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「おいこの餓鬼。早く飯を作れ」
男はそういうと、ヴィルの背中を蹴飛ばします。ヴィルは背中の痛みに耐えながら、立ち上がり、きっと男を睨みつけてから台所へ向かいました。
この頃、ヴィルはもう17歳になっておりました。ほぼ男の家に監禁状態で、外に出ることは一週間に一度、夜中に川の水を汲みに行く程度でした。
自分がこの男の手の中にあるうちは、ライアやおじいさんおばあさんへの被害は食い止められているはずだと、ヴィルはそれだけを心の頼りに、日々を過ごしておりました。
一方ライアは美しい髪を長く伸ばし、とうとう地につくほどになりました。ヴィルが無事でありますようにと願掛けし伸ばし続けた髪。ライアはその髪を頭の高い位置でひとまとめにし、おばあさんが結ってくれた組紐で縛りました。
あの日から、ライアたちの元へ男が来ることはなく、しかし、男がいつ来るかも分からない日々に怯えて生活をしておりました。
そんな日々に疲れ、とうとうおじいさんは体を壊してしまいました。おばあさんはおじいさんの看病に追われ、ライアもその手伝いをしておりました。日に日に衰弱していくおじいさんと、おばあさんを見ながら、ライアはいつも思うのです。あの男さえいなければと。
ある晩、ライアは水汲みに出かけました。お金のない生活をしておりましたので、もちろん靴などなく、裸足で尖った石も落ちている道を進みます。川についた頃には、足の切り傷に血が滲み、ライアはその他を川の水で荒いながして、近くの葉で止血をしてから川の水を汲み始めました。
ちょうどその日、ヴィルもまた、水汲みを命じられ、川まで来ておりました。ヴィルは自分以外にも川で水を汲んでいる人に会うと帰ってから『遅い』と殴られるので、他の誰かの水汲みの音だけは聞こえておりましたが、誰がいるのかは分からないまま、さっさと水を汲んで帰ろうとしておりました。
そんなヴィルの耳に懐かしい声が届きます。
「ヴィル…?」
「ライア…」
2人は幾年ぶりかの再会を果たしたのです。
男はそういうと、ヴィルの背中を蹴飛ばします。ヴィルは背中の痛みに耐えながら、立ち上がり、きっと男を睨みつけてから台所へ向かいました。
この頃、ヴィルはもう17歳になっておりました。ほぼ男の家に監禁状態で、外に出ることは一週間に一度、夜中に川の水を汲みに行く程度でした。
自分がこの男の手の中にあるうちは、ライアやおじいさんおばあさんへの被害は食い止められているはずだと、ヴィルはそれだけを心の頼りに、日々を過ごしておりました。
一方ライアは美しい髪を長く伸ばし、とうとう地につくほどになりました。ヴィルが無事でありますようにと願掛けし伸ばし続けた髪。ライアはその髪を頭の高い位置でひとまとめにし、おばあさんが結ってくれた組紐で縛りました。
あの日から、ライアたちの元へ男が来ることはなく、しかし、男がいつ来るかも分からない日々に怯えて生活をしておりました。
そんな日々に疲れ、とうとうおじいさんは体を壊してしまいました。おばあさんはおじいさんの看病に追われ、ライアもその手伝いをしておりました。日に日に衰弱していくおじいさんと、おばあさんを見ながら、ライアはいつも思うのです。あの男さえいなければと。
ある晩、ライアは水汲みに出かけました。お金のない生活をしておりましたので、もちろん靴などなく、裸足で尖った石も落ちている道を進みます。川についた頃には、足の切り傷に血が滲み、ライアはその他を川の水で荒いながして、近くの葉で止血をしてから川の水を汲み始めました。
ちょうどその日、ヴィルもまた、水汲みを命じられ、川まで来ておりました。ヴィルは自分以外にも川で水を汲んでいる人に会うと帰ってから『遅い』と殴られるので、他の誰かの水汲みの音だけは聞こえておりましたが、誰がいるのかは分からないまま、さっさと水を汲んで帰ろうとしておりました。
そんなヴィルの耳に懐かしい声が届きます。
「ヴィル…?」
「ライア…」
2人は幾年ぶりかの再会を果たしたのです。
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