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男が動かなくなって、ライアとヴィルは叫びました。「誰か来てくれ」と。
そこに駆けつけた村人に、涙を流しながら言います。
「帰ったら、こいつに…襲いかかられて…近くにあったナイフで抵抗したら…動かなくなっちゃって…」
「私たち、怖くて…それで…」
2人を咎める者は誰一人としておらず、泣き震える2人は村人により、おじいさん、おばあさんの家に送り届けられました。
「ああ、辛かったね…もう大丈夫だから」
おばあさんはそう言って2人を抱きしめます。おじいさんは後ろから目に浮かべた涙を零さないようにして、その光景を眺めていました。
「夜明けとともにここを発ちなさい」
おばあさんが2人にそう話します。
「どうして…?やっとみんなで揃って過ごせるのに」
ライアは悲しそうに答えますが、ヴィルは目を伏せてゆっくり頷き言いました。
「あの男は、あれで力を持っていた。大きな街とも親交があったそうだ」
「そんな…」
ヴィルを見つめる瞳は涙を浮かべていました。おばあさんはそんなライアの肩に手を置き言います。
「ライア…あなたが私たち夫婦の元へ来てくれて嬉しかったわ…血の繋がりはないけれど、あなたは私達の家族よ」
「おばあさん…っ」
とうとうライアの涙は溢れ出し、頬を濡らします。おばあさんに抱きつき、大きな声で泣くライアを、ヴィルは静かに見つめていました。
「ヴィル、あなたもよ」
「…」
「確かに、最初からうちに来た訳じゃないけれど、それでも、ライアもあなたも、私達夫婦にとってかけがえのない家族で宝物なのよ」
「そうじゃな…」
おばあさんの話に同意を述べようと、おじいさんが床から起き上がり、声をかけました。
「ライア、ヴィル、わしらの家に来てくれてありがとう。お前達が居たから、この大したことの無い人生も、輝いたよ」
おじいさんがその言葉を言い終える頃には、ヴィルの頬も涙に濡れておりました。
「ヴィル、お前は遠慮しいじゃから…ほれ、こんな時くらい、何か言ったらどうじゃ」
「おじ、いさ…」
ヴィルは嗚咽混じりに言葉を紡ごうとしますが、どうにも言葉が出てきません。
「あり…ありが、とうっござい、ました」
ようやく出てきたのは謝礼の言葉。おじいさんはそれを聞いて笑いました。
「全く、お前は、小さい頃から変わらんな」
地平線に太陽が顔を見せ始めました。
2人は夫婦にとって別れを告げ、森の方へと歩みました。遠く、遠くへと。
そこに駆けつけた村人に、涙を流しながら言います。
「帰ったら、こいつに…襲いかかられて…近くにあったナイフで抵抗したら…動かなくなっちゃって…」
「私たち、怖くて…それで…」
2人を咎める者は誰一人としておらず、泣き震える2人は村人により、おじいさん、おばあさんの家に送り届けられました。
「ああ、辛かったね…もう大丈夫だから」
おばあさんはそう言って2人を抱きしめます。おじいさんは後ろから目に浮かべた涙を零さないようにして、その光景を眺めていました。
「夜明けとともにここを発ちなさい」
おばあさんが2人にそう話します。
「どうして…?やっとみんなで揃って過ごせるのに」
ライアは悲しそうに答えますが、ヴィルは目を伏せてゆっくり頷き言いました。
「あの男は、あれで力を持っていた。大きな街とも親交があったそうだ」
「そんな…」
ヴィルを見つめる瞳は涙を浮かべていました。おばあさんはそんなライアの肩に手を置き言います。
「ライア…あなたが私たち夫婦の元へ来てくれて嬉しかったわ…血の繋がりはないけれど、あなたは私達の家族よ」
「おばあさん…っ」
とうとうライアの涙は溢れ出し、頬を濡らします。おばあさんに抱きつき、大きな声で泣くライアを、ヴィルは静かに見つめていました。
「ヴィル、あなたもよ」
「…」
「確かに、最初からうちに来た訳じゃないけれど、それでも、ライアもあなたも、私達夫婦にとってかけがえのない家族で宝物なのよ」
「そうじゃな…」
おばあさんの話に同意を述べようと、おじいさんが床から起き上がり、声をかけました。
「ライア、ヴィル、わしらの家に来てくれてありがとう。お前達が居たから、この大したことの無い人生も、輝いたよ」
おじいさんがその言葉を言い終える頃には、ヴィルの頬も涙に濡れておりました。
「ヴィル、お前は遠慮しいじゃから…ほれ、こんな時くらい、何か言ったらどうじゃ」
「おじ、いさ…」
ヴィルは嗚咽混じりに言葉を紡ごうとしますが、どうにも言葉が出てきません。
「あり…ありが、とうっござい、ました」
ようやく出てきたのは謝礼の言葉。おじいさんはそれを聞いて笑いました。
「全く、お前は、小さい頃から変わらんな」
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2人は夫婦にとって別れを告げ、森の方へと歩みました。遠く、遠くへと。
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