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黒坊編4

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「……はあ?」

 思いがけない言葉に一刀は間抜けな声を再び上げた。

「俺の顔を見てイキたい?」

 ようやく理解が追いついた一刀は目尻を吊り上げた。

「余程突かれるのが好きなのか。正常位をお望みとは本当に淫乱だな」

「ち、ちがう。妾は淫乱では無い」

「じゃあ何だよ」

「其方が良いのじゃ!」

「ぶっ」

 突然の告白に一刀は吹いてしまった。

「な、なんでだ」

「分からぬ。ただ身体がお主を求めてしまう。封印すると言いながら妾を傷つけないように優しく扱ってくれる。好いた女子の身体だからと言う理由もあるじゃろうが、其方には妾への優しさがある」

「まあな」

 確かに雅の身体を乱暴に扱いたくないという一刀の思いもあるが、女性的な行動をする玉兎を蔑ろにしたくないという気持ちもあった。
 だからこそ気持ちよく場所を優しく攻めたり、小袖を敷いてその上に寝かせたりしている。
 後背位にしたのは趣味と勢いだが、扱いは丁寧にしている。

「じゃから、其方のことを好いておる。じゃから、好いた男の顔を見ながらイカせておくれ」

 後背位で地に伏し目尻に涙を溜めながら、小動物のように怯えた目で懇願するように玉兎は一刀に頼み込んだ。

「……分かったよ」

 一刀は射精寸前の一物を引き抜いた。溜まりに溜まった精液を押しとどめるのは苦痛で痛みを伴ったが、玉兎のためを思い全力で押さえつける。

「あうっ」

 引き抜くとき、玉兎は名残惜しそうな声を上げ、地面に身体を横たえた。だがそこから動かなかった

「大丈夫か」

「身体に力が入らぬ」

「ほら、回してやるよ」

 横たえた玉兎の身体を一刀は優しく掴み仰向けにした。
 赤い裏地のマントを背景に黒いハイレグレオタードとタイツ、ロンググローブ、ロングブーツによって浮き上がる身体のラインを余計に引き立たせる。
 クロッチの部分からは愛液が止めども無く流れ、光沢を放つ布地に彩りを添える。流れ落ちる愛液は下のマントに染みを作り、より淫靡さを引き立たせる。
 ショルダーオフの黒いレオタードから出てくる上半身は巨大な谷間を形成する双丘を見せつけ、レオタードと対照的に白く陶磁器のように、だが興奮してほのかに赤く輝く肌をより強調する。
 玉兎の頭の上には二の腕まで伸びる黒いロンググローブに包まれた両腕が力なく置かれ、一刀の純白の小袖をスクリーンにその細い腕と指を映し出していた。
 何より刺激的なのは玉兎の顔だ。
 元より整った白い肌をした顔だが、今は興奮して少し肌を赤くしつつ顔の各パーツは不安で歪んでいる。
 眉は弱々しく端が垂れ下がり、口元はだらしなく開き端から涎を垂らすが、何とか一刀を求める言葉を紡ごうと小刻みに震える。
 いつもは鋭くきつい目が不安と期待の籠もった眼差しで一刀を見上げており、一刀の心に決心を付かせた。

「行くぞ」

「う、うむ」

 一刀の言葉に、玉兎から不安が消え、戸惑い混じりに喜びの表情を浮かべる。
 一刀は自分の両手で玉兎の両腕を掴み、身体を玉兎の上に覆い被せる。そして顔を近づけ流れ出る涎を吸い取り唇を啄む。
 先ほどまで動きの鈍っていた玉兎の唇と舌は再び激しく動き出し、求めるように一刀の口中に向かい絡め合う。
 腕を押さえていた手を離し玉兎の両頬に添えると、玉兎も両腕を動かし一刀の上半身に触れる。エナメル質の布地の感触がこそばゆく気持ちよくてもっと触れていたいと一刀は身をよじる。玉兎も一刀の身体の感触、刀を振ったことによって出来た鍛えられた筋肉の形、艶やかな肌を楽しむべくあちこちを触る。
 それでもキスは止めない。
 長いキスの後、一刀は身体を離し両手を玉兎の双丘に移す。
 谷間から汗のスジが流れるほど興奮した身体は出来上がっており、豊かな胸の上にはレオタードの布地を突き抜けんばかりに小さな突起を出している。
 そこを掌で覆うように手を置き素肌を指で握りながら、その下の脂肪をもみほぐすように動かし、突起を掌の中で転がす。

「あああっ」

 性感帯となった胸の刺激に玉兎は興奮し一瞬目をつぶる。しかし、再び見開き一刀の姿を確認すると安堵の表情を浮かべる。
 玉兎の表情がいつもの妖艶さのある女性ではなく弱々しい女子のものであり、それが一刀の理性を崩壊させた。
 両手を双丘に手がけたまま、愛液が流れる秘所に自分の一物を再び挿入しピストン運動を再開する。
 その刺激で玉兎の両腕には再び力が入り一刀のお尻に手を掛け引き寄せる。

「うおっ」

 自分の柔らかい肉にグローブに包まれた玉兎のたおやかな指が食い込む感触が余計に男根の根本を刺激する。掌から伝わる体温が白いマグマの熱を更に上げる。
 熱が加わり制止溜まりの圧力の高まり、もはや限界に近づく。

「で、射精る! 射精すぞ!」

「く、来るのじゃ!」

 次の瞬間、一刀は男根から勢いよく射精した。
 放出の快感と解放感に身を委ね意識を失い手を離した玉兎の柔らかい二つのクッションに顔を落とした。
 最後に見たのは幸せそうな笑顔をして一筋の涙を流す玉兎だった。



「あっ」

 気が付いた時には一刀は自分の小袖の上に倒れていた。

「いつも寝坊するわね一刀」

 珍しく眉を険しい角度にした雅が口を尖らせながら言い捨ててきた。

「う、うん」

 気まずい雰囲気だったが、自分が裸である事を思い出した一刀は周りにあった自分の服を慌てて集めて着る。

「封印出来たんだ」

「誰かさんのお陰でね」

 雅はご機嫌斜めだ。

「なあ、討滅が終わったから何処か店に入らない?」

「体中が臭いから嫌」

「ならホテルの部屋を借りて」

「またやろうというの?」

「ち、違うよ」

「ふん」

 益々臍を曲げた雅を宥めるのに一刀は小一時間ほどかかってしまった。
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