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第七章 散りゆく
対話
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リウの呼び出しに、客室へ現れたのは薬売りのハチであった。彼女はひとりで呼び出されたことに不安を感じている様子で、先程からソワソワと落ち着きがない。
「急に呼び出してごめんね」
いつもと変わらない声のトーンに少し安心したのか、ハチの表情が和らぐ。
「いえ、それで、用件というのは…?」
「これ、見覚えあるかな」
リウはそう言って、ハチに黄色い花を見せた。ハチ不思議そうな表情を浮かべて答える。
「ヤソミリの花ですね、以前兄さんが姫様から頂いたものと同じものですよね?それがどうかいたしましたか?」
「この花で薬を作ってほしいの」
そう言うとハチは驚いた表情でリウを見ると言葉を紡ぐ。
「ほ、本気ですかリウ様!?これの作用は以前兄さんがお話したのを覚えていらっしゃいますよね、これは、この花は」
「わかってる、毒薬、でしょう?」
わかってるよ、そう最後につぶやくように付け足すと、ハチは焦ったような、困惑したような、けれど、どう言葉にすれば良いのか分からないようで、ただ空気を取り込む魚のように口をパクパクと動かす。
「お願い、貴女にしか頼めないの。お願い…」
そう懇願するうちにだんだんと胸のうちから何かが溢れ、涙が零れる。最後の方は消え入りそうなくらい小さく、絞り出したような声になった。
ハチはまだ決心がつかないようで、泣きそうな表情でリウを見ていた。そして口を開く。
「使用用途を、聞いてもいいですか」
「それは、言えない」
そもそもハチには関係の無い問題なのだ。それをこれ以上、巻き込むわけにはいかないと、リウは口を閉ざす。それを見たハチが更に問う。
「これは小さいですが猛毒です。この花の成分をほんの1滴でも摂取すれば、命の危険に晒されます。簡単に命を奪えてしまうものなんです。」
そこまで言い切ると、一呼吸おいて続ける。
「姫様、まだ引き返せます。どうか、考えを改めては頂けませんか」
ハチが真っ直ぐな視線を向ける。しかし、その視線はリウの心に届かない。
「これは直下命令よ。誰にも知られないよう、速やかに作りなさい」
命令を下すということは、ハチに反論の余地はなかった。これに背くことは許されない。
その後、ハチは城の薬室に通された。そこには1通りの薬作りに必要な物が揃えられている。
「姫様、やはり、こんなこと…」
「できるだけ早く作ってね。じゃなければ、ナナを呼ばなきゃいけなくなる」
それは兄を大切に思うハチにとって脅迫であった。確かにナナの手にかかれば、この程度の毒はすぐに出来てしまう。しかし、ハチはできる限り、ナナに毒を作らせることはしたくない。
ならば、とハチが1つ、心に決めると、ああそうだ、とリウがハチの手をとる。
「間違っても偽物の薬を渡したり、解毒薬を作ったりしないでね」
リウに心のうちを読まれたようで、ゾッとハチの背筋を寒気が走る。そもそも、この量では毒薬を作っても解毒薬を作るには足りない。それならば睡眠薬か何かを適当に見繕い手渡そうとしていたのだ。逃げ場は、ない。あったとしても、今のハチの焦りきった思考では見つからない。
「わかり、ました」
ハチはそう言って震える手で薬を、毒薬を作り始めた。
「完成、しました」
「ありがとう、さすがハチだね!」
どれ位時間がたっただろうか。完成した毒薬を受け取るリウの笑顔は、いつも通りの無邪気な笑顔で、その気味悪さにハチは恐怖を感じる。
「どうしても、辞めていただくことはできませんか」
「ごめんね、それは出来ないや」
リウはそう言いながら笑って、シュレアを呼ぶ。
「ばいばい、またね」
「ハチ様、こちらへどうぞ」
シュレアに引き連れられ、ハチはその部屋を後にした。
「急に呼び出してごめんね」
いつもと変わらない声のトーンに少し安心したのか、ハチの表情が和らぐ。
「いえ、それで、用件というのは…?」
「これ、見覚えあるかな」
リウはそう言って、ハチに黄色い花を見せた。ハチ不思議そうな表情を浮かべて答える。
「ヤソミリの花ですね、以前兄さんが姫様から頂いたものと同じものですよね?それがどうかいたしましたか?」
「この花で薬を作ってほしいの」
そう言うとハチは驚いた表情でリウを見ると言葉を紡ぐ。
「ほ、本気ですかリウ様!?これの作用は以前兄さんがお話したのを覚えていらっしゃいますよね、これは、この花は」
「わかってる、毒薬、でしょう?」
わかってるよ、そう最後につぶやくように付け足すと、ハチは焦ったような、困惑したような、けれど、どう言葉にすれば良いのか分からないようで、ただ空気を取り込む魚のように口をパクパクと動かす。
「お願い、貴女にしか頼めないの。お願い…」
そう懇願するうちにだんだんと胸のうちから何かが溢れ、涙が零れる。最後の方は消え入りそうなくらい小さく、絞り出したような声になった。
ハチはまだ決心がつかないようで、泣きそうな表情でリウを見ていた。そして口を開く。
「使用用途を、聞いてもいいですか」
「それは、言えない」
そもそもハチには関係の無い問題なのだ。それをこれ以上、巻き込むわけにはいかないと、リウは口を閉ざす。それを見たハチが更に問う。
「これは小さいですが猛毒です。この花の成分をほんの1滴でも摂取すれば、命の危険に晒されます。簡単に命を奪えてしまうものなんです。」
そこまで言い切ると、一呼吸おいて続ける。
「姫様、まだ引き返せます。どうか、考えを改めては頂けませんか」
ハチが真っ直ぐな視線を向ける。しかし、その視線はリウの心に届かない。
「これは直下命令よ。誰にも知られないよう、速やかに作りなさい」
命令を下すということは、ハチに反論の余地はなかった。これに背くことは許されない。
その後、ハチは城の薬室に通された。そこには1通りの薬作りに必要な物が揃えられている。
「姫様、やはり、こんなこと…」
「できるだけ早く作ってね。じゃなければ、ナナを呼ばなきゃいけなくなる」
それは兄を大切に思うハチにとって脅迫であった。確かにナナの手にかかれば、この程度の毒はすぐに出来てしまう。しかし、ハチはできる限り、ナナに毒を作らせることはしたくない。
ならば、とハチが1つ、心に決めると、ああそうだ、とリウがハチの手をとる。
「間違っても偽物の薬を渡したり、解毒薬を作ったりしないでね」
リウに心のうちを読まれたようで、ゾッとハチの背筋を寒気が走る。そもそも、この量では毒薬を作っても解毒薬を作るには足りない。それならば睡眠薬か何かを適当に見繕い手渡そうとしていたのだ。逃げ場は、ない。あったとしても、今のハチの焦りきった思考では見つからない。
「わかり、ました」
ハチはそう言って震える手で薬を、毒薬を作り始めた。
「完成、しました」
「ありがとう、さすがハチだね!」
どれ位時間がたっただろうか。完成した毒薬を受け取るリウの笑顔は、いつも通りの無邪気な笑顔で、その気味悪さにハチは恐怖を感じる。
「どうしても、辞めていただくことはできませんか」
「ごめんね、それは出来ないや」
リウはそう言いながら笑って、シュレアを呼ぶ。
「ばいばい、またね」
「ハチ様、こちらへどうぞ」
シュレアに引き連れられ、ハチはその部屋を後にした。
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