59 / 118
狂気なエレナーーユリウス
しおりを挟む
終わった。
そう思ったのは彼女がそれを口にした瞬間だった。想定できる範囲で一番避けなければならない状況。それが今起こっている。
エレナは口に入れた葉をゆっくりと噛み締めて飲み込んだ。
こうなることは予想はしていた。だと言うのに止めることができなかったのはエレナが僕に対して攻撃してきたことが原因だ。避けなくても大した怪我はしない程度の魔法。思わず避けてしまったのは、彼女からの攻撃は全くの予想外だったから。あの瞬間、頭が、体が止まった。
さて、どうしようかな。
あの麻薬は粉末にするよりも、パイプで吸うよりも、葉の状態で取り込むことが一番強い作用を与えると聞いている。よりにもよってエレナはその状態で取り込んだ。
四属性、光属性を使え、魔法の才に溢れた彼女。そして何よりも魔法を僕でも考えつかないような形で使うのが彼女の一番の才だと言っても過言ではない。それは恐らく違う世界で生きた経験があるからなのだろう。
そんな彼女が麻薬を口にしてしまった。正気を保ってくれたら助かるが、そうじゃなかったら僕もこの街も、この国ですら次の瞬間にはないかもしれない。
正直、打つ手は何もない。
ため息をついた瞬間、ぞわっと鳥肌がたった。エレナの魔力がとんでもない存在感を放ち、変わる。
魔力そのものが変質していた。いつもは澄んでいる彼女の魔力。それが今は濁っている。
「あはははっ!なるほど、これは、これはすごい……!」
エレナは笑った。狂気だった。
生まれて初めて、怖い、と本気で思った。反射的に魔法を撃ってしまうのをどうにか我慢するが、魔力を落ち着けることはできなかった。
最悪だ。
「殿下、すごいですよ!私、今なら何でも出来る気分です……!」
そうだろう。君は今なんでもできる。分かるよ。
僕はどうしたらいいのか分からないというのに、楽しそうに笑っているエレナに少し腹が立った。思えば彼女はいつも僕の言うことを聞かない。わがままを許してしまう僕も悪いのかもしれないけど。
……惚れた弱みってやつだよね。とりあえず今は彼女を信じるしかないかな。
「すごいだろう?どうだ?俺たちと来ればお前にもわけてやる。その代わり、その力を俺たちのために使え」
売人の男達は恐怖で身体がすくんでいるようだ。それでも言葉を発することができてのは、この場を無事に去るには彼女を味方につけるしかないと思ったからだろう。
残念だけど、それは許せない。僕のエレナは誰にも渡さない。例え、エレナがそれを望んだとしても。
「残念ながら、わたくしのこの力はもう誰のために使うか決まっておりますの!」
上擦った声でそう言うエレナに、僕は心の底から嬉しくなった。正気を失ってもエレナはエレナだ。
きっとすぐに戻ってくれるだろう。そう思っていた。しかし一向にその気配はない。
エレナがこちらを見る。何を考えているのか、その狂気的な笑みの下は分からない。
「全てーー」
彼女がそう呟いた瞬間だった。
彼女の手の中の麻薬がボロボロと崩れ始めた。売人達のパイプからも葉が消える。
再び恐怖を感じた。身体がすくんだ。今エレナの魔力に包まれている。全てが彼女の魔力の中。彼女が少し気分を変えただけで全て消えて無くなる。それは麻薬だけでなく、僕も、王都にいるクリス達もそうだろう。
……魔力が見えるかもしれないということは聞いていたけど、魔力が増えるとは聞いていないよ。勘弁してくれ、本当に。しかもこれ……。
触れて分かった。これは僕と同じ魔力。そしてエレナが今使っているのは全てを滅ぼす魔法。少しアレンジが加えられているが間違いない。
それは闇属性の魔法だよ、エレナ。
エレナを信じるしかない、とか言っている場合じゃない。今のエレナの気分に世界の命運を託すのはとんでもなくリスクが高い。
僕に止めることができるだろうか。魔力を魔法に変える直前にまで高める。今の彼女は僕の手には負えない。殺されるかもしれない。それでもやるしかなかった。彼女を殺してでも止める。そして、僕も死ぬ。
心を決めて少し動くと、エレナはすぐに僕を見た。反応が早すぎる。ほんの少ししか動いていないはずだ。
ギクっとして動きを止めると、エレナは笑った。その笑顔から感じたのは狂気のみ。動いたら殺される。直感的にそう思った。エレナにその気はなくとも、今のエレナが少し魔法を使うだけで僕は死ぬ。今限りなく死に近いところにいるのが自分で分かった。
体が動かない。動けない。狂いそうなほど長い数秒だった。エレナの魔力がふっと消え、売人達が苦しみ出した。その時になって気が付いた。
息が止まっていたのだ。無意識に、息をすることすらも恐れていた。この僕が。
気はすんだのだろうか。
「エレナ」
そう呼んだ声は少し掠れていた。万が一攻撃されてもすぐに反応できるよう、警戒は解いていない。エレナがゆっくりと振り返って僕を見た。
「そう怖い顔をしないでくださいませ。わたくしは正気ですよ?」
無理な話だ。その笑顔は少し狂気が薄れた気がするが、やはり彼女の心は見えない。
「君は今普通じゃない。頼むから早く戻ってくれ」
僕は君を殺したくない。そして君に殺される気もない。僕が死んだら、正気に戻った君はきっと、本当に狂ってしまうだろうから。君の為に死ねない。
エレナは少ししてため息をつき、地面に座り込んだ。ふっと空気が緩む。確認せずとも分かる。元の彼女だ。
「大丈夫かい?」
「ええ、少し体がだるいですが、他の方のように苦しむことはありません」
「1回目だからね。辛いのは何回も繰り返した後だよ」
何でもない風を装ってそう言ったが、僕はすごく安心していた。どれくらいかと言うと、小躍りして喜びたいくらい。
「……最高で、最悪な気分でした」
「そうだろうね。僕も生きた心地がしなかったよ」
だからもう一生麻薬は口にしないで欲しい。このたった数分で寿命が確実に縮んだ。
だんだんとエレナの目が虚になっていく。間違いなく魔力切れだろう。予備の魔法薬を取り出そうとすると、エレナは「やっぱりもう少しあのままでいた方がよかったかな」と呟いた。
「それはやめて欲しいな」
心の底からの思いが口をついて出た。エレナに聞こえたのかは分からない。そんなやり取りのせいで魔法薬は間に合わなかった。
……さて、どうやって飲ませるべきか。もう少しやることが残っているからね。
できれば寝かせておいてあげたいところだけど、ずっと囲まれているのだ。今襲われたとして、気絶したエレナを抱えて彼らの相手はできない。
先ほどとは打って変わった平和な寝顔を眺め、僕は不味い薬を口に含んだ。
そう思ったのは彼女がそれを口にした瞬間だった。想定できる範囲で一番避けなければならない状況。それが今起こっている。
エレナは口に入れた葉をゆっくりと噛み締めて飲み込んだ。
こうなることは予想はしていた。だと言うのに止めることができなかったのはエレナが僕に対して攻撃してきたことが原因だ。避けなくても大した怪我はしない程度の魔法。思わず避けてしまったのは、彼女からの攻撃は全くの予想外だったから。あの瞬間、頭が、体が止まった。
さて、どうしようかな。
あの麻薬は粉末にするよりも、パイプで吸うよりも、葉の状態で取り込むことが一番強い作用を与えると聞いている。よりにもよってエレナはその状態で取り込んだ。
四属性、光属性を使え、魔法の才に溢れた彼女。そして何よりも魔法を僕でも考えつかないような形で使うのが彼女の一番の才だと言っても過言ではない。それは恐らく違う世界で生きた経験があるからなのだろう。
そんな彼女が麻薬を口にしてしまった。正気を保ってくれたら助かるが、そうじゃなかったら僕もこの街も、この国ですら次の瞬間にはないかもしれない。
正直、打つ手は何もない。
ため息をついた瞬間、ぞわっと鳥肌がたった。エレナの魔力がとんでもない存在感を放ち、変わる。
魔力そのものが変質していた。いつもは澄んでいる彼女の魔力。それが今は濁っている。
「あはははっ!なるほど、これは、これはすごい……!」
エレナは笑った。狂気だった。
生まれて初めて、怖い、と本気で思った。反射的に魔法を撃ってしまうのをどうにか我慢するが、魔力を落ち着けることはできなかった。
最悪だ。
「殿下、すごいですよ!私、今なら何でも出来る気分です……!」
そうだろう。君は今なんでもできる。分かるよ。
僕はどうしたらいいのか分からないというのに、楽しそうに笑っているエレナに少し腹が立った。思えば彼女はいつも僕の言うことを聞かない。わがままを許してしまう僕も悪いのかもしれないけど。
……惚れた弱みってやつだよね。とりあえず今は彼女を信じるしかないかな。
「すごいだろう?どうだ?俺たちと来ればお前にもわけてやる。その代わり、その力を俺たちのために使え」
売人の男達は恐怖で身体がすくんでいるようだ。それでも言葉を発することができてのは、この場を無事に去るには彼女を味方につけるしかないと思ったからだろう。
残念だけど、それは許せない。僕のエレナは誰にも渡さない。例え、エレナがそれを望んだとしても。
「残念ながら、わたくしのこの力はもう誰のために使うか決まっておりますの!」
上擦った声でそう言うエレナに、僕は心の底から嬉しくなった。正気を失ってもエレナはエレナだ。
きっとすぐに戻ってくれるだろう。そう思っていた。しかし一向にその気配はない。
エレナがこちらを見る。何を考えているのか、その狂気的な笑みの下は分からない。
「全てーー」
彼女がそう呟いた瞬間だった。
彼女の手の中の麻薬がボロボロと崩れ始めた。売人達のパイプからも葉が消える。
再び恐怖を感じた。身体がすくんだ。今エレナの魔力に包まれている。全てが彼女の魔力の中。彼女が少し気分を変えただけで全て消えて無くなる。それは麻薬だけでなく、僕も、王都にいるクリス達もそうだろう。
……魔力が見えるかもしれないということは聞いていたけど、魔力が増えるとは聞いていないよ。勘弁してくれ、本当に。しかもこれ……。
触れて分かった。これは僕と同じ魔力。そしてエレナが今使っているのは全てを滅ぼす魔法。少しアレンジが加えられているが間違いない。
それは闇属性の魔法だよ、エレナ。
エレナを信じるしかない、とか言っている場合じゃない。今のエレナの気分に世界の命運を託すのはとんでもなくリスクが高い。
僕に止めることができるだろうか。魔力を魔法に変える直前にまで高める。今の彼女は僕の手には負えない。殺されるかもしれない。それでもやるしかなかった。彼女を殺してでも止める。そして、僕も死ぬ。
心を決めて少し動くと、エレナはすぐに僕を見た。反応が早すぎる。ほんの少ししか動いていないはずだ。
ギクっとして動きを止めると、エレナは笑った。その笑顔から感じたのは狂気のみ。動いたら殺される。直感的にそう思った。エレナにその気はなくとも、今のエレナが少し魔法を使うだけで僕は死ぬ。今限りなく死に近いところにいるのが自分で分かった。
体が動かない。動けない。狂いそうなほど長い数秒だった。エレナの魔力がふっと消え、売人達が苦しみ出した。その時になって気が付いた。
息が止まっていたのだ。無意識に、息をすることすらも恐れていた。この僕が。
気はすんだのだろうか。
「エレナ」
そう呼んだ声は少し掠れていた。万が一攻撃されてもすぐに反応できるよう、警戒は解いていない。エレナがゆっくりと振り返って僕を見た。
「そう怖い顔をしないでくださいませ。わたくしは正気ですよ?」
無理な話だ。その笑顔は少し狂気が薄れた気がするが、やはり彼女の心は見えない。
「君は今普通じゃない。頼むから早く戻ってくれ」
僕は君を殺したくない。そして君に殺される気もない。僕が死んだら、正気に戻った君はきっと、本当に狂ってしまうだろうから。君の為に死ねない。
エレナは少ししてため息をつき、地面に座り込んだ。ふっと空気が緩む。確認せずとも分かる。元の彼女だ。
「大丈夫かい?」
「ええ、少し体がだるいですが、他の方のように苦しむことはありません」
「1回目だからね。辛いのは何回も繰り返した後だよ」
何でもない風を装ってそう言ったが、僕はすごく安心していた。どれくらいかと言うと、小躍りして喜びたいくらい。
「……最高で、最悪な気分でした」
「そうだろうね。僕も生きた心地がしなかったよ」
だからもう一生麻薬は口にしないで欲しい。このたった数分で寿命が確実に縮んだ。
だんだんとエレナの目が虚になっていく。間違いなく魔力切れだろう。予備の魔法薬を取り出そうとすると、エレナは「やっぱりもう少しあのままでいた方がよかったかな」と呟いた。
「それはやめて欲しいな」
心の底からの思いが口をついて出た。エレナに聞こえたのかは分からない。そんなやり取りのせいで魔法薬は間に合わなかった。
……さて、どうやって飲ませるべきか。もう少しやることが残っているからね。
できれば寝かせておいてあげたいところだけど、ずっと囲まれているのだ。今襲われたとして、気絶したエレナを抱えて彼らの相手はできない。
先ほどとは打って変わった平和な寝顔を眺め、僕は不味い薬を口に含んだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
老聖女の政略結婚
那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。
六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。
しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。
相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。
子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。
穏やかな余生か、嵐の老後か――
四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる