嬉しくて、リウはさらに続ける。
「うん!レリィが種をくれたの。三輪しか咲かなかったんだけど‥‥でも、綺麗でしょう?」
「ええ、とても。それに、リウ様の髪色と同じなんですね、可愛らしいと思いますよ」
ミヤが花のことを言ったのだと分かってはいるものの、なんとなく、自分のことを言ってもらえたような気がして、少し気恥ずかしくなる。目を合わせるのも恥ずかしく下を向きぽつりと「ずるい」と呟けば、ミヤがくすくすと笑う声が聞こえた。
こんなふうに笑いながら話す時間が、リウはとても大好きだった。けれど、時間は無情にも過ぎ去っていく。
カラーンカラーンカラーン。日没を告げる鐘が鳴り、先程まで金色に輝いていた太陽は赤く染まる。少しずつ、空に星が瞬き始めた。
「もうこんな時間ですか…」
帰ろうと立ち上がるミヤの服を無意識に掴んだ。少しミヤがバランスを崩すもなんとか踏みとどまった。
「リウ様…?…何故貴女が驚いた顔をなさってるんです?」
リウ自身、ミヤの服を掴んだことに驚き、丸い目を見開いていた。
「なんで、かな、わかんない」
リウが首を傾げながら掴んでいた手を離すと、ミヤはその手を取ってリウに跪く。
「また、城へ伺わせてもらってもいいですか?」
ミヤはそう問いかけるとふわりと優しく微笑んだ。沈んでいく夕陽に、色素の薄いミヤの髪がキラキラと輝いて、それはそれはとても綺麗な微笑みだった。
「もちろん!またお話を聞かせてね!」
ミヤが帰ったあと、シュレアに今日聞いた話を話した。
「楽しい1日になって良かったですね」
「うん!」
話はリウが寝付くまで続いたのであった。
話は、城下にある街のことが殆どだった。道端に綺麗な花が咲いていたこと、果物屋の娘の歌が綺麗なこと、旅芸人に聞いた他国の話、面白い話、驚いた話、それはそれは沢山話してくれた。どれだけ聞いても聞き足らず、また、同じ話題が上がることもないくらい、様々な話をしてくれていた。
「城下には私の知らないものが沢山あるんだね…私も行ってみたいなあ…」
城下の話を聞く度にリウがそう言うのでその度にミヤも
「そうですね、いつか、ご案内したいです」
そんなふうに返してくれるので、リウは、いつかまだ見ぬ城下へ出掛けられることを楽しみにしていた。しかし、リウには国王命令として【城から出てはいけない】という命令が出ていた。そのため、出かけることを楽しみにしつつも、心のどこかで諦めもついていた。
それ故に、ミヤが来てくれた日は自分の知らない城下の話を聞くことが出来る特別な日で、リウはミヤが来てくれるのを心待ちにしている。
「それにしても、ここには本当に沢山の花が咲いているのですね」
ミヤが庭を見回しながら呟いた。それを聞いてリウは話に夢中になって、昨日咲いた花を見せるのを忘れていたことを思い出す。
「そうだ、ミヤ!こっちこっち!」
再びミヤの手を引いて、庭を歩く。道中に咲いてる花を見ながら、あの花はもうすぐ咲く、この花は庭師のお気に入り、あっちの花は夕方に見るととても綺麗、そっちの花はミヤに似合いそう、そんなふうに話していると目的の花壇の前に着いた。
「このお花は私が育てたんだよ!」
自慢げにリウが示す先には小さな五弁の花が三輪、サーモンピンクの花弁を風に揺らしながら咲いていた。
「リウ様が…?」
ミヤが驚いたような声を上げてリウの方へ向き直った。その反応が嬉しくて、リウはさらに続ける。
「うん!レリィが種をくれたの。三輪しか咲かなかったんだけど‥‥でも、綺麗でしょう?」
「ええ、とても。それに、リウ様の髪色と同じなんですね、可愛らしいと思いますよ」
ミヤが花のことを言ったのだと分かってはいるものの、なんとなく、自分のことを言ってもらえたような気がして、少し気恥ずかしくなる。目を合わせるのも恥ずかしく下を向きぽつりと「ずるい」と呟けば、ミヤがくすくすと笑う声が聞こえた。
こんなふうに笑いながら話す時間が、リウはとても大好きだった。けれど、時間は無情にも過ぎ去っていく。
カラーンカラーンカラーン。日没を告げる鐘が鳴り、先程まで金色に輝いていた太陽は赤く染まる。少しずつ、空に星が瞬き始めた。
「もうこんな時間ですか…」
帰ろうと立ち上がるミヤの服を無意識に掴んだ。少しミヤがバランスを崩すもなんとか踏みとどまった。
「リウ様…?…何故貴女が驚いた顔をなさってるんです?」
リウ自身、ミヤの服を掴んだことに驚き、丸い目を見開いていた。
「なんで、かな、わかんない」
リウが首を傾げながら掴んでいた手を離すと、ミヤはその手を取ってリウに跪く。
「また、城へ伺わせてもらってもいいですか?」
ミヤはそう問いかけるとふわりと優しく微笑んだ。沈んでいく夕陽に、色素の薄いミヤの髪がキラキラと輝いて、それはそれはとても綺麗な微笑みだった。
「もちろん!またお話を聞かせてね!」
ミヤが帰ったあと、シュレアに今日聞いた話を話した。
「楽しい1日になって良かったですね」
「うん!」
話はリウが寝付くまで続いたのであった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる