68 / 118
二度目の昂り
しおりを挟む
「じゃあ次はエレナ。君なんだけど……」
殿下が何か言いたそうに私を見た。しかし私には何も言わず、皆を集める。
「悪いけど、皆を治してくれるかい?」
何もしていないというのにすでに皆消耗している。殿下の魔力がかなりのダメージになったのだろう。とは言っても精神的な部分は魔法ではどうにもならない。大丈夫かな、と思って皆の顔を見る。
ヘンドリックお兄様、ヨハン、ヴェルナー様、クルトお兄様。
……ヴェルナー様は精神も鍛えてるって言ってたし、ヨハンは色々な経験積んでるから多分大丈夫。クルトお兄様は少し怪しいけど、ヴェルナー様に鍛えられてるだろうから。ヘンドリックお兄様に関しては論外。うん、皆鋼のメンタルだな。余計は心配はいらなそう。
ひとつ頷いて私は魔法を使った。
「殿下、リリー様、ベアトリクス、大丈夫ですか?」
やばそうなのはこの3人だ。治癒魔法をかけてもなお、顔色が悪い。精神的ダメージが大きそうだ。
「カイ」
ユリウス殿下が静かな声でカイを呼んだ。カイはかろうじて聞こえる声で「はい」と答える。覇気は全くなかった。
「腑抜けた顔をするくらいなら先に帰れ」
カイを見ることなくそう言い放った殿下を、皆が驚きの表情で見た。私も例外ではない。
「リリーとベアトリクスは必要だが、お前は別にいなくていい」
「……ユリウス殿下、もう少し言葉を選びませんか?」
呆然としているカイの目を見る。その目に浮かんでいたのは焦りだった。
「殿下、無理をなさる必要はございません。ユリウス殿下もそう言いたいのですわ」
いや、ユリウス殿下のことだから、そんなことは思っておらず、言葉通りなんだろうけど。
カイは首を横に振った。
「申し訳ありません、兄上。私も残らせてください」
ユリウス殿下はカイを一瞥したが、それ以上言葉をかけることはなかった。
「……万が一の話だ。もしエレナが暴走することがあれば、皆殺す気で止めろ」
……はい?なんだって?
「生きたまま止めるなど思う必要はない。少しでも躊躇えば自分が死ぬと思え」
「ちょっと待ってください!」
黙って聞いていられなくて手を上げる。私だけでなく皆戸惑いが隠せない様子だ。
「殺してでも止める、というのは百歩譲って聞き流しましょう」
まあ確かにあの魔力をもってすれば下手すればこの世界すら滅ぼす事ができるかもしれない。私が正気を失えば終わりだ。だけど問題はそこじゃない。
「どうしてそこまでしてわたくしが飲まなければならないのです?」
そんなこと言うなら私が飲む必要ないじゃん。そんな危ないことしなくていいじゃん。
クリスがこくこくと頷く。殿下は微笑んだ。
「確かめたいことがあるんだよ。あれが偶然なのかどうなのか。この薬の可能性を見たいんだ」
「だからってわたくしの命を賭けないでくださいませ」
私だって正気を失って皆に殺されるなんて嫌だ。そんな可能性があるなら遠慮したい。
「大丈夫だよ。万が一の話だから。ほら、リリーもいるし」
確かにリリーがいれば私の麻薬を抜く事ができる。周りはこの国のトップレベルの戦闘力をもつ人たちが囲むわけだし。それに前回の麻薬よりも効果は弱い。そう考えれば前に比べるとかなり安心な状況かもしれない。
「誰も死なないようにお願いしますよ」
私も死にたくないけど誰かを殺すのはもっと嫌だ。そう言った私に殿下は微笑んだ。
皆がバラバラに立ち、その中心に私が立つ。そして薬を飲んだ。
効果はすぐに現れた。二度目だからなのか、私の魔力で作った薬だからなのか、すぐに体に馴染んだ気がした。殿下の周りに黒い魔力。ヴェルナー様とクルトお兄様以外の人の周りにも、色の違いはあれど、それは見えた。
その魔力のせいで皆の表情がよく見えない。ヴェルナー様とクルトお兄様だけがよく見え、二人とも愕然とした表情で私を見ていた。足が震えているのが分かる。あのヴェルナー様ですら。
薬が更に効き目を表した。魔力がどんどん溢れ、気分が高揚してくる。
……ああ、これは本当に癖になりそう。
鼻歌を歌いたい気分。
今ならヴェルナー様に勝てるだろうか。いやいや、ヴェルナー様だけじゃない。きっと皆を一度に相手しても勝てる気がする。今の私は誰にも負けない。
……ちょっと試してみたいな。
ウズウズしながら魔力を動かしてみると思ったように動いた。殿下の周りの黒い魔力が膨れ上がる。
「殿下、少し遊びましょう」
ユリウス殿下にそう笑いかけると、その隣でベアトリクスが座り込んだ。ああ、ベアトリクスはだめだよね。戦えないもん。
「あなたはいつもこんな世界を見ているのね。ベアトリクス」
ベアトリクスに笑いかけると、ユリウス殿下がベアトリクスを背後に庇うように前に立った。そのままゆっくりと近付いて来る。
「前のより効果は弱いって言っていたけど、嘘でしょ」
「嘘じゃありませんよ」
人聞きが悪い。私は嘘なんてついてない。
「お兄様方、ヨハン様、ヴェルナー様、クリスもご一緒にいかが?」
きっと皆の方が楽しい。
「わ、わたしは、いい……」
クリスが首を振った。なんだ、残念。でも他の人は参加するようだ。
「楽しみましょうね?」
私はそう微笑んで、地面を蹴った。
殿下が何か言いたそうに私を見た。しかし私には何も言わず、皆を集める。
「悪いけど、皆を治してくれるかい?」
何もしていないというのにすでに皆消耗している。殿下の魔力がかなりのダメージになったのだろう。とは言っても精神的な部分は魔法ではどうにもならない。大丈夫かな、と思って皆の顔を見る。
ヘンドリックお兄様、ヨハン、ヴェルナー様、クルトお兄様。
……ヴェルナー様は精神も鍛えてるって言ってたし、ヨハンは色々な経験積んでるから多分大丈夫。クルトお兄様は少し怪しいけど、ヴェルナー様に鍛えられてるだろうから。ヘンドリックお兄様に関しては論外。うん、皆鋼のメンタルだな。余計は心配はいらなそう。
ひとつ頷いて私は魔法を使った。
「殿下、リリー様、ベアトリクス、大丈夫ですか?」
やばそうなのはこの3人だ。治癒魔法をかけてもなお、顔色が悪い。精神的ダメージが大きそうだ。
「カイ」
ユリウス殿下が静かな声でカイを呼んだ。カイはかろうじて聞こえる声で「はい」と答える。覇気は全くなかった。
「腑抜けた顔をするくらいなら先に帰れ」
カイを見ることなくそう言い放った殿下を、皆が驚きの表情で見た。私も例外ではない。
「リリーとベアトリクスは必要だが、お前は別にいなくていい」
「……ユリウス殿下、もう少し言葉を選びませんか?」
呆然としているカイの目を見る。その目に浮かんでいたのは焦りだった。
「殿下、無理をなさる必要はございません。ユリウス殿下もそう言いたいのですわ」
いや、ユリウス殿下のことだから、そんなことは思っておらず、言葉通りなんだろうけど。
カイは首を横に振った。
「申し訳ありません、兄上。私も残らせてください」
ユリウス殿下はカイを一瞥したが、それ以上言葉をかけることはなかった。
「……万が一の話だ。もしエレナが暴走することがあれば、皆殺す気で止めろ」
……はい?なんだって?
「生きたまま止めるなど思う必要はない。少しでも躊躇えば自分が死ぬと思え」
「ちょっと待ってください!」
黙って聞いていられなくて手を上げる。私だけでなく皆戸惑いが隠せない様子だ。
「殺してでも止める、というのは百歩譲って聞き流しましょう」
まあ確かにあの魔力をもってすれば下手すればこの世界すら滅ぼす事ができるかもしれない。私が正気を失えば終わりだ。だけど問題はそこじゃない。
「どうしてそこまでしてわたくしが飲まなければならないのです?」
そんなこと言うなら私が飲む必要ないじゃん。そんな危ないことしなくていいじゃん。
クリスがこくこくと頷く。殿下は微笑んだ。
「確かめたいことがあるんだよ。あれが偶然なのかどうなのか。この薬の可能性を見たいんだ」
「だからってわたくしの命を賭けないでくださいませ」
私だって正気を失って皆に殺されるなんて嫌だ。そんな可能性があるなら遠慮したい。
「大丈夫だよ。万が一の話だから。ほら、リリーもいるし」
確かにリリーがいれば私の麻薬を抜く事ができる。周りはこの国のトップレベルの戦闘力をもつ人たちが囲むわけだし。それに前回の麻薬よりも効果は弱い。そう考えれば前に比べるとかなり安心な状況かもしれない。
「誰も死なないようにお願いしますよ」
私も死にたくないけど誰かを殺すのはもっと嫌だ。そう言った私に殿下は微笑んだ。
皆がバラバラに立ち、その中心に私が立つ。そして薬を飲んだ。
効果はすぐに現れた。二度目だからなのか、私の魔力で作った薬だからなのか、すぐに体に馴染んだ気がした。殿下の周りに黒い魔力。ヴェルナー様とクルトお兄様以外の人の周りにも、色の違いはあれど、それは見えた。
その魔力のせいで皆の表情がよく見えない。ヴェルナー様とクルトお兄様だけがよく見え、二人とも愕然とした表情で私を見ていた。足が震えているのが分かる。あのヴェルナー様ですら。
薬が更に効き目を表した。魔力がどんどん溢れ、気分が高揚してくる。
……ああ、これは本当に癖になりそう。
鼻歌を歌いたい気分。
今ならヴェルナー様に勝てるだろうか。いやいや、ヴェルナー様だけじゃない。きっと皆を一度に相手しても勝てる気がする。今の私は誰にも負けない。
……ちょっと試してみたいな。
ウズウズしながら魔力を動かしてみると思ったように動いた。殿下の周りの黒い魔力が膨れ上がる。
「殿下、少し遊びましょう」
ユリウス殿下にそう笑いかけると、その隣でベアトリクスが座り込んだ。ああ、ベアトリクスはだめだよね。戦えないもん。
「あなたはいつもこんな世界を見ているのね。ベアトリクス」
ベアトリクスに笑いかけると、ユリウス殿下がベアトリクスを背後に庇うように前に立った。そのままゆっくりと近付いて来る。
「前のより効果は弱いって言っていたけど、嘘でしょ」
「嘘じゃありませんよ」
人聞きが悪い。私は嘘なんてついてない。
「お兄様方、ヨハン様、ヴェルナー様、クリスもご一緒にいかが?」
きっと皆の方が楽しい。
「わ、わたしは、いい……」
クリスが首を振った。なんだ、残念。でも他の人は参加するようだ。
「楽しみましょうね?」
私はそう微笑んで、地面を蹴った。
0
あなたにおすすめの小説
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
見た目は子供、頭脳は大人。 公爵令嬢セリカ
しおしお
恋愛
四歳で婚約破棄された“天才幼女”――
今や、彼女を妻にしたいと王子が三人。
そして隣国の国王まで参戦!?
史上最大の婿取り争奪戦が始まる。
リュミエール王国の公爵令嬢セリカ・ディオールは、幼い頃に王家から婚約破棄された。
理由はただひとつ。
> 「幼すぎて才能がない」
――だが、それは歴史に残る大失策となる。
成長したセリカは、領地を空前の繁栄へ導いた“天才”として王国中から称賛される存在に。
灌漑改革、交易路の再建、魔物被害の根絶……
彼女の功績は、王族すら遠く及ばないほど。
その名声を聞きつけ、王家はざわついた。
「セリカに婿を取らせる」
父であるディオール公爵がそう発表した瞬間――
なんと、三人の王子が同時に立候補。
・冷静沈着な第一王子アコード
・誠実温和な第二王子セドリック
・策略家で負けず嫌いの第三王子シビック
王宮は“セリカ争奪戦”の様相を呈し、
王子たちは互いの足を引っ張り合う始末。
しかし、混乱は国内だけでは終わらなかった。
セリカの名声は国境を越え、
ついには隣国の――
国王まで本人と結婚したいと求婚してくる。
「天才で可愛くて領地ごと嫁げる?
そんな逸材、逃す手はない!」
国家の威信を賭けた婿争奪戦は、ついに“国VS国”の大騒動へ。
当の本人であるセリカはというと――
「わたし、お嫁に行くより……お昼寝のほうが好きなんですの」
王家が焦り、隣国がざわめき、世界が動く。
しかしセリカだけはマイペースにスイーツを作り、お昼寝し、領地を救い続ける。
これは――
婚約破棄された天才令嬢が、
王国どころか国家間の争奪戦を巻き起こしながら
自由奔放に世界を変えてしまう物語。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜
高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。
婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。
それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。
何故、そんな事に。
優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。
婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。
リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。
悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。
悪役令嬢は調理場に左遷されましたが、激ウマご飯で氷の魔公爵様を餌付けしてしまったようです~「もう離さない」って、胃袋の話ですか?~
咲月ねむと
恋愛
「君のような地味な女は、王太子妃にふさわしくない。辺境の『魔公爵』のもとへ嫁げ!」
卒業パーティーで婚約破棄を突きつけられた悪役令嬢レティシア。
しかし、前世で日本人調理師だった彼女にとって、堅苦しい王妃教育から解放されることはご褒美でしかなかった。
「これで好きな料理が作れる!」
ウキウキで辺境へ向かった彼女を待っていたのは、荒れ果てた別邸と「氷の魔公爵」と恐れられるジルベール公爵。
冷酷無慈悲と噂される彼だったが――その正体は、ただの「極度の偏食家で、常に空腹で不機嫌なだけ」だった!?
レティシアが作る『肉汁溢れるハンバーグ』『とろとろオムライス』『伝説のプリン』に公爵の胃袋は即陥落。
「君の料理なしでは生きられない」
「一生そばにいてくれ」
と求愛されるが、色気より食い気のレティシアは「最高の就職先ゲット!」と勘違いして……?
一方、レティシアを追放した王太子たちは、王宮の食事が不味くなりすぎて絶望の淵に。今さら「戻ってきてくれ」と言われても、もう遅いです!
美味しいご飯で幸せを掴む、空腹厳禁の異世界クッキング・ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる