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第一章
彼と彼女Ⅵ
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なるほど、二人は付き合っていたようだ。
それが今も続いているかはよく分からないが。
これが俗にいう修羅場か。
なんてのんきに思っていたが、よく考えれば僕も巻き込まれているような気が……。
「こんなおっさんと浮気するなんて許せねえ」
やっぱり。麗奈ちゃんを見ると、呆れたように首を振っている。
「めまいがしそう……」
僕にだけ聞こえるように小さく呟くと、またため息をついた。
「九月ごろに別れたでしょ。忘れたの?」
まるで子供に言い聞かせるような口調で話す麗奈ちゃんはもう怒りを通り越しているようだ。
「だから、別れてない!」
どうも二人の話が通じていないようだ。
どっちが本当なのかはよく分からない。
このままじゃらちが明かないような気がする。
「ところであの子はどうしたの?」
麗奈ちゃんが急に話題を変えた。
いや、変わってはいないのかもしれないけど。
山本君は何のことか分からずにぽかんとしている。
「あの日から一緒に帰っていた隣のクラスの子だよ。可愛くて愛嬌があって頭が足りなさそうな子」
「なっ……」
風向きが変わった。
なるほど、麗奈ちゃんが言うことの方が正しいのか。
山本君は思わぬところをつかれたようで、口をパクパクしている。
「あんな子が山本君の好みなんでしょ?」
たたみかけて言う麗奈ちゃんに、山本君は半ば叫ぶようにして言った。
「好みじゃねえよ、あんなバカ女!」
「その『バカ女』と毎日毎日楽しそうに二人で帰ってたのは誰だっけ?」
ああ、これはもう麗奈ちゃんの勝ちだろうな。
そもそも口喧嘩に置いては冷静な方が圧倒的有利だ。
それでも麗奈ちゃんの言葉の端々からいらいらしているのが伝わってくる。
「私のこれが浮気だって言うなら、山本君のは何なんだろうね」
山本君は顔を真っ赤にして麗奈ちゃんを見ている。
明らかに理性が飛んでいて、今にも手を出しそうだ。
何かあったら身を挺してでもかばわないとな。なんて思っていると、山本君の後ろから茶色い髪の女の子が歩いて来た。
「なんか騒がしいと思ったら……麗奈、こんなところでどうしたの?」
あ、月曜日に麗奈ちゃんと一緒に歩いていた女の子だ。
改めて見るとおそろしく美人で、制服を着ていなかったらとてもじゃないけど高校生には見えない。
「あずこそなんでこんなところにいるの?」
「先輩の家に行く途中」
あずちゃんはそう言うなり、山本君を見て納得したように頷いた。
「山本、あの子が探してたよ。もうそろそろ来るんじゃない?」
その言葉が終わってすぐだった。
それが今も続いているかはよく分からないが。
これが俗にいう修羅場か。
なんてのんきに思っていたが、よく考えれば僕も巻き込まれているような気が……。
「こんなおっさんと浮気するなんて許せねえ」
やっぱり。麗奈ちゃんを見ると、呆れたように首を振っている。
「めまいがしそう……」
僕にだけ聞こえるように小さく呟くと、またため息をついた。
「九月ごろに別れたでしょ。忘れたの?」
まるで子供に言い聞かせるような口調で話す麗奈ちゃんはもう怒りを通り越しているようだ。
「だから、別れてない!」
どうも二人の話が通じていないようだ。
どっちが本当なのかはよく分からない。
このままじゃらちが明かないような気がする。
「ところであの子はどうしたの?」
麗奈ちゃんが急に話題を変えた。
いや、変わってはいないのかもしれないけど。
山本君は何のことか分からずにぽかんとしている。
「あの日から一緒に帰っていた隣のクラスの子だよ。可愛くて愛嬌があって頭が足りなさそうな子」
「なっ……」
風向きが変わった。
なるほど、麗奈ちゃんが言うことの方が正しいのか。
山本君は思わぬところをつかれたようで、口をパクパクしている。
「あんな子が山本君の好みなんでしょ?」
たたみかけて言う麗奈ちゃんに、山本君は半ば叫ぶようにして言った。
「好みじゃねえよ、あんなバカ女!」
「その『バカ女』と毎日毎日楽しそうに二人で帰ってたのは誰だっけ?」
ああ、これはもう麗奈ちゃんの勝ちだろうな。
そもそも口喧嘩に置いては冷静な方が圧倒的有利だ。
それでも麗奈ちゃんの言葉の端々からいらいらしているのが伝わってくる。
「私のこれが浮気だって言うなら、山本君のは何なんだろうね」
山本君は顔を真っ赤にして麗奈ちゃんを見ている。
明らかに理性が飛んでいて、今にも手を出しそうだ。
何かあったら身を挺してでもかばわないとな。なんて思っていると、山本君の後ろから茶色い髪の女の子が歩いて来た。
「なんか騒がしいと思ったら……麗奈、こんなところでどうしたの?」
あ、月曜日に麗奈ちゃんと一緒に歩いていた女の子だ。
改めて見るとおそろしく美人で、制服を着ていなかったらとてもじゃないけど高校生には見えない。
「あずこそなんでこんなところにいるの?」
「先輩の家に行く途中」
あずちゃんはそう言うなり、山本君を見て納得したように頷いた。
「山本、あの子が探してたよ。もうそろそろ来るんじゃない?」
その言葉が終わってすぐだった。
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