24 / 118
信じられない話
しおりを挟む
音を立てて立ち上がる。
ちょっと待って、はあ!?待って待って待って、訳分かんない。
「あ、あれ、嘘じゃないの!?」
「いやいやいや、あの状況だからってさすがにあんな無理のある嘘はつかないよ。ほんとのこと」
そ、そんなわけ……だってもう十年以上一緒にいるのだ。学生時代なんて寮で同じ部屋だったし……。
私の知っているクリスは女だ!
「……信じてないでしょ」
「わたくし、自分の目で見たことしか信じないの。わたくしの知っているクリスはずっと女の子でしたわ」
クリスは深いため息をついた。
「じゃあ何、脱いだら信じてくれるの?」
「いや、まあ、そうね」
そりゃ見るのが早いだろうけど。なんて思っていると、クリスはすぐに脱ぎ始めた。
え、いやいやいや、ちょっと待って、それは流石に……!
止めようと手を伸ばすと、クリスは私の手首をぐいと引っ張った。
「ほら!」
私の手ははだけたクリスの胸に。確かにそこには柔らかさはなかった。下着の上からでもはっきりと分かった。
いや、そんなわけない。着替え中に目に入ることはあったが、そこには確かに膨らみがあったはずだ。直接は見たことないけど。
「普段は詰め物してるの。それにしても、気付かないなとは思ってたけど、こうして話しても信じてもらえないとは……」
なかなか状況が飲み込めなくてポカンとする私。
え、じゃあ初めて会ったあの時からもう十四年くらい。私、ずっと知らなかったの?
「あの、殿下や皆様はご存知で……?」
「もちろん。私の周りではエレナだけじゃないかな」
……だからユリウス殿下はやけにクリスに対して当たりがキツかったのか。
なんで誰も教えてくれないのよ……!
「皆して面白がってたんです?」
「お前が聞かなかったんだろう」
ヘンドリックお兄様はしれっと言った。
「クリスって本当に女の子なんですか?なんて聞くわけないでしょう!わたくしよりも可愛いのに……!」
実はかなり悔しい。クリスが私よりも可愛いことは別に何とも思っていなかった。だけどそれはクリスが女の子だと思っていたからで……私よりも可愛い男なんて信じたくないよ!
「何も聞かなくても気付く人はいた」
「例えば誰ですか!」
「クルトと殿下かな」
応えたのはヨハンだった。クルトお兄様と殿下って言うのは、多分ユリウス殿下だよね。
「クリスのことは一部には結構有名だからね。陛下もそれを認めてるし。まあ近しい人はほとんど皆知ってるよね」
「ごめん、エレナ。でも事情があるんだよ」
「事情があるのでも、趣味でも別にいいわ。問題はわたくしだけが知らなかったことよ」
クリスがうっと言葉に詰まった。誤魔化そうとしたのに出来なかったから困ったのだろう。
「……ごめん。でもさ、皆が私を変な目で見る中で、エレナが女の子として接してくれたのって実は結構嬉しかったんだよ。私、物心ついたときからどっちつかずだったし」
そんな風に言われたらもう怒ることもできない。確かにクリスだって微妙な立ち位置で悩むこともあっただろう。
「一応言っておくけど、エレナのことを変な目で見たことはないからね……!着替えだって見ないようにしてたし!同じ部屋で寝ても何もしてないからね!」
「分かってるわよ。わたくしだってそういう目で見られたら気付くもの」
……多分。心の中で付け加えるが、ヘンドリックお兄様は鼻で笑った。
「……なんですか?」
「別に。十年以上一緒にいて全く気が付かないお前が、そんな視線に気付くとは思えないなと思っただけだ」
……反論できない。
「まあいいわ。クリスが実は男だって知っても、わたくし態度を変えるつもりはないわよ。それでいいのよね?」
クリスが頷く。しかしまあ自分の鈍感具合には呆れるわ。
「それから、昨日のようなことがあっても、もうクリスだけ置いて逃げたりはしないわ。男だからって置いて行っていい理由にはならないもの」
特にクリスのようなかわいい男の娘というのはある階層ではとても需要があるのだから。とは言わないけど。
「……うん、ごめん」
「分かればいいのよ」
こうして無事に戻ってくれたし、もう過ぎた話だ。それよりこれからの話。話が逸れてしまった。
「それで、わたくしはどんな顔して殿下に会えばいいのかしら?」
「どんな顔も何も、今晩にでも殿下のベッドで待ってたらいいんじゃない?」
「なっ……!」
べ、べ、べ、ベッドで!?
「……クリス」
ヨハンが咎めるようにクリスの名前を呼ぶ。クリスは不満そうに唇を尖らせた。
「いや、だってさ、それが一番早いじゃん。殿下がエレナのことを嫌いになるわけがないんだから。二人で愛を育んで、その後にゆっくり話でもしたらいいんじゃないの?」
ないないないない!無理無理無理無理!簡単に言わないでよ!!
「エレナだって殿下のこと好きだって分かったんでしょ?じゃあ問題ないじゃん。あんまり待たせ過ぎて殿下が外で遊んできても知らないよ。もう遅いかもしれないけど」
「そ、れは……」
確かに殿下だって男の人だ。女の人が欲しい夜だっているかもしれない。そしたらきっとよりどりみどりだ。
……嫌だ。
「ほら、嫌でしょ?じゃあもう行動あるのみだよ。大丈夫、殿下だって据え膳用意したら食わないわけないよ」
「クリス」
再度注意されるクリス。確かにちょっと言葉が率直すぎる。
「確かにそれが手っ取り早い。殿下の機嫌もすぐになおるだろう」
ヘンドリックお兄様までそんなことを言い出す始末。私は言わずにはいられなかった。
「……実の妹に対して、どのような気持ちでそのようなことが口にできるのでしょう?」
お兄様は無言で視線を逸らした。ほんと、この人は。冷たいけどデリカシーはあったはずなんだけど。
「大体、簡単に言いますけれど、皆様女性とそのような経験はあるのです?」
アリアがコホンと咳払いをした。自分がとんでもないことを聞いたのは分かる。だけど、口だけで気軽に言われるのはとても腹が立つのだ。
クリスは視線を逸らした。ヘンドリックお兄様は何も言わない。ヨハンは苦笑を浮かべる。
……クリスはないんじゃないの。後の二人はどっちか分からない。さすが兄達は隠すのがうまい。
「クリス、そういうことはまず自分が経験してから言ってちょうだい。そしたらわたくしだって考えるわ。どうぞ、今晩にでも婚約者様のお部屋に……」
そこまで言って言葉を切る。ヘンドリックお兄様に睨まれていたから。いや、でもそのくらいは言わせて欲しい。
「ご、ごめんなさい」
クリスが絶対に無理だと言いたそうな顔で謝った。
「……悪かった」
ヘンドリックお兄様は心底嫌そうな顔で言った。よしよし、自分がいかにデリカシーのないことを言ったのか気が付いたようだ。
「デリカシーのない殿方は嫌われますわよ。ヨハン様を見習ってくださいませ」
私はにっこりと笑ってそう言った。解決策は何も出てないけど、勝った気分だ。
ちょっと待って、はあ!?待って待って待って、訳分かんない。
「あ、あれ、嘘じゃないの!?」
「いやいやいや、あの状況だからってさすがにあんな無理のある嘘はつかないよ。ほんとのこと」
そ、そんなわけ……だってもう十年以上一緒にいるのだ。学生時代なんて寮で同じ部屋だったし……。
私の知っているクリスは女だ!
「……信じてないでしょ」
「わたくし、自分の目で見たことしか信じないの。わたくしの知っているクリスはずっと女の子でしたわ」
クリスは深いため息をついた。
「じゃあ何、脱いだら信じてくれるの?」
「いや、まあ、そうね」
そりゃ見るのが早いだろうけど。なんて思っていると、クリスはすぐに脱ぎ始めた。
え、いやいやいや、ちょっと待って、それは流石に……!
止めようと手を伸ばすと、クリスは私の手首をぐいと引っ張った。
「ほら!」
私の手ははだけたクリスの胸に。確かにそこには柔らかさはなかった。下着の上からでもはっきりと分かった。
いや、そんなわけない。着替え中に目に入ることはあったが、そこには確かに膨らみがあったはずだ。直接は見たことないけど。
「普段は詰め物してるの。それにしても、気付かないなとは思ってたけど、こうして話しても信じてもらえないとは……」
なかなか状況が飲み込めなくてポカンとする私。
え、じゃあ初めて会ったあの時からもう十四年くらい。私、ずっと知らなかったの?
「あの、殿下や皆様はご存知で……?」
「もちろん。私の周りではエレナだけじゃないかな」
……だからユリウス殿下はやけにクリスに対して当たりがキツかったのか。
なんで誰も教えてくれないのよ……!
「皆して面白がってたんです?」
「お前が聞かなかったんだろう」
ヘンドリックお兄様はしれっと言った。
「クリスって本当に女の子なんですか?なんて聞くわけないでしょう!わたくしよりも可愛いのに……!」
実はかなり悔しい。クリスが私よりも可愛いことは別に何とも思っていなかった。だけどそれはクリスが女の子だと思っていたからで……私よりも可愛い男なんて信じたくないよ!
「何も聞かなくても気付く人はいた」
「例えば誰ですか!」
「クルトと殿下かな」
応えたのはヨハンだった。クルトお兄様と殿下って言うのは、多分ユリウス殿下だよね。
「クリスのことは一部には結構有名だからね。陛下もそれを認めてるし。まあ近しい人はほとんど皆知ってるよね」
「ごめん、エレナ。でも事情があるんだよ」
「事情があるのでも、趣味でも別にいいわ。問題はわたくしだけが知らなかったことよ」
クリスがうっと言葉に詰まった。誤魔化そうとしたのに出来なかったから困ったのだろう。
「……ごめん。でもさ、皆が私を変な目で見る中で、エレナが女の子として接してくれたのって実は結構嬉しかったんだよ。私、物心ついたときからどっちつかずだったし」
そんな風に言われたらもう怒ることもできない。確かにクリスだって微妙な立ち位置で悩むこともあっただろう。
「一応言っておくけど、エレナのことを変な目で見たことはないからね……!着替えだって見ないようにしてたし!同じ部屋で寝ても何もしてないからね!」
「分かってるわよ。わたくしだってそういう目で見られたら気付くもの」
……多分。心の中で付け加えるが、ヘンドリックお兄様は鼻で笑った。
「……なんですか?」
「別に。十年以上一緒にいて全く気が付かないお前が、そんな視線に気付くとは思えないなと思っただけだ」
……反論できない。
「まあいいわ。クリスが実は男だって知っても、わたくし態度を変えるつもりはないわよ。それでいいのよね?」
クリスが頷く。しかしまあ自分の鈍感具合には呆れるわ。
「それから、昨日のようなことがあっても、もうクリスだけ置いて逃げたりはしないわ。男だからって置いて行っていい理由にはならないもの」
特にクリスのようなかわいい男の娘というのはある階層ではとても需要があるのだから。とは言わないけど。
「……うん、ごめん」
「分かればいいのよ」
こうして無事に戻ってくれたし、もう過ぎた話だ。それよりこれからの話。話が逸れてしまった。
「それで、わたくしはどんな顔して殿下に会えばいいのかしら?」
「どんな顔も何も、今晩にでも殿下のベッドで待ってたらいいんじゃない?」
「なっ……!」
べ、べ、べ、ベッドで!?
「……クリス」
ヨハンが咎めるようにクリスの名前を呼ぶ。クリスは不満そうに唇を尖らせた。
「いや、だってさ、それが一番早いじゃん。殿下がエレナのことを嫌いになるわけがないんだから。二人で愛を育んで、その後にゆっくり話でもしたらいいんじゃないの?」
ないないないない!無理無理無理無理!簡単に言わないでよ!!
「エレナだって殿下のこと好きだって分かったんでしょ?じゃあ問題ないじゃん。あんまり待たせ過ぎて殿下が外で遊んできても知らないよ。もう遅いかもしれないけど」
「そ、れは……」
確かに殿下だって男の人だ。女の人が欲しい夜だっているかもしれない。そしたらきっとよりどりみどりだ。
……嫌だ。
「ほら、嫌でしょ?じゃあもう行動あるのみだよ。大丈夫、殿下だって据え膳用意したら食わないわけないよ」
「クリス」
再度注意されるクリス。確かにちょっと言葉が率直すぎる。
「確かにそれが手っ取り早い。殿下の機嫌もすぐになおるだろう」
ヘンドリックお兄様までそんなことを言い出す始末。私は言わずにはいられなかった。
「……実の妹に対して、どのような気持ちでそのようなことが口にできるのでしょう?」
お兄様は無言で視線を逸らした。ほんと、この人は。冷たいけどデリカシーはあったはずなんだけど。
「大体、簡単に言いますけれど、皆様女性とそのような経験はあるのです?」
アリアがコホンと咳払いをした。自分がとんでもないことを聞いたのは分かる。だけど、口だけで気軽に言われるのはとても腹が立つのだ。
クリスは視線を逸らした。ヘンドリックお兄様は何も言わない。ヨハンは苦笑を浮かべる。
……クリスはないんじゃないの。後の二人はどっちか分からない。さすが兄達は隠すのがうまい。
「クリス、そういうことはまず自分が経験してから言ってちょうだい。そしたらわたくしだって考えるわ。どうぞ、今晩にでも婚約者様のお部屋に……」
そこまで言って言葉を切る。ヘンドリックお兄様に睨まれていたから。いや、でもそのくらいは言わせて欲しい。
「ご、ごめんなさい」
クリスが絶対に無理だと言いたそうな顔で謝った。
「……悪かった」
ヘンドリックお兄様は心底嫌そうな顔で言った。よしよし、自分がいかにデリカシーのないことを言ったのか気が付いたようだ。
「デリカシーのない殿方は嫌われますわよ。ヨハン様を見習ってくださいませ」
私はにっこりと笑ってそう言った。解決策は何も出てないけど、勝った気分だ。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』
放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。
「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」
身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。
冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。
「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」
得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。
これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】仕事のための結婚だと聞きましたが?~貧乏令嬢は次期宰相候補に求められる
仙冬可律
恋愛
「もったいないわね……」それがフローラ・ホトレイク伯爵令嬢の口癖だった。社交界では皆が華やかさを競うなかで、彼女の考え方は異端だった。嘲笑されることも多い。
清貧、質素、堅実なんていうのはまだ良いほうで、陰では貧乏くさい、地味だと言われていることもある。
でも、違う見方をすれば合理的で革新的。
彼女の経済観念に興味を示したのは次期宰相候補として名高いラルフ・バリーヤ侯爵令息。王太子の側近でもある。
「まるで雷に打たれたような」と彼は後に語る。
「フローラ嬢と話すとグラッ(価値観)ときてビーン!ときて(閃き)ゾクゾク湧くんです(政策が)」
「当代随一の頭脳を誇るラルフ様、どうなさったのですか(語彙力どうされたのかしら)もったいない……」
仕事のことしか頭にない冷徹眼鏡と無駄使いをすると体調が悪くなる病気(メイド談)にかかった令嬢の話。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる