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雪遊び
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皆を連れて約束の場所に行くと、クリスはもうそこにいた。クルトお兄様、ベアトリクス、アリア、ヘンドリックお兄様も一緒に。
「あ、エレナ!途中でヘンドリック様とも会ったから連れてきたよ」
どおりで魔法省に行ってもいないわけだ。
「兄様とフロレンツはすぐ来るらしいよ」
「ええ、カミラも呼んでおいたわ」
それで全員。皆の顔を見る。楽しそうなのはクリスとレオンとマクシミリアン。それからカイとリリー。
呆れた顔はヘンドリックお兄様とベアトリクス。クルトお兄様は困惑。アリアは怒っていそう。
「よし!じゃあ思う存分、遊びましょうか!」
クリスが言い、雪へ駆け出した。後に続いたのはレオン。そしてカイにマクシミリアン。雪遊び経験者は楽しそうに遊び出した。リリーは戸惑いながらもその輪に入っていく。
「ほらほら、ベアトリクスも」
動かずに立っているベアトリクスの背を押すと、ベアトリクスはゆっくりと前へ進んだ。
残ったのは私とお兄様たちとアリア。
「お前、また遊びたかったから、とでも言うのか?」
ヘンドリックお兄様が言った。そうそう、前回大雪を降らせた時、子供だった私はクリスと一緒に雪遊びをするためだけに降らせたのだ。
「よく覚えてらっしゃいますね?」
その頃はヘンドリックお兄様とはほとんど話をしたことがなかったはず。あれをやったのが私だと言うことも未だに一部の人しか知らない。
「忘れるわけがないだろう」
お兄様は表情ひとつ変えずに言った。
「そうですよね、ご迷惑をおかけしまして……」
くだらない理由でたくさんの人に迷惑をかけたのだ。お兄様もその一人なのだろう。それは忘れるわけがない。謝るとお兄様は一瞬、私を見て何か言いたそうな顔をした。が、先に口を開いた人がいた。
「……もしかして、子供の頃の大雪も今回もエレナの仕業かい?」
「ええ、クルトお兄様。わたくしの魔法です」
お兄様が驚きの表情を浮かべた。
「こんなにたくさんの雪を……一体どれだけの魔力を使うんだ……」
「いえ、おそらくお兄様が思うほどの魔力は使っておりませんわ。最初は少々大変ですが今はまだ三分の一ほどしか減っておりませんの」
そう言うとクルトお兄様は「そんなわけないよ」と言った。魔法を使っている私が言っているのに……。
「これだけの雪を魔力で保つなんて、常に魔力は減っていくじゃないか」
「ああ、いえいえ、雪は作っておりませんわ。全て本物です」
お兄様はどうやら勘違いをしているようだ。この雪を私が魔法で作ったのなら後が楽でいい。だって私の思うままに消せるのだから。でもそうじゃない。
「わたくしはこのお城の上空、周辺の環境を整えただけですわ。雪が降り、積もるように」
今は冬だ。一度下がった気温はなかなか戻らないし、雪だってそう簡単に溶けない。維持するも何も、今私がしているのは上空の雨雲が散らないようにしているだけ。
……そんなに驚かなくてもいいのに。
クルトお兄様は空いた口が塞がらないようだ。
「ヘンドリックお兄様、今回の理由は遊びたいから、ではありませんの」
もちろんそれも理由の一つではあるけど。
「じゃあなぜだ」
聞いたって仕方がないだろうけど。そう思いながらも私は口を開いた。
「そうですね、なんと言えばいいのでしょう……たくさんのものを持ちすぎたから、でしょうか?」
悩み、苦しみ、悲しみ。私たちはあまりにもたくさんのものを抱えすぎている。だから息抜きをして欲しかった。
カイは無邪気な笑顔で遊んでいる。それは最近のカイが見せる静かな笑顔じゃなく、子供の頃に見た明るい笑顔だった。
「一度、昔に戻ることも大切かと思いまして」
あんなに楽しそうな皆の顔は久しぶりに見た。まるで本当に子供の頃に戻ったよう。
「……誰の話をしているんだ」
小さく聞こえた言葉に「え?」と聞き返すと、ヘンドリックお兄様は「なんでもない」とそれだけ。
誰の話も何も、皆の話だけど。首を傾げた時、後ろから押され、前へと転けそうになった。誰だ、と思って振り返るとヘンドリックお兄様。
その意外な行動に目を丸くする私を見て、お兄様は笑った。とても珍しい。
「お前も思う存分遊べ」
「はい……!」
アリアと目があった。あ、と思うと、アリアは微笑んだ。その笑みは起こっていない。ほっとして自然と口角が上がった。
よし!遊ぶぞー!
足元の雪をすくい、まだ端の方に立っているクルトお兄様に投げつける。お兄様は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になった。
雪をすくっては誰かに投げつける。すぐに雪合戦が始まった。
「クリス!雪で壁を作るのよ!」
「なにそれ!こんなのでいいの!?」
飛んでくる雪を避けながらクリスに指示を出す。いつの間にか雪合戦はチーム戦になっていたのだ。
相手チームにはカイ、レオン、マクシミリアン、カミラ、ヘンドリックお兄様、フロレンツ。こちらのチームはクリス、リリー、ベアトリクス、クルトお兄様、ヨハン、そして私。
「そうよ!それに隠れながら雪を投げるの」
あっちの世界で知った知識で雪合戦をリードした。が、すぐに向こうのチームも同じようにしてくる。
「ベアトリクス!しっかり隠れて、狙われているわ」
「なんでわたくしがこんなことしてるのよ……!」
「楽しいですね」
リリーが心底楽しそうに笑った。
「あ、エレナ!途中でヘンドリック様とも会ったから連れてきたよ」
どおりで魔法省に行ってもいないわけだ。
「兄様とフロレンツはすぐ来るらしいよ」
「ええ、カミラも呼んでおいたわ」
それで全員。皆の顔を見る。楽しそうなのはクリスとレオンとマクシミリアン。それからカイとリリー。
呆れた顔はヘンドリックお兄様とベアトリクス。クルトお兄様は困惑。アリアは怒っていそう。
「よし!じゃあ思う存分、遊びましょうか!」
クリスが言い、雪へ駆け出した。後に続いたのはレオン。そしてカイにマクシミリアン。雪遊び経験者は楽しそうに遊び出した。リリーは戸惑いながらもその輪に入っていく。
「ほらほら、ベアトリクスも」
動かずに立っているベアトリクスの背を押すと、ベアトリクスはゆっくりと前へ進んだ。
残ったのは私とお兄様たちとアリア。
「お前、また遊びたかったから、とでも言うのか?」
ヘンドリックお兄様が言った。そうそう、前回大雪を降らせた時、子供だった私はクリスと一緒に雪遊びをするためだけに降らせたのだ。
「よく覚えてらっしゃいますね?」
その頃はヘンドリックお兄様とはほとんど話をしたことがなかったはず。あれをやったのが私だと言うことも未だに一部の人しか知らない。
「忘れるわけがないだろう」
お兄様は表情ひとつ変えずに言った。
「そうですよね、ご迷惑をおかけしまして……」
くだらない理由でたくさんの人に迷惑をかけたのだ。お兄様もその一人なのだろう。それは忘れるわけがない。謝るとお兄様は一瞬、私を見て何か言いたそうな顔をした。が、先に口を開いた人がいた。
「……もしかして、子供の頃の大雪も今回もエレナの仕業かい?」
「ええ、クルトお兄様。わたくしの魔法です」
お兄様が驚きの表情を浮かべた。
「こんなにたくさんの雪を……一体どれだけの魔力を使うんだ……」
「いえ、おそらくお兄様が思うほどの魔力は使っておりませんわ。最初は少々大変ですが今はまだ三分の一ほどしか減っておりませんの」
そう言うとクルトお兄様は「そんなわけないよ」と言った。魔法を使っている私が言っているのに……。
「これだけの雪を魔力で保つなんて、常に魔力は減っていくじゃないか」
「ああ、いえいえ、雪は作っておりませんわ。全て本物です」
お兄様はどうやら勘違いをしているようだ。この雪を私が魔法で作ったのなら後が楽でいい。だって私の思うままに消せるのだから。でもそうじゃない。
「わたくしはこのお城の上空、周辺の環境を整えただけですわ。雪が降り、積もるように」
今は冬だ。一度下がった気温はなかなか戻らないし、雪だってそう簡単に溶けない。維持するも何も、今私がしているのは上空の雨雲が散らないようにしているだけ。
……そんなに驚かなくてもいいのに。
クルトお兄様は空いた口が塞がらないようだ。
「ヘンドリックお兄様、今回の理由は遊びたいから、ではありませんの」
もちろんそれも理由の一つではあるけど。
「じゃあなぜだ」
聞いたって仕方がないだろうけど。そう思いながらも私は口を開いた。
「そうですね、なんと言えばいいのでしょう……たくさんのものを持ちすぎたから、でしょうか?」
悩み、苦しみ、悲しみ。私たちはあまりにもたくさんのものを抱えすぎている。だから息抜きをして欲しかった。
カイは無邪気な笑顔で遊んでいる。それは最近のカイが見せる静かな笑顔じゃなく、子供の頃に見た明るい笑顔だった。
「一度、昔に戻ることも大切かと思いまして」
あんなに楽しそうな皆の顔は久しぶりに見た。まるで本当に子供の頃に戻ったよう。
「……誰の話をしているんだ」
小さく聞こえた言葉に「え?」と聞き返すと、ヘンドリックお兄様は「なんでもない」とそれだけ。
誰の話も何も、皆の話だけど。首を傾げた時、後ろから押され、前へと転けそうになった。誰だ、と思って振り返るとヘンドリックお兄様。
その意外な行動に目を丸くする私を見て、お兄様は笑った。とても珍しい。
「お前も思う存分遊べ」
「はい……!」
アリアと目があった。あ、と思うと、アリアは微笑んだ。その笑みは起こっていない。ほっとして自然と口角が上がった。
よし!遊ぶぞー!
足元の雪をすくい、まだ端の方に立っているクルトお兄様に投げつける。お兄様は驚いた表情を浮かべたが、すぐに笑顔になった。
雪をすくっては誰かに投げつける。すぐに雪合戦が始まった。
「クリス!雪で壁を作るのよ!」
「なにそれ!こんなのでいいの!?」
飛んでくる雪を避けながらクリスに指示を出す。いつの間にか雪合戦はチーム戦になっていたのだ。
相手チームにはカイ、レオン、マクシミリアン、カミラ、ヘンドリックお兄様、フロレンツ。こちらのチームはクリス、リリー、ベアトリクス、クルトお兄様、ヨハン、そして私。
「そうよ!それに隠れながら雪を投げるの」
あっちの世界で知った知識で雪合戦をリードした。が、すぐに向こうのチームも同じようにしてくる。
「ベアトリクス!しっかり隠れて、狙われているわ」
「なんでわたくしがこんなことしてるのよ……!」
「楽しいですね」
リリーが心底楽しそうに笑った。
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