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離別編3

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「……は?」

 玉兎からの突然の頼みに一刀は理解が追いつかなかった。
 しかし意味をようやく理解すると猛然と抗議する。

「何を言っているんだ! どうしてお前を消滅させなくてはならないんだ」

「其方は妖魔を討滅する天宮の者であろう。ならば躊躇する必要はあるまい」

「そんなのどうでもいい。お前といるのが良いのだ」

「そのお前とは、妾と雅どちらじゃ」

「うっ」

 そこで一刀は言葉が詰まった。

「ふむ、雅だけでなく妾も好くとはとんだ色情魔よの」

「お前な」

「許せ、戯れじゃ。過ぎた事をしてしまった。其方の好意が嬉しくてのう」

「だけどどうして今になって消滅させてくれなんて」

「今になったからじゃ。今やらねばこの身体が危険だからじゃ」

「どうしてだ」

 いつになく真剣な顔で深刻なことを言う玉兎に一刀は身構えた。

「今この身体には妾と雅二つの精神、魂が入っておる」

「そうだな」

 玉兎は封印の為に身体に取り込まれたとはいえ、度々意識を乗っ取っており、事実上二重人格状態となっている。

「そして、それぞれ膨大な精気を持っておる。その膨大な精気に身体は耐えられんのじゃ」

「今まで大丈夫だっただろう」

「今まではのう。雅の身体は精気を操り受け容れるのに天性の優れた器量を持っておった。故に常人では壊れてしまうほどの精気を蓄えることが出来たのじゃ。しかし、幾ら器が大きくとも限界はある。限界を超えれば壊れるのみじゃ。妾と雅が入ったこの身体は限界が近づいておる。ここの所、妾達が疲れやすいのもそのためよ。妾達の力に耐えられず悲鳴を上げておる。その前にどちらかが消えるしかない。ならば妾が消えよう」

「お前はいいのかよ」

「構わぬ」

「何故だよ。なんで自分を捨てられるんだよ」

「其方、妾が何者か知っておるか?」

「玉兎は昔話に出てくる兎の名前だろう」

 玉兎に対抗できる手段が無いか古い文献や資料を漁って玉兎の事はある程度知っていた。

「そうじゃ。その話は知っておるかのう?」

「たしか空腹で倒れた老人を見つけた猿と熊と兎が食事を出そうとした。猿は木に登って木の実や果物を、熊は川で魚を捕ってきた。だが兎は何も調達出来ず、老人に火をおこさせ自らの身を火に投げ込んで身体を食わせようとしたんだ。しかし、老人はそれを止めた。そしてその老人は神様の使いで兎の献身を褒め称え、月に連れていった」

「ほほほ、やはりそのように伝わっておるか。それは嘘じゃ」

「嘘なのか」

「そうよ。本当はこの話に出てくる老人あるいは神と言ったのが話をデチ上げた狡猾な妖魔じゃ。貢ぎ物を差し出せと他の妖魔を脅し、何も用意出来なんだ妾を食べたのが真相よ」

「なっ」

「そして、話をデチ上げ人間の間に流し神を自称したのよ。丁度仏教が流れて来て仏陀の話が入って来た頃じゃからのう。その話になぞらえたのよ。妾を食べて強力な力を手に入れたことを隠すために、妾が消えたことを隠すためにのう」

「じゃあ、なんでお前は今いるんだ」

「食われてもそやつの中で僅かながら意識を保ったのよ。そしてそやつが討滅により力を大きく失ったとき、力の一部を食い破って逃れたのよ」

「……そんな事をしてまで逃れたのに、消滅して良いのかよ」

「嫌じゃよ。しかし、其方と雅が居なくなるのはもっと嫌じゃ。其方も分かるであろう」

 一刀は前に雅と玉兎から離れるのが嫌で大会を棄権して帰ってきていた。
 そして消え去りそうだった二人を取り戻して安堵した。その時の事は良く覚えている。
 今でも同じ気持ちだ。

「それにはじめに消えようとしたのは雅じゃ」

「どういうことだ」

「最初に気が付いたのは雅じゃ。様子がおかしくて、精神内でも言わぬので無理矢理記憶を暴き立てて知ったのじゃ。そして雅が精気を取らずに消滅すればこの身体には妾だけが残り、一刀と一緒になればよいと」

 雅が最近、精気を移すのを拒んでいた理由がそれだったのかと一刀は合点した。

「他の妖魔に食われた妾には自らの身を差し出して生かしてくれた雅が愛おしくなったのじゃ。いや、妾の存在を認めてくれたのが、封印しても消滅させずに生かしてくれた雅が消えるのは嫌じゃ。初めは嫌がっていたが妾を認めてくれた雅が居なくなるのはいやじゃ」

 最後には玉兎は泣きじゃくりながら話す。
 しかし、涙を振り切り一刀に向かって言う。

「そんな雅を助ける為に妾を消滅させて欲しいのじゃ。頼む、妾の最後の頼みじゃ」

 答える事は一刀には出来なかった。
 このままだと雅が消滅する。
 今までのままでも、もし強力な妖魔が現れたら二人とも食われてしまう。
 そして、玉兎の言う事を聞けば玉兎を消滅させてしまう。
 どの選択も取りたくなかった。
 黙ったままの一刀に業を煮やした玉兎は抱きつき、キスをした。

「!」

 抱きついた勢いのまま押し倒し、舌を一刀の中に入れて性感帯を刺激するように縦横無尽に動かして行く。
 離れようとしても逃さないとまかりに腕を頭に絡め、豊満な胸に抱き寄せ、柔らかい太ももで胴を挟み、拘束する。
 もがく一刀が絶え間ない責めで神経が蕩けて静かになった所で、ようやくキスを止める。
 そして、かつて玉兎が性感帯に仕上げた首筋を舐め上げる。蕩けていた神経に電撃が走り、一刀の身体をさらに麻痺させる。
 両の首筋を舐め上げて、一刀が動かなくなると玉兎は頭の位置を反転させる。
 そして自らのズボンを下ろしショーツもズラして、自分の秘所を一刀の口に密着させた。膣口が口のように蠢き一刀の舌を吸い込む。入れた衝撃でクリトリスが感じて軽く絶頂し愛液が流れ始め、女性フェロモンを含んだ香りが鼻孔に入り、一刀の意識を更に蕩けさせる。
 静かにさせると玉兎は一刀のズボンを脱がし、逸物を露出させると、膨らみ始めた自分の豊かな双丘の隙間に挟んだ。
 乳房の両脇から両手で押さえてしごいてゆく。膣内とはまた別の柔らかい感触に一刀の逸物は更に大きくなる。そこへ出てきた先端へ玉兎は口で齧り付き、包皮の内側や穴を舌で舐め上げる。
 今までにない刺激に一刀の逸物は喜び先走り汁を出す。
 口の中に入ったそれを玉兎は飲み下すと続いて逸物を口に咥える。
 口の奥まで入れると先端やカリを舌で優しく舐め、根本を歯で甘噛みして刺激する。
 玉兎の口フェラに逸物は忽ちのうちに伸びて太くなり、鉄のように堅くなる。
 さらに刺激を続けると先走り汁が出てくる。なおも玉兎は続け、更に射精を促す。
 そして出てきた精液を口いっぱいに含むとそれを飲み下す。
 強烈な男性フェロモンを放つ精液で玉兎の身体は熱くなり、愛液に蜜が混じり、更に一刀の口に溢れ出る。
 濃厚な液の匂いに既に一刀は意識を失い、獣のように舐めて吸うばかりだ。

「これで、良いじゃろう」

 無我夢中で、自分の膣口を吸っている一刀を見て玉兎は弱々しく呟く。
 ずっと膣口を舐め続けられてその刺激で腰が抜けてしまった。
 だが、最早性交のみを求めるようになった一刀なら自分が消滅するまで射精し続けるだろう。
 玉兎は身体を一度引き離すと一刀の横に寝そべった。
 そこに獣のように性欲が滾る一刀が馬乗りになり玉兎にビンビンになった逸物を蜜の溢れる恥丘に入れようとしていた。

「ほほほ、まさか今までで一番の野獣が其方とはな」

 直後に一刀の逸物が膣の中に入り込み蜜で滑らかになった膣口内を駆け抜け一気に子宮にまで達した。
 その刺激が強すぎて、逆に感じなくなってしまった玉兎は冷静に受け止め呟いた。

「せめて最後は優しくして貰いたかったのう」
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